黒豊と白夕~天下を守る恋人たち~ 第17話 あらすじ/ネタバレ
黒豊息(こくほうしょく)の苦悩
黒豊息(こくほうしょく)は心の中に多くの悩みを抱えていたが、それを打ち明ける相手もいなかった。彼は母后が眠る祠堂で静かに祈りを捧げ、心の安らぎを求めた。彼の言葉は少なかったが、その一つ一つに深い感情が込められており、過去への想いと未来への決意が伝わってきた。
先王后が亡くなった時、二殿下だった彼は、まるで浮き草のように頼るべきものを失った。しかし、彼は流されることなく、自らの努力で今日の地位を築き上げてきた。疲労と孤独に襲われることも多かったが、白風夕(はくほうせき)の出現は、先王后の魂の再来のように、彼に前進する力と勇気を与えてくれた。
百里(ひゃくり)氏(ひゃくりし)の企み
翌朝、百里(ひゃくり)氏(ひゃくりし)は豊苌に婚礼の衣装を送りつけた。彼女の意図は明らかだった。しかし、豊苌は押し付けられたこの結婚に全く興味を示さなかった。彼は、服が体に合わなければ直すことができるが、心の拒絶はそう簡単には解消できないことを知っていた。黒幕の策略に翻弄され、彼は言いようのない怒りと悲しみを感じた。
白風夕(はくほうせき)との出会い
鬱憤を晴らすため、豊苌は一人で街を歩いていると、偶然白風夕(はくほうせき)に出会った。門派に所属し、自由奔放に生きる彼女を見て、豊苌は羨ましさを感じ、手の届かない江湖(こうこ)生活に憧れを抱いた。白風夕(はくほうせき)は、江湖(こうこ)の虚像に執着しすぎる必要はないと諭しつつも、彼の苦しみを理解し、自身の経験を踏まえて適切なアドバイスを与え、彼の心を晴れやかにした。
先王后の命日
先王后の命日、雍王と黒豊息(こくほうしょく)たちは慣例に従って祭祀を行った。場面は厳粛で重々しい。しかし、百里(ひゃくり)氏(ひゃくりし)が酒杯を手に跪いた時、彼女は突然、わけのわからない恐怖と不安に襲われた。雷鳴と稲妻が轟く中、彼女はうっかり酒杯を落としてしまい、その場で取り乱してしまった。豊苌は慌てて彼女を助け起こしたが、このことで百里(ひゃくり)氏(ひゃくりし)の偽善と冷酷さをより深く認識した。
雍王の怒り
雍王は百里(ひゃくり)氏(ひゃくりし)の失態に激怒し、私的に彼女を非難した。彼は、苦労して卑しい出自の百里氏を王妃の座につけたにもかかわらず、彼女は恩を仇で返し、野心を抱いて朝政(まつりごと)を乱していることを思い出した。ついに堪忍袋の緒が切れた雍王は、百里氏を30日間禁足にすることで罰した。
環娘(かんじょう)の決意
一方、黒豊息(こくほうしょく)は侍女の環娘(かんじょう)の行く末を気にかけていた。彼は、環娘(かんじょう)が長年仕えてきたことを知っており、彼女に好きな人がいればいつでも自由にしていいと約束した。しかし、環娘(かんじょう)は深い愛情をもって、一生二殿下のそばに仕えたいと申し出た。黒豊息(こくほうしょく)は複雑な気持ちになった。
白風夕(はくほうせき)と玉無縁(ぎょくむえん)
その頃、白風夕(はくほうせき)は師兄たちと夜の街を散策し、江湖(こうこ)の若者らしい洒脱さと奔放さを楽しんでいた。白琅華(はくろうか)は、彼女と黒豊息(こくほうしょく)の関係について興味津々で、白風夕(はくほうせき)は二人に特別な感情はないと否定したが、言葉の端々に曖昧さが感じられた。その時、玉無縁(ぎょくむえん)が現れ、白風夕(はくほうせき)の注意を引いたが、彼女は弟子たちがいるため、あまり気にしなかった。
玉無縁(ぎょくむえん)は、断魂門(だんこんもん)の門主から任務を伝えに雍京に来た。彼は、四大門派の至宝を手に入れたにもかかわらず、断魂門(だんこんもん)の犠牲と惨劇を気にしていなかった。しかし、蘭因璧月が黒豊息(こくほうしょく)と白風夕(はくほうせき)の手に渡ってしまったため、彼は機会をうかがうために雍京に留まらざるを得なくなった。
百里氏の陰謀
百里氏は禁足処分を受けても反省するどころか、卑しい出自のためにさらに恨みを抱くようになった。元后の祭礼での失態により、彼女は二度と人々に笑われるまいと決意し、自傷行為で敬虔さを示すとともに、戚国公と大殿下の結婚を画策して自分の地位を固めようとした。
黒豊息(こくほうしょく)と豊苌
黒豊息(こくほうしょく)は兄の結婚を知り、手紙を書いて豊苌を慰め、自分の心に従って選択することを願った。豊苌は白風夕(はくほうせき)のアドバイスを受けて母后の百里氏を訪ねたが、彼女は再び自分の病気を利用して脅迫してきた。百里氏の強引さに、豊苌は怒りを堪えて一人で屋敷に戻り、酒に溺れた。
白建徳(はくけんとく)の思惑
白建徳(はくけんとく)は、黒豊息(こくほうしょく)の本当の身元を知り、隠泉水榭(いんせんすいしゃ)の力を借りて玄極令(げんきょくれい)の謎を解明したいと強く思った。彼は黒豊息に会い、一緒に計画を立てようと提案した。黒豊息は喜んで承諾し、天下太平を願う自分の考えを表明した。彼は、煙火の中で暮らす人々が本当に幸せになることこそが、自分の最大の願いであることを知っていた。
玉無縁(ぎょくむえん)の策略
一方、玉無縁(ぎょくむえん)は蘭因璧月を奪う方法を考え続けていた。彼は断魂門(だんこんもん)の門主に、黒豊息と白風夕の動向を監視し、機会があれば行動を起こすように命じた。黒豊息は白風夕から玉無縁の到着を知り、隠泉水榭(いんせんすいしゃ)の情報漏洩に驚き、鍾離に彼の行方を追わせた。そして、大殿下が婚約を申し込んだことを知った。彼は、兄が自分に失望してこのような選択をしたと思い込んでいたが、そこには別の事情があった。
華純然(かじゅんぜん)の決意
幽州の公主、華純然(かじゅんぜん)は、父の婿選びの命令に表面上は平静を装っていたが、内心は激しく動揺していた。彼女は、より多くの主導権を握るために、婿選びを改め、密かに誰が幽王にこの策を勧めたのかを調査することを提案した。
17話の感想
第17話は、黒豊息と白風夕の心の交流が描かれた回でした。黒豊息は母后の死や百里氏の策略に苦悩し、白風夕はそんな彼を励まし、支えていました。
特に印象に残ったのは、黒豊息が白風夕に江湖(こうこ)への憧れを打ち明けるシーンです。自由奔放に生きる白風夕の姿に、黒豊息は自分の置かれた境遇の不自由さを感じ、羨ましさを感じていました。しかし、白風夕は、江湖(こうこ)にも苦しい部分はあり、黒豊息には黒豊息にしかできないことがあると諭します。このシーンは、黒豊息が自分の役割を改めて認識し、前に進む決意をする重要な場面でした。
また、百里氏の悪事が明らかになり、雍王の怒りが爆発するシーンも印象的でした。百里氏は、自分の野心を満たすために、手段を選ばず、人々を欺いてきました。しかし、その悪事が暴かれ、ついに罰を受けることになりました。このシーンは、悪は必ず滅びるという勧善懲悪のテーマを表現しています。
つづく