太尊(たいそん)の温かい言葉に慰められ、瑲玹(そうげん)の心労は徐々に癒えていった。彼は小夭(しょうよう)と阿珩(あこう)の違いを深く理解しており、小夭(しょうよう)の心は完全に自分に向けられていることを確信していた。そのため、小夭(しょうよう)の逃婚を咎めるどころか、喜びを感じていた。太尊(たいそん)の元を辞した後、瑲玹(そうげん)はすぐさま小夭(しょうよう)を探し出し、再会を果たす。小夭(しょうよう)の決断を全面的に支持する瑲玹(そうげん)は、豊隆(ほうりゅう)との婚約問題を必ず解決すると約束し、小夭(しょうよう)に心配は無用だと告げた。

一方、塗⼭璟(とざんけい)は自らの身を守るため、毎日策略を巡らせていた。薬を飲む振りをしながら、片方の椀の薬はこっそりと捨てていたのだ。この行動は、密かに彼を監視していた防風意(ぼうふうい)映を欺くことに成功する。しかし、防風意(ぼうふうい)映の塗⼭璟(とざんけい)への憎しみは深く、もはや我慢の限界だった。彼女は単独で毒殺計画を企て、塗⼭璟(とざんけい)をこの世から葬り去ろうと画策する。

五神山に帰郷した小夭(しょうよう)は、一族への罪悪感に苛まれていたが、同時に家族からの無条件の支えと寛容を感じていた。父である皓翎(こうれい)王に、小夭(しょうよう)は自分の望み、つまり希少な薬草を探し出すための蔵の鍵を欲しいと打ち明けた。目的は、人を救うための薬を調合するためだった。過去の出来事を振り返り、小夭(しょうよう)は防風意(ぼうふうい)映が魚丹紅に対して冷淡だった裏には、何らかの秘密が隠されていることに気付く。彼女は単純な復讐ではなく、真実を明らかにしようと決意する。皓翎(こうれい)王は道のりが険しいことを承知していたが、娘の決断を全力で支持し、中原に戻ることを許可した。

塗⼭璟(とざんけい)は周到な調査の末、毒を盛った真犯人が防風意(ぼうふうい)映の侍女、喧昼(せんちゅう)であることを突き止める。問い詰められた喧昼(せんちゅう)は、主を守るため、全ての罪を一人で背負い、最終的に自害という道を選んだ。防風意(ぼうふうい)映は一時的に難を逃れたが、塗⼭璟(とざんけい)は既に心の中で策を練っていた。時が来るのを待つ間、小夭(しょうよう)から轵邑城で会う約束の手紙を受け取る。彼はすぐに静夜(せいよ)に準備をさせ、小夭(しょうよう)との再会を胸に旅立った。

瑲玹(そうげん)は豊隆(ほうりゅう)と政務を執り行っている最中、小夭(しょうよう)の帰還を知る。瑲玹(そうげん)はこれを機に豊隆(ほうりゅう)に謝罪し、償いの提案をする。豊隆(ほうりゅう)もまた小夭との関係を振り返り、結局は面子をかけた争いに過ぎなかったと悟る。

小夭を訪ねた瑲玹(そうげん)は、彼女が塗⼭璟(とざんけい)のために香袋を刺繍しているのを見て、嫉妬心を覚える。しかし、小夭への愛情は隠しきれなかった。二人は笑い合いながら絵を描き、楽しいひと時を過ごす。この様子を、外から太尊(たいそん)と舟山(しゅうざん)が見ていた。舟山(しゅうざん)は、瑲玹(そうげん)が本当の自分を見せるのは小夭といる時だけだと呟く。太尊(たいそん)は、全てが思い通りにいくわけではないと心の中で嘆息した。

静夜(せいよ)と会った小夭は、篌が塗⼭璟(とざんけい)の愛する者を奪うことで、自分の優位性を証明しようとしているのではないかという推測を明かす。そして、小夭は静夜(せいよ)に塗⼭璟(とざんけい)への贈り物を託す。薬の入った香袋と、そして一通の手紙。手紙には、小夭は塗⼭璟(とざんけい)に無条件で自分を信じてほしいと綴り、一時的に離れることを告げる。今は静かに養生し、未来の出来事にはまず心に問いかけ、それから物事を見るようにと伝えた。

目的を果たすため、小夭は瑲玹(そうげん)に宴の開催を依頼し、招待客を厳選する。特に重要なのは4人だった。商羊妃(しょうようひ)は命令を受け、準備に取り掛かる。一方、馨悦(けいえつ)は王妃としての威厳を示すため、宴への出席を拒否し、小夭を公然と侮辱する。この時、瑲玹(そうげん)が現れ、馨悦(けいえつ)にそれとなく恥をかかせ、小夭を連れて堂々と立ち去る。驚愕する招待客を残し、二人はその場を後にした。

第8話の感想

第8話は、それぞれの思惑が交錯し、緊張感と同時に温かさも感じられるエピソードでした。特に、小夭と瑲玹(そうげん)、そして小夭と塗⼭璟(とざんけい)の関係性の変化に注目です。

小夭は逃婚という大胆な行動に出た後も、瑲玹(そうげん)からの深い愛情と理解に包まれ、安堵感を得ている様子が印象的でした。瑲玹(そうげん)は小夭の気持ちを尊重し、婚約問題を解決しようと奔走する姿は、まさに理想の兄であり、恋人と言えるでしょう。二人の穏やかなやり取りの中で、絵を描くシーンは特に心温まるものでした。互いに信頼し合い、支え合う二人の絆の深さが伝わってきました。

一方、塗⼭璟(とざんけい)は防風意(ぼうふうい)映の陰謀に巻き込まれながらも、冷静に状況を分析し、真犯人を突き止めるなど、著実に成長している様子が伺えます。小夭からの手紙を受け取り、再会を心待ちにする姿は、健気で応援したくなります。小夭もまた、塗⼭璟(とざんけい)の身を案じ、香囊と手紙を託すなど、深い愛情を示しています。二人の再会が待ち遠しいと同時に、今後の展開に不安も感じさせられます。

また、瑲玹(そうげん)と豊隆(ほうりゅう)の関係にも変化が見られました。瑲玹(そうげん)の誠意ある謝罪と提案により、二人の間のわだかまりは解消されつつあるようです。この変化が今後の物語にどのように影響していくのか、注目すべき点です。

つづく