夜のとばりが降りた紫金宮は大明殿の灯火で明るく照らされ、瑲玹(そうげん)と小夭(しょうよう)は向かい合って座っていた。杯には芳醇な酒が注がれ、祝杯は瑲玹(そうげん)の西炎(せいえん)王即位という慶事だけでなく、二人の深い絆を祝うものでもあった。小夭(しょうよう)は杯を上げ、満面の笑みで祝福の言葉を述べると、袖から透き通るような若木の花を取り出した。それは昨夜、瑲玹(そうげん)から贈られた大切なものだった。小夭(しょうよう)は決意を秘めた眼差しで、「この花は、四叔母上があなたに残した形見で、将来の伴侶に贈るべきものです。私が受け取るわけにはいきません」と静かに告げ、花を瑲玹(そうげん)の前に差し出した。しかし、小夭(しょうよう)は瑲玹(そうげん)の真意に気付いていなかった。

瑲玹(そうげん)は小夭(しょうよう)を見つめ、優しいながらも諦めたような表情を浮かべた。小夭(しょうよう)が自分を兄のように慕い、他に想いを寄せていないことをよく理解していた彼は、微笑んで首を振り、「小夭(しょうよう)、私たちは兄弟同然だ。この気持ちは決して忘れない。感謝の言葉では足りないくらいだ」と深い感謝の意を示した。二人は顔を見合わせ、言葉にせずとも互いの気持ちが通じ合った。

一方、王妃である馨悦(けいえつ)は、瑲玹(そうげん)への秘めた想いを胸に抱えていた。送った手紙は7日間も返事がなく、不安な気持ちでいっぱいだった。宮廷の侍女たちの噂話も彼女の不安を掻き立てた。王妃の座をめぐる争いが激しいという噂は、馨悦(けいえつ)の瑲玹(そうげん)への想いをさらに強くさせた。しかし、瑲玹(そうげん)の冷淡な態度と皓翎憶(こうれいおく)の頻繁な出現は、彼女に大きなプレッシャーを与えていた。

朝廷では、遷都をめぐる議論が白熱していた。瑲玹(そうげん)は即位後、中原への遷都を提案する大臣たちの意見に対し、慎重な姿勢を見せていた。国を左右する重大な問題であることを理解していた彼は、じっくりと時間をかけて検討することを決めた。

退朝後、玱淑恵(こうしゅっけい)から酒と食事に誘われた瑲玹(そうげん)だったが、馨悦(けいえつ)も同席すると聞き、公務を理由に祖父の元へ向かった。そこで、皓翎憶(こうれいおく)と小夭(しょうよう)が祖父と碁を打つ温かい光景を目にし、胸に温かいものが広がった。それは彼が天下を守るための原動力だった。

結婚の話になり、瑲玹(そうげん)は商羊氏の娘を妃に迎えることを決めた。この決定に皓翎憶(こうれいおく)は深く悲しんだが、小夭(しょうよう)は兄の決断を支持した。月の光の下、皓翎憶(こうれいおく)は祖父に自分の想いを打ち明け、祖父の理解と支持を得て、希望の光を見出した。

同時に、五王(ごおう)たちは遷都に仮対し、老西炎(せいえん)王に助けを求めたが、拒否された。瑲玹(そうげん)は各勢力のバランスを取るため、最終的に商羊氏の娘との結婚を決めた。この知らせに馨悦(けいえつ)は深く傷つき、瑲玹(そうげん)に近づくため、小夭(しょうよう)との関係を深めようとした。

ある集まりで、小夭(しょうよう)が誤って甘松香をこぼしてしまった時、塗⼭璟(とざんけい)がすぐに駆けつけたことで、小夭(しょうよう)の心にさざ波が立った。しかし、小夭は塗⼭璟(とざんけい)を避けるような態度を取り、二人の関係は複雑なものとなった。その後、賭場で偶然相柳(そうりゅう)と出会った小夭は、彼との賭けに挑んだ。小夭は賭けには勝ったものの、相柳(そうりゅう)の言葉から彼の深い苦悩と強い意誌を感じ取った。小夭は、自分と相柳(そうりゅう)の間には決して越えられない溝があることを悟った。

夜になり、小夭と相柳(そうりゅう)は並んで歩いた。小夭は二人の間の蠱毒を解いてほしいと頼み、相柳(そうりゅう)は未練を感じながらも、それを受け入れた。二人の姿は夜の闇に消えていき、複雑で微妙な感情の縺れが残された。

第1話 感想

「長相思」シーズン2の第1話は、登場人物たちの複雑な感情と今後の展開への期待感を高める、魅力的な幕開けとなりました。

瑲玹(そうげん)の即位という慶事の裏で、それぞれのキャラクターの秘めた想いが繊細に描かれています。小夭は瑲玹(そうげん)への兄妹愛と、彼への配慮から若木の花を返却するシーンは、彼女の優しさと芯の強さを際立たせていました。瑲玹(そうげん)自身も小夭への特別な感情を抱いているように見えますが、小夭の気持ちを知っているからこそ、その想いを抑えている様子が切ないです。

一方、王妃の馨悦(けいえつ)は、瑲玹(そうげん)への葉わぬ想いに苦悩し、その焦燥感が伝わってきました。皓翎憶(こうれいおく)もまた、瑲玹(そうげん)への想いを秘め、今後の恋の行方が気になります。

遷都問題や瑲玹(そうげん)の結婚など、今後の物語を大きく動かす出来事が次々と起こり、緊張感が高まります。特に、小夭と塗⼭璟(とざんけい)、そして相柳(そうりゅう)との再会は、今後の展開を大きく左右しそうです。小夭と相柳(そうりゅう)の間に流れる独特な空気、そして蠱毒を解くという決断は、二人の関係にどのような変化をもたらすのでしょうか。

つづく