天界の精鋭部隊はすでに整えられ、祁来山の旧疾が癒えず、新たな傷が加わったという厳しい状況の中、大戦の闇雲が空を覆っていた。そんな中、楊嵐(ヨウラン)は磐石(バンジャク)の唇に軽く触れ、仙と妖は共存できないという古い慣習はナンセンスだと断言し、たとえ母親と同じような運命が待っていたとしても、彼と共に戦うことを誓う。
一方、鴻蒙心魔(コウモンシンマ)は天帝(てんてい)の前に現れ、祁来山を安易に攻めるべきではないと主張し、官職を与えれば、その傲慢な性格を改められると提案する。それを聞いた飛龍(ひりゅう)将軍は、妖界の人間を天界に取り込むことに強く仮対するが、鴻蒙心魔(コウモンシンマ)自身も元々は仙人でなかったことを忘れていた。
天帝(てんてい)は、磐石(バンジャク)の勢力が大きく、製御が難しいことを懸念し、ためらう様子を見せる。鴻蒙心魔(コウモンシンマ)はそれを察して、磐石(バンジャク)に官職を与えた後、祁連山を中心とした千裏を境界とし、内側には磐石(バンジャク)の部下は出入りできず、外側には天界の兵士は入れないようにし、違仮があれば厳罰に処するという策を提案する。
顧敬(グー・ジン)は天帝(てんてい)の援軍を待っていたが、飛龍(ひりゅう)将軍から密報を受け、事態がおかしいことに気付き、計画通りに行動できないことを恐れる。彼は決断し、天河軍を率いて祁来山へ向かう。泰白紀星(たいはくきせい)は勅命を帯び、祁連山へ向かうが、途中で顧敬(グー・ジン)が先に進んでいることを知り、飛龍(ひりゅう)将軍と北宸(ホクシン)たちに何か企みがあるのではないかと疑う。
天河軍は総出で出撃するが、戦況は意外な展開を見せる。磐石(バンジャク)の修為は飛躍的に向上しており、北宸(ホクシン)のような強者でさえ彼に敗れてしまう。危機的状況の中、北宸(ホクシン)は氷虫簪で封傷し、潜在能力を引き出すが、それは一時的なものであり、その後、傷はさらに悪化する。北宸(ホクシン)が磐石(バンジャク)の喉元に剣を突き立て、勝負をつけようとしたその時、泰白紀星(たいはくきせい)が天帝(てんてい)の勅命を携えて現れ、磐石(バンジャク)を移中監に任命し、過去の罪を赦免すると発表する。
この命令は、場にいた全員を驚かせ、静寂が訪れる。磐石(バンジャク)だけが大声で笑い、軽蔑と挑発を込めて勅命を受け入れる。北宸(ホクシン)はショックを受け、地面に倒れ込む。天河軍の士気は下がり、悲壮な雰囲気に包まれる。彼らは兄弟のために戦ってきたのに、このような皮肉な結末を迎えてしまった。
その頃、楊嵐(ヨウラン)と風鈴(フウレイ)は多くの妖たちを率いて駆けつけ、磐石(バンジャク)の昇進を祝い、喜びを露わにする。天河軍の悲しみとは対照的な彼らの姿は、この鉄血の軍団の精神を崩壊させる寸前まで追い詰める。北宸(ホクシン)は以前の罪を認めたため、戦後、解任されて投獄され、泰白紀星(たいはくきせい)はこれを機に復讐し、彼の仙骨を破壊する。飛龍(ひりゅう)将軍はそれを目撃し、心を痛める。
一方、鴻蒙心魔(コウモンシンマ)は計画通り、天書を使って金糸雀(キンシジャク)のような傀儡を磐石(バンジャク)に近づける準備をする。解空祖師(かいくうそし)は翎雲子(りょううんし)に磐石(バンジャク)を監視させ、瘟水事件の黒幕を突き止めるように命じる。
仙界が撤退すると、妖界では磐石(バンジャク)の天界昇進を祝う宴が始まる。しかし、磐石は別の思惑があり、とりあえずは官職を受け入れて時間稼ぎをする。六妖王は姚靂を連れて投降し、彼を裏切ったと誣告する。磐石は表面上は激怒するが、実はこれを利用して悪蛟王(あくこうおう)を斬殺し、他の妖たちを震え上がらせ、自分の絶対的な権威を示す。黒魔王(こくおうま)たちは驚きながらも、命令に従い、祁連山を離れ、南展之州の一角に身を寄せる。
楊嵐(ヨウラン)は磐石に衝動を抑えるように忠告し、手縫いのマントを贈り、天界で時間稼ぎをし、祁連山の妖軍を強化することを約束する。磐石も天界内部の矛盾を理解しており、自衛のためだけでなく、瘟水事件の真相を明らかにするためにそれを利用することを決意する。二人が話しているところに、再び泰白紀星(たいはくきせい)が現れ、風鈴(フウレイ)を仙娥に昇進させ、磐石と共に天界に行くことを発表し、二人に天の掟を守るように厳命する。九天門に入る際、磐石は公然と風鈴(フウレイ)の手を取り、二人は肩を並べて歩く。それは、並外れた旅の始まりを予感させる光景だった。
第31話の感想
第31話は、衝撃的な展開と複雑な感情が交錯する、まさに山場と言える内容でした。
磐石の圧倒的な強さ、北宸(ホクシン)の悲劇的な結末、天界の思惑、そして楊嵐(ヨウラン)と風鈴(フウレイ)の揺るぎない愛。それぞれのキャラクターがそれぞれの信念に従って行動し、物語は大きく動き始めました。
特に印象的なのは、磐石の複雑な心情です。彼は仙界と妖界の狭間で揺れ動き、自らの野望と仲間への想いとの間で葛藤しています。そんな彼を支える楊嵐(ヨウラン)の存在は、とても心強く感じられました。
つづく