西遊記 第20話 あらすじ/ネタバレ

唐三蔵一行は数日間の旅を経て、朱紫国に到着しました。驿館に落ち着いた後、唐三蔵は通关文书の発行のため一人出かけていきます。一方、退屈を持て余した孫悟空(そんごくう)は、沙悟浄(さごじょう)に食事の準備を任せ、猪八戒(ちょはっかい)と共に街へ繰り出します。

街を歩いていると、西大街の鼓楼前に多くの人が集まっているのを発見します。好奇心から人混みの中へ入っていくと、そこには国王の病気を治すことができる名医を探しているという皇榜が貼られていました。機転を利かせた悟空は法術を使って姿を消し、皇榜を剥がしてしまいます。そして、居眠りしていた八戒にこの任務を押し付けてしまいます。

悟空は驿館に戻りますが、八戒は皇榜を守っていた兵士に間違われ、仕方なく悟空を連れて国王の前に出ることになります。悟空は3本の毛を糸に変えて国王の脈を診る「懸絲診脈」を行い、国王が長年の心配と過度な思いやりによって病気を患っていること、つまり「双鳥失群症」であると正確に診断します。治療のため、悟空は大量の薬材を用意するよう要求しますが、実際には自分の本当の薬方をごまかすためでした。夜になると、悟空は八戒、沙悟浄(さごじょう)と協力して、ほんの少しの薬材で薬丸を作り、国王を無事に治してしまいます。

病気が治った国王は悟空に感謝し、唐三蔵一行を盛大な宴に招待します。そして、自分が病気を患っている原因を詳しく語ります。3年前に麒麟山獬豸洞にいる妖怪、賽太歳(さいたいさい)が金聖宮娘娘(きんせいぐうにょうにょう)を誘拐したため、毎日心配でたまらないのだというのです。話を聞いた悟空は、すぐに娘娘を取り戻すことを約束します。

妖怪の存在を確認するため、悟空は妖怪が現れた際に立ち上がり、妖怪の先鋒官と戦い勝利します。その後、悟空は妖怪の腹心である「有来有去」に変身し、獬豸洞に潜入します。洞窟の中では、賽太歳(さいたいさい)が3つの金鈴を持っていることを知ります。それぞれの金鈴には、火を噴く、煙を出す、砂を流すという異なる力があります。悟空は知恵と法力を使って、まず侍女に変身し、宴会で変身させた虱を使って妖怪に服を脱がせ、身につけている金鈴に触れることに成功します。そして、妖怪が油断している間に、本物の金鈴と偽物の金鈴をすり替えてしまいます。

その後、悟空は本来の姿に戻り、妖怪に金聖宮娘娘(きんせいぐうにょうにょう)を返すように命じます。激しい戦いの後、悟空は本物の金鈴の力を使って優位に立ちます。そして、観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)が現れ、妖怪が実は彼女の乗り物である金毛犼であることを明かし、彼を連れ戻します。悟空は金聖宮娘娘(きんせいぐうにょうにょう)を救出し、法術を使って朱紫国皇宮に送り届けます。

娘娘が無事に帰ってきたことに、国王は喜びを隠せません。しかし、娘娘に触れた瞬間、依然として耐え難い痛みを感じます。その時、紫陽真人(しようようしんじん)が現れ、娘娘にかけられていた保護仙衣を解除します。実は、この仙衣は紫陽真人(しようようしんじん)が娘娘が怪我をしないように与えたものでした。真相が明らかになった後、唐三蔵一行は朱紫国に別れを告げ、西への旅を続けます。国王は感謝の気持ちを表すため、厚い贈り物だけでなく、文武百官を率いて皇城の外まで見送ります。

第20話の感想

第20話は、孫悟空(そんごくう)の機転と知恵が光るエピソードでした。特に、懸絲診脈と金鈴のすり替えのシーンは、悟空の優れた能力と策略を見事に表現していました。また、妖怪の正体が観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)の乗り物である金毛犼であったという展開は意外性があり、物語に深みを与えていました。

一方で、国王の病気を治すために悟空が偽の薬方を使用したという点は、少し疑問が残りました。悟空は正義感の強いキャラクターとして描かれていますが、この行動は少し矛盾しているように感じられます。しかし、この矛盾が物語に複雑さと奥深さを加えているとも言えるでしょう。

つづく