安楽伝 第11話 あらすじ/ネタバレ

十年の時を経て

十年という歳月が流れ、世の中は大きく変わりました。かつて賑わっていた石段も今は静寂に包まれ、生死の隔たりを感じさせます。陵墓の奥深くでは、かつての栄光も今は過ぎ去り、残された者たちは重い責任を背負い、前へと進みます。任安楽(じんあんらく)は複雑な思いを抱えながら臣下の礼を尽くし、韓燁(かんよう)は再び大靖の繁栄を共に築こうと呼びかけます。

任安楽(じんあんらく)の才能が妬まれることを懸念した韓燁(かんよう)は、太子という立場を利用して、夫婦の縁はなくても知己として共に歩むことを約束します。任安楽(じんあんらく)はそれを受け入れ、身分の問題に囚われることはありませんでした。

突如の刺客

しかし、突然変事が起こります。幽霊のように現れた刺客が韓燁(かんよう)に剣を向け、そのスピードは驚異的でした。しかし、韓燁(かんよう)はそれを予期していたかのように冷静に対処します。任安楽(じんあんらく)は、その刺客が韓燁(かんよう)の親衛である簡宋(かん そう)であることに気づきます。忠厚な人物と思われていた簡宋(かん そう)の正体は、忠義侯の配下の暗殺部隊のリーダーであり、大靖でも稀に見る剣の達人でした。

以前から韓燁(かんよう)は、側近にスパイが潜んでいるのではないかと疑っており、巧妙な計略を用いて簡宋(かん そう)の正体を暴き出しました。簡宋(かん そう)は古雲年の駒として韓燁(かんよう)に近づいていたのです。簡宋(かん そう)は韓燁(かんよう)の恩義を思い、二人を殺すことはありませんでしたが、忠誠と後悔の念を示すために崖から身を投げました。韓燁(かんよう)は静かに見守り、剣先から血が滴り落ちます。この光景は見る者に深い感銘を与えます。

この出来事をきっかけに、任安楽(じんあんらく)は韓燁(かんよう)に質問します。もし将来、二人が敵対することになったら、どうするのかと。韓燁(かんよう)は、疑うよりも信頼する方が良いと答え、任安楽(じんあんらく)を永遠に信頼すると誓います。

皇帝の運命

「上承于天,斯得重任」という八つの言葉は、皇帝の運命の枷であり、任安楽(じんあんらく)が背負うべき責任でもあります。韓仲遠(かんちゅうえん)は、韓燁(かんよう)が任安楽(じんあんらく)を江南に連れて行ったことを高く評価し、権力者たちを怒らせたとしても、民衆の間で名声を高めたと述べます。簡宋(かん そう)の事件の後、古雲年の勢力は衰退し、かつては賑わっていた屋敷も今は閑散としています。恐らく、鍾礼文の後を追うことになるでしょう。古雲年は任安楽(じんあんらく)を憎んでいますが、公然と行動することはできず、別の方法を探しています。

一方、琳琅(りん ろう)は洛銘西に、新任の府尹が千月閣の保護の下、無事に赴任し、水害の対策も順調に進んでいると報告します。洛銘西は韓仲遠(かんちゅうえん)に上奏し、任安楽(じんあんらく)の功績を称え、鍾礼文を厳罰に処して見せしめにすることを決意します。

都の外では、韓燁(かんよう)と任安楽(じんあんらく)は馬を並べて進み、前途多難であることを知りながら、互いに寄り添いたいと願っています。任安楽(じんあんらく)は冗談を言って、心の奥底にある愛情を隠しています。

都の中では、任安楽(じんあんらく)が汚職を正したことが評判になり、洛銘西と韓燁(かんよう)の功績は無視できません。

洛銘西と任安楽(じんあんらく)の密会

洛銘西は任安楽(じんあんらく)と密会し、朝廷の半数が自分の傘下に入ったことを告げ、太子妃の座を争う必要はないと述べます。しかし、任安楽(じんあんらく)は父の教えに従い、天下を治めるには権力と民心の両方が必要であると主張します。彼女は帝梓元(ていしげん)という名で任安楽(じんあんらく)になりすまし、復讐のために自分を餌として利用しているのです。洛銘西は、任安楽(じんあんらく)が権謀術数に溺れて初心を忘れることを心配しますが、任安楽(じんあんらく)は韓燁(かんよう)が優れた人物であることを認めつつも、韓家の八万の兵士の仇を忘れないと答えます。

韓仲遠(かんちゅうえん)は韓燁(かんよう)を呼び出し、任安楽(じんあんらく)は並外れた人物であり、太子妃の座にふさわしいと示唆します。そして、祝宴を催します。韓燁(かんよう)は何も言えず、複雑な心境で宴席に向かい、任安楽(じんあんらく)にわざと距離を置きます。洛銘西は任安楽(じんあんらく)に話しかけ、古雲年も偽りの祝辞を述べますが、任安楽(じんあんらく)に冷たく拒否され、面目を失って立ち去ります。韓燁(かんよう)は酔った任安楽(じんあんらく)を屋敷まで送り届け、帝梓元(ていしげん)について話します。任安楽(じんあんらく)は怒ったふりをして誤魔化します。

太子妃選抜と帝梓元(ていしげん)の運命

太子妃の選抜が近づき、韓燁(かんよう)は帝梓元(ていしげん)が下山すれば標的にされると心配します。しかし、太后は突然、帝梓元(ていしげん)を下山させるには帝承恩(ていしょうおん)に改名する必要があるという勅命を下します。これは、帝梓元(ていしげん)を辱めるだけでなく、任安楽(じんあんらく)の復讐心を煽るためです。

玳山永寧寺では、ある女性が帝梓元(ていしげん)になりすまし、棋の練習に励み、檻から逃れようとします。任安楽(じんあんらく)は、事が終わったら自由を与えると約束します。韓燁(かんよう)は采薇軒を訪れて帝梓元(ていしげん)に本を贈ろうとしますが、任安楽(じんあんらく)に巧妙に奪われてしまいます。二人は笑い合い、愛が芽生えます。

第11話の感想

第11話は、衝撃的な展開と複雑な人間関係が描かれた回でした。

まずは、簡宋(かん そう)の正体が明らかになったことに驚きました。忠厚な人物と思われていた彼が、実は古雲年の配下の暗殺部隊のリーダーだったとは。彼の葛藤と忠誠心に胸を打たれました。

また、韓燁(かんよう)と任安楽(じんあんらく)の関係にも大きな進展がありました。韓燁(かんよう)は任安楽(じんあんらく)を信頼し、知己として共に歩むことを約束します。しかし、太后の策略により、帝梓元(ていしげん)は下山を許されず、帝承恩(ていしょうおん)に改名させられてしまいます。任安楽(じんあんらく)の復讐心がさらに強まり、今後の展開が気になります。

つづく