始皇帝 天下統一 第30話 あらすじ/ネタバレ

第30話: 権謀暗躍、戦雲密布

戦国の烽火が再び燃え上がり、咸陽では流言が野火のように広がった。民衆はひそひそと噂し、公子成蟜(せいきょう)の馬術が秦王嬴政(えいせい)より優れていると語り、中には嬴政(えいせい)の地位が単に年長であるという理由で得られたと妄言する者もいた。嬴政(えいせい)は冷静に対処したが、母である趙姫(ちょうき)は心配を隠せず、韓霓(かんげい)を宮殿に呼び出して厳しく警告し、流言が災いとならないよう王室の安寧を保つよう命じた。

韓霓(かんげい)は家に帰っても心が落ち着かず、野馬を殺して禍を避けることを考えたが、成蟜(せいきょう)が駆けつけてきて、切々と懇願したため、心が揺らいだ。一方、呂不韋(りょふい)は相変わらず外交戦略を練り、李斯(りし)は鋭い言葉で功績と過失を指摘し、朝堂に暗雲が立ち込めた。呂不韋(りょふい)は心中では万感の思いがあったが、大勢は嬴政(えいせい)の決意を阻むことはできないと理解していた。

龍城では戦局が急変した。秦の将軍蒙骜が病で倒れ、趙軍は反撃して失地を奪還した。趙偃(ちょうえん)は龍台宮で祝宴を催したが、蒙骜は咸陽で病死し、臨終の際には未完成の事業を案じて、呂不韋(りょふい)に嬴政(えいせい)を補佐して天下を平定するよう遺言を残した。間もなく、秦庄襄王の母である夏太后も崩御し、国中が哀悼に包まれた。そんな中、成蟜(せいきょう)と宮女の叶の密会が静かに始まった。

韓霓(かんげい)は風を避けるため、兄である韓王安に助けを求め、姚賈の助言で困境を脱しようと手紙を書いた。一方、嬴政は密かに50万の大軍を編成し、桓齮(かんき)と王翦(おうせん)を将軍に任命して六国を統一する決意を固めていた。韓公子雲の来訪はさらなる変数を生み、成蟜(せいきょう)に韓を攻めるよう提案したが、その真意は擁立にあった。韓霓(かんげい)は彼の意図を理解していたが、仕方なく承諾した。

韓霓(かんげい)は嬴政に願い出たが叶わず、呂不韋(りょふい)に助けを求めたが、彼の巧妙に仕掛けられた策略に嵌ってしまった。李斯(りし)は陰謀を見抜いていたが、静観して嬴政に呂不韋(りょふい)の真の姿を見せることにした。呂不韋は趙姫(ちょうき)を利用して成蟜(せいきょう)に出征の詔書を出し、兵符を与えた。成蟜は樊於期(はんおき)と嬴虞(えい ぐ)を連れて国境に向かった。

嬴政は激怒し、阻止しようとしたが遅かった。李斯(りし)は樊於期(はんおき)を同行させて成蟜の安全を確保するよう提案したが、実際には監視の意味があった。秦軍が国境に到着すると、成蟜は慎重に行動し、陽城に駐屯して防衛線を構築した。一方、韓霓は不安を募らせ、華陽太后(かようたいこう)に韓国の陰謀を明かそうとしたが、太后から国事は児戯ではなく、慎重に事を進めるべきだと叱責された。

咸陽城外には戦雲が立ち込め、朝堂内には権謀が渦巻いていた。嬴政と李斯(りし)、呂不韋の駆け引きは戦国の形勢を静かに変えていた。この権力闘争で誰が最後に勝ち残り、誰が生き残れるのか、すべてはこれから明らかになる。

第30話感想

第30話は、権謀渦巻く戦国時代の緊張感が見事に描かれていました。咸陽では流言が飛び交い、朝堂では呂不韋と李斯(りし)が暗闘を繰り広げ、戦場では秦と趙が激突します。各陣営の思惑が交錯する中で、嬴政の決断と行動が物語を大きく動かしていく展開は、目が離せませんでした。

特に印象に残ったのは、嬴政と呂不韋の駆け引きです。呂不韋は成蟜を擁立して王位を狙っていますが、嬴政はそれを察知し、巧妙な策を講じて対抗します。二人の知略がぶつかり合う様子は、まさに息を呑むような緊迫感がありました。

また、成蟜と韓霓の悲恋も物語に深みを与えていました。互いに愛し合いながらも、立場や運命に翻弄される二人の姿は、切なくも美しいものでした。

つづく