始皇帝 天下統一 第56話 あらすじ/ネタバレ

邯鄲の陰鬱な空の下、龐煖の厳重な護衛のもと、趙偃(ちょうえん)は咸陽への旅に出発した。春平君(しゅんぺいくん)趙佾(ちょういつ)と李牧は、幼い公子遷が重責を担うのは難しく、趙国が女性の権力争いに陥るのではないかと懸念を抱いていた。そこで李牧は、邯鄲の贅沢な風潮が危険であるとして、趙偃(ちょうえん)が咸陽で不測の事態に遭った場合に公子嘉(こうしか)を擁立して政変を起こすことを提案した。

咸陽城内、趙偃(ちょうえん)と秦王嬴政(えいせい)は肩を並べて大殿に歩み入る。二人の気迫は互角で、両側の群臣は緊張した面持ちで立ち尽くしていた。秦国の楽舞が先陣を切って登場し、整然とした軍容と壮大な气势が趙国の使節団に大きなプレッシャーを与えた。趙偃(ちょうえん)はこれに負けじと龐煖に趙軍を呼び寄せ、舞を披露させた。両軍が対峙するような緊張感が漂う。

宴席では、嬴政(えいせい)は趙偃(ちょうえん)に旅の無事を尋ねた。趙偃は両国の車軌の違いと旅の苦労を訴え、嬴政(えいせい)はこれを機に軌間を統一し、両国を結ぶ馳道を建設することを提案する。しかし、趙偃はこれを拒否し、両者の間に緊張が走った。

趙軍の舞は、練習不足にもかかわらず、整然とした隊形で野性味あふれる美しさを表現していた。嬴政(えいせい)は操演の巧みさを称賛するが、趙偃は勝負にこだわる。嬴政(えいせい)は、秦軍は規律が厳格で气势が壮大、趙軍は整然として野性味があると評し、それぞれに長所があると述べた。最終的に、嬴政は客を優先するとして趙偃に軍配を上げ、趙偃は得意げな表情を浮かべた。

驪山での狩猟は、単なる競技ではなく、趙偃と嬴政の思惑が交錯する駆け引きだった。趙偃は、狩猟の獲物の数で会盟の主導権を握ろうと企み、嬴政は趙偃の策略を見抜き、李信ら精鋭の護衛を配備して警戒を強めた。

狩猟中、趙偃と嬴政は協力して鹿を仕留めるが、その直後に嬴政を狙った矢が飛んできた。李信が身を挺して矢を防ぎ、秦軍が趙軍よりもわずかに多くの獲物を得た。しかし、趙偃は李信の正体を見抜き、狩猟の公正性に疑問を呈した。

趙国の重臣は、趙偃に秦との盟約を急ぐように進言する。趙偃は表面上は同意するが、密かに龐煖に咸陽の動向を探るよう命じた。一方、燕の太子丹は咸陽に現れ、渭陽君(いようくん)を利用して趙秦の会盟を阻止しようとするが、嬴政によって軟禁されてしまう。

李斯(りし)は嬴政に、燕の太子丹と盛大に会見することで趙偃に圧力をかけ、盟約の締結を迫ることを提案する。しかし、嬴政は太子丹の命を考慮し、趙偃が去った後に渭陽君(いようくん)邸で会見することを決めた。

一方、趙佾(ちょういつ)が送り込んだ刺客が秦軍に捕らえられた。渭陽君(いようくん)と芈啓は、刺客を趙偃に引き渡し、趙国内乱を誘発することを提案するが、李斯(りし)は反対し、嬴政も同意する。

趙偃は秦軍の頻繁な軍の動きを察知し、秦が戦の準備をしているのではないかと疑い始める。龐煖らも、趙偃の不在時に秦が邯鄲を奇襲するのではないかと懸念を抱く。会盟と暗闘をめぐる戦いは、咸陽内外で静かに始まった。趙秦両国の運命は、一触即発の状況に陥った。

第56話 感想

第56話は、趙偃と嬴政の駆け引きが白熱する回でした。両者とも一歩も譲らず、緊迫した雰囲気の中にも互いの実力を認め合う場面が見られました。

特に印象的だったのは、狩猟のシーンです。趙偃は狩猟の獲物の数で会盟の主導権を握ろうと企み、嬴政は趙偃の策略を見抜き、李信ら精鋭の護衛を配備して警戒を強めた。この駆け引きは、両者の知略がぶつかり合うスリリングな展開でした。

また、李信が趙偃を狙った矢を防いだシーンも印象的でした。このシーンは、李信の忠誠心と嬴政への強い思いが伝わってくる感動的な場面でした。

つづく