始皇帝 天下統一 第52話 あらすじ/ネタバレ

秦国の内政が安定し、秦王嬴政(えいせい)は広大な中原大陸へと目を向けた。六国は弱体化していたものの、根強く残る兵力、領土、人口は、大秦の天下統一の障害となっていた。嬴政(えいせい)は、文による戦いを先導し、その後武力で征服することを決意。最初の目標は魏国の垣、蒲、衍の三地であり、趙、韓、魏、楚の連携を断ち、合従の勢力を瓦解させ、天下統一の趨勢を明らかにし、列国の戦意を揺さぶることを目的とした。

天下に宣告した後、嬴政(えいせい)は魏国が逆賊嫪毐(ろうあい)と結託したことを理由に、楊端和を主将、李信を副将とする軍を率いて魏国に攻め込んだ。秦軍は潮のように押し寄せ、魏国の国境は殺伐とした雰囲気に包まれた。李信は戦車の上に立ち、燃えるような視線で、谷間に立ち上る煙と激しく戦う両軍を見つめ、断崖絶壁から奇襲をかけ、垣城を一気に奪取することを決意した。秦軍の士気は高揚した。

魏王增(ぎおうぞう)は知らせを聞いて驚き、急いで群臣を集めて対策を協議した。朝議では、戦を主張する者が参戦を願い出、食料を供出する者が慷慨解囊したが、魏国の国力が枯渇していることは考慮されていなかった。龍陽君は割地して講和することを主張し、魏霑(ぎせん)は趙国と共同で秦に抵抗することを提案した。利害を比較検討した結果、魏王增(ぎおうぞう)は外交に長けた魏霑(ぎせん)を再び趙国に派遣して援軍を求めることにした。

この時の趙国では、趙王偃(うえん)は酒色に溺れており、垣城陥落の知らせを聞いても知らぬふりだった。魏霑(ぎせん)が涙ながらに訴えて初めて事態の重大さに気づき、やっと面会を承諾した。一方、咸陽城では、嬴政(えいせい)は捷報を受け、勢いに乗じて楊端和と李信に側面を気にせず蒲陽を全力で攻撃するよう命じた。秦軍が趙軍の側面を夜襲する計画は、桓齮(かんき)、王翦(おうせん)、蒙武などの将軍の及时な増援によって阻止され、戦局は膠着状態となった。

一方、趙国の朝議では、春平君(しゅんぺいくん)趙佾(ちょういつ)が援軍を派遣することを強く主張し、密かに李牧と連絡を取り、南下する準備を進めていた。しかし、郭開(かくかい)は趙国全体のことを考えて出兵に反対し、趙国を秦との全面戦争に巻き込むのは得策ではないと主張した。趙偃(ちょうえん)は趙佾(ちょういつ)の勝手な行動を疑い、趙佾(ちょういつ)は憤慨して席を立ち、趙国の未来を深く憂慮した。

魏国は孤立無援となり、韓、斉に援軍を求めざるを得なかった。嬴政(えいせい)はこれを察知し、李斯(りし)と姚賈を韓、斉に派遣して列国の同盟を瓦解させようとした。李斯(りし)は韓国で韓非子(かんぴし)に回避されたが、韓王安の弱腰と張讓(ちょうじょう)の対応により、秦は韓国の弱体さを知った。姚賈は斉国で斉相後勝(こうしょう)の貪欲さを利用し、巧妙な計略を巡らせて、斉国に援魏を諦めさせ、秦と修好させた。

韓、斉が退却し、趙が躊躇していることで、魏国は完全に窮地に陥った。嬴政は群臣を集めて魏を滅ぼすための計略を練った。彼は、大秦が東に出るためには、まず三晋、すなわち趙、魏、韓の三国を制圧しなければならないと強調した。会議では、群臣がそれぞれ意見を述べ、熱気と緊張が漂う中、天下の趨勢を左右する決戦の幕が切って落とされようとしていた。

このエピソードでは、嬴政の雄大な才能と秦軍の無敵の勇猛さを目の当たりにする一方で、六国間の微妙な関係とそれぞれの国の無力さを痛感させられる。歴史の車輪は容赦なく進み、大秦の天下統一はもはや止められない。

第52話感想

第52話では、秦の天下統一に向けた勢いが加速し、魏国の苦境が描かれました。嬴政の戦略的な手腕と秦軍の圧倒的な強さ、そして魏国の孤立無援の状況が鮮明に描かれており、秦の天下統一が目前に迫っていることを感じさせます。

特に印象的だったのは、魏王增(ぎおうぞう)の苦悩と魏霑(ぎせん)の奮闘です。魏王增(ぎおうぞう)は、国力の衰退を痛感しながらも、最後まで抵抗を試みますが、秦の圧倒的な力の前には無力でした。魏霑(ぎせん)は、趙国に援軍を求めるために奔走しますが、趙国の内紛に阻まれ、思うような成果を得られませんでした。

このエピソードは、天下統一という大きな流れの中で、個々の国の苦悩と無力さを浮き彫りにしています。また、嬴政の冷酷さと秦軍の強さを改めて認識させられる内容でした。

つづく