始皇帝 天下統一 第20話 あらすじ/ネタバレ

紀元前245年の厳しい冬、前例のない大雪が中原を覆い尽くした。趙の邯鄲城内外は銀世界に包まれたが、迫り来る嵐の前触れは隠しきれない。毛遂の訃報が寒風のように邯鄲に届くと、趙王丹は悲しみのあまり急逝した。孝成王と諡され、趙には果たせぬ遺志と果てしない悲しみが残された。

孝成王は21年間在位し、その間に長平の戦いでの惨敗と邯鄲の戦いでの辛勝(しんしょう)を経験した。趙は必死に抵抗したが、秦の東進を食い止めることはできず、領土と国力は衰退の一途をたどった。しかし、新王即位の知らせは冬の雷のように趙に響き渡った。太子である趙佾(ちょういつ)は王位継承から完全に排除され、帰国して喪に服することも許されなかった。

秦国内でも暗雲が立ち込めていた。樊於期(はんおき)は戦の到来を悟り、兵権を得るため李斯(りし)に高価な酒を贈って協力を求めた。李斯(りし)は少し考えた後、「燕と手を組み趙を攻める」という策を提案した。この提案は嬴政(えいせい)の野心をさらに強め、国庫が潤っているうちに趙を滅ぼそうと決意させた。嬴政(えいせい)の決意は呂不韋(りょふい)の黙認を得た。呂不韋(りょふい)は当初ためらっていたが、嬴政(えいせい)の天下統一への壮大な志に心を打たれ、支持することを決めた。

趙の邯鄲では、趙王偃(うえん)は反撃を企てるが、老将の廉頗の猛烈な反対に遭う。怒った偃王は廉頗を代相の職から解任し、奸臣の郭開(かくかい)に相印を与えた。廉頗は落胆して去り、朝野は驚きと困惑に包まれた。邯鄲城内は人心惶々となり、周辺諸国はそれぞれ思惑を巡らせた。特に燕は顕著だった。燕王喜は宿敵である趙への復讐を忘れず、秦の合攻の誘いに応じて文武を集めて協議した。最終的に、嬴政(えいせい)の旧知である燕太子・姬丹(きだん)を咸陽に派遣して大計を共にすることを決めた。

李斯(りし)は呂不韋(りょふい)が趙攻めを承認したことを知り、驚きながらも内心では自分の思惑を巡らせた。呂不韋(りょふい)は趙国内の動きを知ると、趙の衰退を予感したかのように喜びの表情を浮かべた。一方、郭開(かくかい)は丞相の地位を得たものの、廉頗の復讐を恐れて趙偃(ちょうえん)に上奏し、廉頗の兵権を剥奪するよう求めた。趙偃(ちょうえん)はためらったものの、郭開(かくかい)の涙ながらの訴えに根負けして承諾した。

夜が更け、李斯(りし)は宮中で警護をしていたが、嬴政(えいせい)に呼ばれた。王の言葉に込められた真意を理解した李斯(りし)は、秦に「忠臣がいない」という欠点を率直に述べ、自ら仕官して秦の天下統一に貢献したいと申し出た。

趙の国境では、廉頗の後任として楽乘が派遣されたが、廉頗から痛烈な非難を浴びせられ、面目を失った。部下の兵士たちは憤慨し、反乱を起こそうとしたが、廉頗は大局を悟って涙ながらに兵権を明け渡し、単身で去っていった。趙には空虚な軍営と果てしない後悔が残された。

毛遂、廉頗といった柱石を失った趙は、風前の灯火のようだった。楽乘、卿秦などの将軍も次々と辞職し、李牧は北辺にいるため、趙の朝廷には大任を担える人物がいなくなった。一方、郭開(かくかい)は勢力を伸ばし、権力を握っていった。咸陽では、姬丹(きだん)と嬴政が再会した。二人は旧情を懐かしむ一方で、国家の利益を考えた熟慮と復讐への固い決意を胸に秘めていた。

天下の命運をかけた戦いが、静かに幕を開けた。

第20話の感想

第20話は、趙の混乱と秦の野望が交錯する緊迫感のある内容でした。

趙では、孝成王の急逝と太子趙佾(ちょういつ)の排除により、国政が混乱に陥りました。老将廉頗の罷免、奸臣郭開(かくかい)の台頭など、趙の衰退が如実に描かれています。

一方、秦では、李斯の策略により、趙攻めが決定しました。李斯は、秦の「無忠臣」という欠点を指摘し、自ら仕官することで、嬴政の天下統一に貢献しようとします。

また、燕太子・姬丹(きだん)の登場も注目すべき点です。姬丹(きだん)は、嬴政の旧知であり、復讐を誓って咸陽を訪れます。両国の思惑が交錯する中で、今後の展開が気になります。

つづく