始皇帝 天下統一 第57話 あらすじ/ネタバレ

邯鄲の趙国では、秦国の動きに緊張が高まっていた。龐煖や他の重臣たちも、秦王・嬴政(えいせい)の野心を察知し、趙国が標的にされるのではないかと不安を募らせていた。

そんな中、昌平君(しょうへいくん)・羋啟は趙王・偃を連れ出して遊興に出かける。そこで、秦軍が大量の食料を運搬している様子を目撃した羋啟は、異変を感じ取り、趙偃(ちょうえん)に秦国との協定を結ぶよう進言する。

趙偃(ちょうえん)は、秦軍が20万人の兵士を3ヶ月間も養えるほどの食料を備蓄している事実を知り、驚きを隠せない。事態を把握するため、趙偃(ちょうえん)は嬴政(えいせい)に直接会いに行くことを決意する。

対面した趙偃は、嬴政(えいせい)に趙国の行く末を尋ねる。嬴政は、匈奴との同盟、秦国との友好関係、韓・魏の占領、斉・燕の併合という趙国を最強国家へと導く壮大な計画を趙偃に語る。さらに、趙偃が燕を攻め、後方を固めるべきだと助言する。

趙偃は嬴政の計画に感銘を受けるものの、もし自分が秦王だったら楚を攻め、名声を高めたいと考える。嬴政は趙偃の言葉に表情を曇らせるが、すぐに取り繕い、感動した様子を見せる。

一方、趙国内では燕の太子・丹が行動を制限されていたため、わざと贏杰(えいかつ)に怪我を負わせ、謝罪の宴を催す。その隙に、丹は贏杰(えいかつ)を酔わせ、趙姫(ちょうき)のもとへと向かう。趙姫(ちょうき)は秦趙の同盟話を聞き、激怒し、趙偃の暗殺を企てる。

趙偃は、嬴政が楚を攻めるつもりだと勘違いし、同盟を利用して燕を裏切るつもりでいた。しかし、同盟締結の直後、趙偃は暗殺されてしまう。激怒した趙偃は、3日以内に犯人を見つけなければ、決して許さないと嬴政に詰め寄る。

嬴政は側近と相談し、趙偃の猜疑心を逆手にとって、羋啟に暗殺事件を伝え、自分にも責任はないと主張する。しかし、趙偃は納得せず、趙姫(ちょうき)は嬴政の差し金であり、背後に大きな陰謀があると疑う。

嬴傒(えいけい)は燕の太子・丹に接近し、丹の安全を気遣う様子を見せるが、これも嬴政の策略であった。趙偃が咸陽を去ろうとした時、燕の太子・丹と嬴傒(えいけい)が一緒にいるところを目撃し、疑念を深めた趙偃は、嬴政に会い、同盟を急ぐ。

同盟式典当日、趙偃の家臣が燕の太子・丹が趙偃の暗殺を企てたと報告する。趙偃はこれを利用し、嬴政に丹の首を差し出すことを同盟の条件として要求する。嬴政は仕方なく承諾し、蒙恬に死刑囚を丹に見立てて処刑させる。趙偃は疑うことなく、丹の首を確認し、同盟に署名する。

趙偃は秦燕の関係が悪化したと喜び、燕を攻める絶好の機会だと考える。しかし、実際にはより複雑な権力闘争が始まったばかりであり、趙偃と嬴政の対立は序章に過ぎなかった。

第57話の感想

第57話は、趙国と秦国の緊張が高まり、陰謀と策略が渦巻く展開がスリリングでした。

趙偃は、嬴政の壮大な計画に感銘を受けながらも、内心では野心を抱き、対立を深めていきます。嬴政もまた、趙偃の猜疑心を巧みに利用し、自身の野望を達成しようとします。

特に、趙偃の暗殺事件とその真相究明の過程は、ハラハラドキドキするものでした。嬴政の策略に翻弄される趙偃の姿は、見ていて気の毒に感じましたが、同時に、彼の猜疑心が招いた悲劇ともいえるでしょう。

また、燕の太子・丹の暗躍も見逃せません。嬴政の策略に巻き込まれながらも、趙国への復讐を果たそうとする姿は、同情を誘います。

つづく