始皇帝 天下統一 第51話 あらすじ/ネタバレ

秦の朝廷では、外客の運命を左右する大きな波が静かに押し寄せていた。水路問題の解決策が見つかったにもかかわらず、嬴傒(えいけい)の心は外客の政治への関与という問題に深く揺さぶられていた。彼は李斯(りし)的「諫逐客書」を秦の朝廷に提出し、外国人に対する偏見を変えようと考えたが、家族の情に絆されて心が揺らぎ、知恵と先見の明が詰まった書物は、ため息とともに灰燼と化した。

一方、趙の邯鄲では、陳馳(ちんち)が綿密に計画した策略がその威力を発揮し始めていた。民衆は外客に対する不満を募らせ、外客たちも待遇の悪化や郭開(かくかい)の横行に不満を抱き、趙王偃(うえん)と朝廷への非難の声が日増しに高まっていた。趙偃(ちょうえん)は秦の朝廷の要職に就く外客を招き入れるという幻想に浸っており、黄金台の混乱には全く気づいていなかった。郭開(かくかい)は急場凌ぎに新女閭を餌にして、なんとか一時的に事態を収拾した。

しかし、頓弱(とんじゃく)と趙佾(ちょういつ)が連名で郭開(かくかい)の汚職を告発したことで、事態は急変した。郭開(かくかい)は負けじと反撃し、趙にいる秦の外客と邯鄲の商人たちに罪をなすりつけた。趙偃(ちょうえん)は窮地に陥り、陳馳(ちんち)が外客たちを率いて宮殿の外で抗議の声を上げると、怒りに駆られてすべての外客を追放する命令を出した。こうして、趙と秦の2国が外客の獲得を巡って争った戦いは、趙の敗北という形で幕を閉じた。

秦では、突然の暴雨によってさらに深刻な危機が訪れた。大渠が決壊し、人々は家を失い、田畑は水浸しになった。宗室の貴族たちは責任を押し付け合ったり、問題を軽視したりして、誰も責任を負おうとしなかった。嬴傒(えいけい)は雨の中を一人歩き回り、複雑な気持ちに包まれていた。一方、嬴政(えいせい)は鄭国(ていこく)を連れて被災地に向かい、決壊を修復する策を提案した。彼は外客と宗室はそれぞれに長所があり、秦が繁栄するためには人材を広く登用する必要があることを行動で示した。

この危機の中で、嬴傒(えいけい)はついに「諫逐客書」の深い意味を理解した。彼は黙々と書物を書き写し、嬴政(えいせい)に提出した。翌日、章台宮では、嬴政(えいせい)が宗室の重臣たちを集めてこの書物を公開し、全員に読誦するよう命じた。逐客令の誤りと危険性は、一字一句に表れていた。宗室のメンバーは当初は抵抗していたが、後に賛同し、最終的には嬴政(えいせい)と協力して秦の東方進出という大計を謀ることに決めた。

逐客令が廃止されると、外客たちは続々と秦に帰国し、鄭国(ていこく)は水路の修復を命じられ、李斯(りし)は廷尉の職に任命された。李斯(りし)はこれを機に、頓弱(とんじゃく)と辛勝(しんしょう)という2人の優秀な人材を推薦した。頓弱(とんじゃく)は外交能力を買われて客卿となり、辛勝(しんしょう)は廷尉府護府都尉に暫定的に任命され、その実力を試されることになった。

この騒動の後、秦の朝廷は上下が団結し、内外の紛争は収束した。嬴政(えいせい)と李斯(りし)は、未来の道のりが険しいことを十分に理解しており、より確固たる歩みで六国統一への道を歩んでいく決意を新たにした。

第51話感想

第51話は、秦と趙の対照的な姿を描いた、非常に興味深いエピソードでした。

秦では、嬴政が外客の重要性を理解し、逐客令を廃止する決断を下しました。この決断は、秦の未来にとって大きな意味を持つものであり、嬴政の度量と先見の明を感じさせるものでした。また、李斯(りし)が外客登用の重要性を説く「諫逐客書」が重要な役割を果たしたことも印象的でした。

一方、趙では、趙王偃(うえん)の無能さと郭開(かくかい)の腐敗によって、外客に対する弾圧が強まり、最終的には趙から外客を追放するという事態となりました。このことは、趙の衰退を招く大きな要因となり、秦との力の差がさらに広がることになりました。

つづく