始皇帝 天下統一 第24話 あらすじ/ネタバレ
驪宮を去ってから、嬴政(えいせい)の心はまるで目に見えない鎖で縛られているかのようだ。寝殿では、彼はよく独りで考え込み、眉間には芈華への深い思慕が刻まれている。国事さえも彼の心を揺さぶることはできない。幼い頃からずっとそばにいた侍女、冬児(とうじ)は嬴政(えいせい)の苦悩を目の当たりにして、複雑な気持ちを抱いている。彼女が嬴政(えいせい)に抱く深い情愛は、春の細雨のように静かに潤すものの、彼の心を射止めることはできず、ただ「兄さん」というため息だけが返ってくる。
嬴政(えいせい)をこのまま苦しませないように、冬児(とうじ)は勇気を振り絞って趙姬(ちょうき)に彼の想いを打ち明ける。そして、母としての威厳で彼を目覚めさせるために、咸陽にすぐに帰るように懇願する。趙姬(ちょうき)は華陽太后(かようたいこう)的策略と、斉との和親の計画を知っている。そこで、彼女は離秋姫を駒として使い、一石二鳥を狙う。華陽の陰謀を阻止し、秦と斉の同盟を固めるのだ。
華陽太后(かようたいこう)は趙姬(ちょうき)の帰還を知ると、冷笑を浮かべる。彼女はすでに別の策略を準備しており、芈啓に趙姬(ちょうき)の帰還時に芈華を密かに連れ去らせるように命じていた。これは嬴政(えいせい)の決断力を試すための策略だ。一方、嫪毐(ろうあい)は咸陽城外で秘密裏に準備を進め、大鄭宮の秘密が漏れないように厳重に封鎖していた。
趙姬(ちょうき)の車はゆっくりと咸陽に入り、文武百官が列をなして出迎える。しかし、嬴政の姿はない。呂不韋(りょふい)はこれを機に、得意作である『呂氏春秋』を披露し、咸陽中を騒がせる。しかし、嬴政の心はもはやそこにはない。彼は芈華が去ろうとしていることを知り、彼女の想いを繋ぎとめるために、必死に追いかける。芈華は自分の立場が不確かであることを自覚しており、嬴政の重荷になりたくないと思っている。しかし、嬴政の熱い告白には抗えず、韓霓(かんげい)夫人が嬴異人(えいいじん)に対して抱いていた深い愛情を例に挙げ、彼と結婚するという誓いを立てる。
章台宮に到着した趙姬は、嬴政が迎えに来ていないことに落胆する。趙姬の問いに対して、嬴政は芈華を皇后に立てたいと率直に答え、彼女の身分と来意を詳しく説明する。趙姬は彼の深い愛情を感じながらも、政治的な理由から、嬴政と斉の離秋姫との和親を強行する。王権の渦中にいる嬴政は、抵抗する力もなく、ただ無力感と苦痛に耐えるしかない。
夜が更け、嬴政は「男」として趙姬に、自分が一人でやっていけるという決意を伝える。趙姬は彼の言葉を聞いて、複雑な気持ちになる。翌日、彼女は冬児(とうじ)を呼び出し、嬴政の本当の気持ちを探ろうとする。冬児(とうじ)の涙を見て、趙姬は嬴政の知られざる一面を知る。彼女は将来、冬児(とうじ)に名分を与えることを約束するが、今は斉との婚姻計画を進めなければならない。
この夜、咸陽城は月光に照らされていたが、王宮内の複雑で重い空気は照らし出されなかった。嬴政は権力の頂点に立っているにもかかわらず、かつてない孤独と無力感を感じている。一国の君主として、彼のすべての決断が国の運命に関わることを彼は知っている。個人的な感情は心の奥底にしまい込まなければならない。冬児、芈華、離秋、これらの名前は、夜空で最も明るい星のように、彼の進む道を照らし、その道をより確固たるものにし、より孤独なものにしていく。
第24話の感想
第24話は、嬴政の葛藤と決意が描かれた、非常に重い回でした。彼は芈華への愛と王としての責任の板挟みになり、苦悩する姿が印象的でした。
特に、冬児の涙には胸を打たれました。彼女は嬴政をずっと見守り、彼の苦しみを誰よりも理解している存在です。しかし、彼女自身の想いは叶わず、ただ「兄さん」と呼ばれるだけという切ない立場に置かれています。
趙姬もまた、嬴政を愛するが故に苦悩する人物です。彼女は息子の幸せを願っていますが、同時に王としての責任も理解しています。そのため、嬴政と芈華の恋を応援しながらも、斉との和親を進めざるを得ないというジレンマを抱えています。
つづく