夢華録 第33話 あらすじ/ネタバレ

北地使臣の影と顧千帆(こせんはん)の葛藤

北地使臣の来訪は常のことながら、趙盼児(ちょうふんじ)の心は顧千帆(こせんはん)がなぜ姿を隠しているのかでいっぱいだった。かつて顧千帆(こせんはん)は熱い想いを伝え、身分の違いを超えて共に歩むと誓ったのに、今は躊躇している。夢の中では心が晴れたものの、目を覚ますとやるせない気持ちが残る。

永安楼の華々しい開幕

永安楼の開業の日、華やかな灯火と盛大な花火が夜空を彩り、文人墨客や庶民が続々と集う。曲芸や獅子舞が競演し、楼内では歌舞が繰り広げられ、美しさは尽きることがない。趙盼児(ちょうふんじ)は来賓を案内し、楼内の三つの閣を紹介する。一元閣は貴賓専用、千山閣は雅俗を問わず楽しめる、万水閣は毎日新しい趣向を凝らし、瓦肆の賑やかさも取り入れる。

吉時となり、池蟠(ちはん)が壇上に上がり、「商いは春のように、新しい商いが古い商いに勝る」と挨拶し、永安楼の正式な開場を宣言し、四方からのお客様を歓迎する。席上には珍味佳肴が並び、清雅な小菜も絶品で、誰もが舌鼓を打つ。特に一元閣の雅集への期待は高まる。趙盼児(ちょうふんじ)は、雅間は今日は開放せず、明日、東京の重鎮12人を招いて、珍しい食材を厳選した花月宴を催すことを明かす。

花月宴への招待状と名流たちの反応

夜が更け、趙盼児(ちょうふんじ)たちは花月宴の招待状を50貫で販売することにする。宋引章(そういんしょう) と葛招娣(かつしょうてい)は高額すぎて客がつかないのではないかと心配するが、趙盼児(ちょうふんじ)はこれこそが非凡さを示し、全城の注目を集めると確信していた。

案の定、花月宴の招待状が発表されると、民間では話題となり、名流の間では期待が高まる。濁石先生(だくせきせんせい)が最初に招待され、喜びを隠せない。袁屯田など他の名士も続々と招待を受け、永安楼での宴席に臨む。

永安楼での驚愕の演出と袁屯田の悔しさ

しかし、永安楼の中では真っ暗闇。皆が戸惑う中、池蟠(ちはん)の一声で灯火がともり、舞女たちが舞い降り、大唐の盛世を再現する。続く曼妙な舞、宋引章(そういんしょう) の琵琶演奏はまるで仙楽が奏でられるようで、人々を魅了する。

その後、楼内は別の景色に一変し、名家の書画を背景に舞女たちが舞い、美酒佳肴が次々と登場する。五感を刺激する饗宴に、賓客たちは驚き、物超所值だと絶賛し、もう一度楽しむために100貫を惜しまない。

袁屯田は雅間に招かれなかったことに不満を抱き、再びこの栄誉を勝ち取ろうと決意する。画舫にいる蕭欽言は、永安楼の繁栄を目の当たりにして、趙盼児(ちょうふんじ)の才能を絶賛する一方で、顧千帆(こせんはん)の結婚時期を尋ねる。しかし、顧千帆(こせんはん)は蕭欽言の企みを暴露し、皇城使として証拠に基づいて行動すると明言する。彼は蕭欽言の権力闘争の駒となることを拒否し、彼の支配を受け入れることを拒否し、手首を切って自決し、父を救い、趙の父を陥れた罪を償った後、蕭欽言との父子関係を断ち切ると宣言する。

顧千帆(こせんはん)の来訪と宮中の動き

夜が更け、顧千帆(こせんはん)は趙盼児(ちょうふんじ)を訪ねようとするが、窓の外に仕掛けられた獣夹に阻まれ、不覚にも罠にかかってしまう。知らせを受けた人々は皆、趙盼児(ちょうふんじ)のために憤慨する。趙盼児(ちょうふんじ)は門を閉ざし、顧千帆(こせんはん)は仕方なく立ち去る。

宮中では、皇后劉婉と清流の争いが続く。皇帝は皇后を強く支持し、深い愛情を示す。永安楼の名声は宮廷にまで届き、皇帝は回復したら皇后と一緒に訪れて味わいたいと願う。池蟠(ちはん)が頻繁に花月宴を開催することを提案するが、趙盼児(ちょうふんじ)は希少性を重視すべきだと主張し、その商才の深さに池蟠(ちはん)は感服する。

第33話の感想

第33話は、永安楼の華々しい開幕と趙盼児(ちょうふんじ)の商才が光る回だった。特に印象的なのは、花月宴の演出だ。真っ暗闇から一転、煌びやかな空間と舞、音楽、料理で五感を刺激する演出は圧巻だった。また、袁屯田の悔しそうな表情や、蕭欽言と顧千帆(こせんはん)の確執など、人間模様も描かれていた。

趙盼児(ちょうふんじ)は、商売だけでなく、人との繋がりも大切にしていることが伺える。花月宴に東京の重鎮を招いたのも、単に利益のためだけでなく、人脈作りも兼ねているのだろう。また、顧千帆(こせんはん)との関係も気になるところだ。

つづく