始皇帝 天下統一 第25話 あらすじ/ネタバレ
咸陽の都は、秋風に翻る落ち葉のように、騒然として落ち着きを欠いていた。この古都では、秦王嬴政(えいせい)の結婚を巡る争いが静かに繰り広げられていた。その中心にいるのは、内宮の奥深くに潜む二人の太后、華陽太后(かようたいこう)と趙姫(ちょうき)である。
華陽太后(かようたいこう)は、かつての輝きを失ったとはいえ、先秦王の後として、その地位は依然崇高であった。趙姫(ちょうき)の挑発にも動じず、権力闘争でどのように挽回するかを思案していた。一方、趙姫(ちょうき)は恨みを胸に、賭けを持ちかけてきた。嬴政(えいせい)が羋華を娶れば華陽宮の禁を解き、離秋公主を娶れば華陽宮の予算を半減させるという内容だった。しかし、華陽太后(かようたいこう)はそれに動じず、嬴政(えいせい)の意思決定にどのように影響を与えるかを考えていた。
章台宮の決断
章台宮では、秦王嬴政(えいせい)は容赦なく李斯(りし)を拘束し、結婚問題の解決を迫った。李斯(りし)は秦の重臣として、後宮の私事に干渉すべきではなかったが、王の威圧に屈し、苦悩の末に妥協案を提示した。それは、斉と楚の両方の姫を娶るというものであった。この策は、嬴政(えいせい)の個人的な感情と政治的なバランスの両方を考慮しており、どちらの勢力も敵に回さないというものであった。嬴政は少し考えた後、この策は実行可能だと判断したが、立后の道のりは困難であることを十分に認識していた。
楚の思惑
一方、楚太子景涵(けいかん)は相府を訪れ、趙姫(ちょうき)が嬴政のために斉の姫を妻に選んだという情報を聞き、困惑と不安を隠せなかった。羋華は、この話を聞いても動揺することなく、運命は自ずと決まると信じ、嬴政が本当に望むのであれば、迎えに来てくれると確信していた。
また、羋完 (びかん)は華陽太后(かようたいこう)が羋姓の女子を皇后にしようとしていることを知り、最初は楚と秦の関係を強化できると喜んだが、斉の姫の登場に不安を感じ、華陽太后(かようたいこう)に手紙を書いて、楚の安寧のために羋華を宮廷に入れるよう求めた。
趙の抵抗
趙では、郭開(かくかい)が趙偃(ちょうえん)に趙の姫を嬴政に嫁がせて利益を得ようと提案したが、趙偃(ちょうえん)は激怒し、趙の姫を秦に嫁がせることは絶対にないと断言した。この出来事は、六国間の複雑な情勢をさらに悪化させた。
三虱争彘の教訓
李斯(りし)は使命を果たすため、呂不韋(りょふい)を訪ね、「三虱争彘」の故事を巧みに使って、斉と楚の両方の姫を娶るという策の賢さを説得した。呂不韋(りょふい)はそれを理解し、すぐに賛同した。李斯(りし)は任務を完了し、その夜、祝宴を開いた。席上、学子たちは学問について熱心に語り合い、穆歌の仲介で法家と儒家の争いは収まった。しかし、李斯(りし)は同窓の韓非への恩を忘れないことを心に誓った。
趙姫(ちょうき)の企み
趙姫は羋華に諦めさせるために、わざと接風宴を開き、羋華を人前で恥をかかせようとした。宴では、趙姫の意図的な嫌がらせと離秋公主の優れたパフォーマンスに、羋華は大きなプレッシャーを感じ、席を立ってしまった。嬴政はそれを知ると、羋華を追いかけて出て行った。趙姫は心配そうに立ち尽くし、呂不韋(りょふい)が現れて場を収めた。後宮の争いは、まだ始まったばかりだった。
第25話感想
第25話は、秦王嬴政の結婚問題を巡る、後宮の駆け引きと権力闘争が描かれた回でした。
華陽太后と趙姫の対立は、それぞれの思惑が交錯し、緊迫感に満ちていました。華陽太后は老獪な政治手腕で趙姫の挑発をかわし、嬴政の意思決定に影響を与えようとします。一方、趙姫は賭けを持ちかけることで、嬴政の結婚相手を羋華にしようと画策します。
李斯が提示した斉と楚の両方の姫を娶るという妥協案は、嬴政の個人的な感情と政治的なバランスを考慮したものでした。しかし、この策は六国間の複雑な情勢をさらに悪化させる可能性もあり、今後の展開が気になります。
羋華と離秋公主の対比も興味深かったです。羋華は楚の姫として、楚と秦の関係を強化することを使命としています。一方、離秋公主は秦王の寵愛を得るために、あらゆる手段を用いて競い合います。
つづく