九天界に、静かに嵐が近づいていた。昭聖神将(しょうせいしんしょう)と悪蛟王(あくこうおう)との因縁は、天界の秩序を揺るがす。顧天王は事態の重大さを鑑み、仁聖神将(じんせいしんしょう)に書簡を持たせて北宸(ホクシン)のもとへ遣わす。誤解を解き、秩序を回復させることが目的だった。しかし、北宸(ホクシン)は書簡を受け取らず、翌朝の朝議で天帝(てんてい)に直接訴えることを決意する。功罪は天帝(てんてい)の裁決に委ねられた。
この隙を突いて、泰白紀星(たいはくきせい)が仁聖神将(じんせいしんしょう)に讒言を吹き込む。北宸(ホクシン)は野心を抱き、九天門の権力を狙っている、天河軍は顧天王の退位を画策していると。この言葉に、三太子諾伽(だくが)は激怒し、賭けで証明すると宣言する。
天河軍は磐石(バンジャク)一行を追跡し、楊嵐(ヨウラン)は幽泉穀に身を潜めることを提案する。しかし、天兵は穀を封鎖してしまう。幽泉穀は北斗瑶光洞の管轄であり、天衡(テンコウ)は天任(てんにん)に命じて穀の外に天網を張り巡らせ、妖物が出入りできないようにする。
幽泉子(ゆうせんし)は、北斗瑶光洞の解空祖師(かいくうそし)の高弟であり、幽冥の道に精通している。洞府内には、地府と深い繋がりを持つ奇花異草が数多く存在する。楊嵐(ヨウラン)は一行を穀に導き、闇い森の中を進む際には、禁製に触れないよう注意するよう再三警告する。
穀に到著すると、灯火がともる場所で、道童の秀雲が師命を受けて一行を迎え、住居と治療のための霊薬を用意する。磐石(バンジャク)は、幽泉子(ゆうせんし)に妖たちの安危を簡単に託すことに不安を感じ、まずは休息を取り、その後に対策を練ることにする。
この時、黒子は呂青(りょせい)に不満を漏らす。磐石(バンジャク)は小紅(しょうこう)の遺品を取り出し、思い出に浸って涙を流す。呂青(りょせい)も胸を痛める。一方、天任(てんにん)は重兵を率いて幽泉穀を包囲し、紫雲碧波潭の兵力は待機している。一触即発の状況だ。
霓裳(ゲイショウ)は泰白紀星(たいはくきせい)の陰謀を知り、北宸(ホクシン)に警告しようとするが、機会を得られない。北宸(ホクシン)は天帝(てんてい)に昭聖神将(しょうせいしんしょう)と悪蛟王(あくこうおう)の秘密を明かすも、天帝(てんてい)は九天門を庇護し、昭聖神将(しょうせいしんしょう)を軽く罰するのみ。この対応に、北宸(ホクシン)は失望する。天帝(てんてい)は月樹の花蕾を例えに、北宸(ホクシン)の将来を闇示するが、北宸(ホクシン)は落胆して去り、霓裳(ゲイショウ)は心境を伝えることができない。
霓裳(ゲイショウ)は自分が北宸(ホクシン)の足手まといになるのではないかと心配し、縁を切ることを決意する。ちょうど泰陰元君が仙娥を募集して霞衣を織ることになり、霓裳(ゲイショウ)は天界の騒動から逃れるために応募する。
磐石(バンジャク)は幽泉穀で盲目の琴弾きに出会う。それは幽泉子(ゆうせんし)だった。二人は初対面ながら、意気投合する。幽泉子(ゆうせんし)は『陰曹地府各位司職』を磐石(バンジャク)に贈り、金糸雀(キンシジャク)を蘇らせる方法を教える。しかし、逆天改命は命を落とす覚悟が必要だと強調する。磐石(バンジャク)は過去の出来事を思い出し、決意を新たにする。
会話中、竹林の外から楊嵐(ヨウラン)の焦る声が聞こえてくる。磐石(バンジャク)が危険に遭ったと思ったが、ただの誤解だった。楊嵐(ヨウラン)は磐石(バンジャク)のために麺を茹で、麺の中には「サプライズ」として蜈蚣が入っており、この経験はユーモアと温かさを加えたものとなった。
幽泉穀での時間は、磐石(バンジャク)に安らぎをもたらしただけでなく、友情、信念、犠牲の真の意味を深く理解させた。未来の道は困難に満ちているが、彼は無畏の心で、あらゆる挑戦に立ち向かう準備ができていた。
第16話の感想
第16話は、物語が大きく動き出す重要な回でした。昭聖神将(しょうせいしんしょう)と悪蛟王(あくこうおう)の因縁が明らかになり、天界の秩序が揺らぎ始めます。泰白紀星(たいはくきせい)の陰謀により、北宸(ホクシン)は窮地に追い込まれ、霓裳(ゲイショウ)は苦渋の決断を下します。一方、幽泉穀で磐石(バンジャク)は新たな出会いを通して、友情、信念、犠牲の真の意味を学びます。
特に印象的だったのは、北宸(ホクシン)と天帝(てんてい)の対峙シーンです。北宸(ホクシン)が昭聖神将(しょうせいしんしょう)と悪蛟王(あくこうおう)の真実を明かしても、天帝(てんてい)は九天門を庇護し、北宸を失望させます。このシーンは、天界の腐敗と権力闘争を浮き彫りにし、今後の展開への期待を高めます。
つづく