夢華録 第32話 あらすじ/ネタバレ

永安楼の再興

かつては小さな瓦葺きの家だった永安楼は、池蟠(ちはん)の手によって酒楼へと生まれ変わりました。今はまだ客足は少ないものの、池蟠(ちはん)は過去の思い出を大切にしています。趙盼児(ちょうふんじ)はかつての恩人である宋引章(そういんしょう) の姉を思い、池蟠(ちはん)に過去のことを打ち明け、複雑な気持ちを抱きます。

東京の中心部、繁華街に位置する永安楼は、空月楼に匹敵する規模を誇り、趙盼児(ちょうふんじ)の未来への壮大な青写真を象徴しています。彼女は池蟠(ちはん)に経営方針を説明し、仏教の「六識」の教えを引用して、料理の味にこだわるだけでなく、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のすべてにおいて究極の体験を提供することを誓います。

顧千帆(こせんはん)の思い

顧千帆(こせんはん)は病に倒れ、意識が朦朧としています。陳廉(ちんれん)は趙盼児(ちょうふんじ)の言葉を借りて、顧千帆(こせんはん)の意識を呼び覚まそうとします。顧千帆(こせんはん)は趙盼児(ちょうふんじ)が危険にさらされていると思い込み、彼女に会おうとしますが、偶然出会ってしまいます。しかし、彼は車から降りる勇気が出ず、陳廉(ちんれん)に趙盼児(ちょうふんじ)に池蟠(ちはん)に注意するよう伝えさせます。趙盼児(ちょうふんじ)は冷静に対応し、自分はもう俗世を離れており、私的な感情は皇城司が口出しできることではないと告げます。車の中で、顧千帆(こせんはん)は窓にもたれかかり、弱々しいながらも隠しきれない悲しみをにじませます。

決意と別れ

趙盼児(ちょうふんじ)は顧千帆(こせんはん)が近くにいることを感じており、彼から直接説明してもらえることを期待していましたが、その望みは叶いません。彼女は思い切って顧千帆(こせんはん)への気持ちを断ち切ります。馬車が遠ざかると、趙盼児(ちょうふんじ)は感情を抑えきれず、孫三娘(そんさんじょう)の腕の中で涙を流します。彼女は過去の恋を心の奥底にしまい込みます。

その後、趙盼児(ちょうふんじ)は永安楼の改築に全力を注ぎます。孫三娘(そんさんじょう)は厨房で卓越した包丁さばきで人々を魅了し、厨房の主となります。宋引章(そういんしょう) と葛招娣(かつしょうてい)もそれぞれ役割を果たし、一同は力を合わせて東京一の酒楼を作り上げようと決意します。

新たな脅威

高慧(こうけい)が突然訪れ、歐陽旭(おうようきょく)が趙盼児(ちょうふんじ)を脅迫していること、そして婚約の話を暴露します。彼女は趙盼児(ちょうふんじ)に復讐に備えるよう警告します。杜長風(とちょうふう)は歐陽旭(おうようきょく)が帰京したことを聞き、報復を恐れて慌てて謝罪に訪れます。歐陽旭(おうようきょく)は表面上は寛大さを装っていますが、内心は腹黒い策略を企んでいます。彼は皇城司の監視に気づき、顧千帆(こせんはん)と趙盼児(ちょうふんじ)への復讐を計画します。

葛藤と決断

杜長風(とちょうふう)は歐陽旭(おうようきょく)の言葉を鵜呑みにして、趙盼児(ちょうふんじ)たちに伝えます。孫三娘(そんさんじょう)はこれを機に告白し、杜長風(とちょうふう)は喜んで承諾します。孫三娘(そんさんじょう)は不安を抱きながらも、杜長風(とちょうふう)の誠実さに心を動かされます。婚約が決まり、杜長風(とちょうふう)はすぐにでも結婚したいと望みますが、孫三娘(そんさんじょう)は永安楼が安定してからにしたいと考えています。二人は感情を抑えきれず、言い争いになり、葛招娣(かつしょうてい)に目撃されてしまいます。

孫三娘(そんさんじょう)は沈如琢(しんじょたく)のことで心に傷を負っており、杜長風(とちょうふう)に対しても疑念を抱いています。宋引章(そういんしょう) は切結書を証拠に孫三娘(そんさんじょう)を慰め、自分にはもう男性への幻想はなく、彼らを遊び道具としか見ていないと言い、孫三娘(そんさんじょう)に幸せを追求するよう勧めます。

葛招娣(かつしょうてい)は趙盼児(ちょうふんじ)に顧千帆(こせんはん)の近況を伝えます。趙盼児(ちょうふんじ)は驚きを隠せませんが、皇城司での出会いを忘れられず、顧千帆(こせんはん)の回避に釈然としません。しかし、困難に直面した彼女は、永安楼を成功へと導くという決意をさらに固めます。

第32話の感想

第32話は、趙盼児(ちょうふんじ)の決意と葛藤が描かれた回でした。彼女は永安楼の再興に全力を注ぎ、過去の恋を断ち切ろうとします。しかし、顧千帆(こせんはん)の病状や歐陽旭(おうようきょく)の脅威など、様々な困難が立ちはだかります。

特に印象的だったのは、趙盼児(ちょうふんじ)と顧千帆(こせんはん)のすれ違いです。顧千帆(こせんはん)は趙盼児(ちょうふんじ)を守るためにあえて距離を置こうとしますが、趙盼児(ちょうふんじ)は彼の真意を理解できず、傷ついてしまいます。

また、孫三娘(そんさんじょう)と杜長風(とちょうふう)の関係も進展を見せました。杜長風(とちょうふう)は孫三娘(そんさんじょう)にプロポーズし、孫三娘(そんさんじょう)も彼の誠実さに心を動かされます。しかし、沈如琢(しんじょたく)の事件で心に傷を負っている孫三娘(そんさんじょう)は、まだ結婚に踏み切ることができません。

つづく