始皇帝 天下統一 第58話 あらすじ/ネタバレ
趙偃(ちょうえん)は一言で嬴政(えいせい)を屈服させ、燕太子丹の首を差し出させると信じていた。しかし、秦の宮廷では嬴政(えいせい)は趙偃(ちょうえん)の狡猾さを嘲笑していた。彼は趙国内部の暗闘を知っており、趙佾(ちょういつ)の野心が趙の燕討伐の障害となることを悟っていた。そこで、密かに頓弱(とんじゃく)を趙に派遣し、趙佾(ちょういつ)の反乱を阻止するよう命じた。
燕太子丹は趙偃(ちょうえん)の思惑通りに命を落とすことなく、咸陽の獄中で嬴政(えいせい)と対面した。姬丹(きだん)の目には怒りと不屈の光が宿っていた。彼は嬴政(えいせい)に、趙偃(ちょうえん)の残虐行為を忘れたのかと問いただし、秦趙の盟約を破棄して燕と同盟を結び、趙への復讐を果たすよう懇願した。嬴政(えいせい)は姬丹(きだん)の訴えに心を動かされたものの、今は軽はずみな行動を起こすべき時ではないと考え、彼の願いを拒否した。
趙佾(ちょういつ)の野心は、趙偃(ちょうえん)と秦の同盟によってさらに膨れ上がった。彼は密かに兵を集め、趙偃を襲撃して王朝交代を果たし、宗室の栄光を取り戻そうと企てた。しかし、趙偃はすでに趙佾(ちょういつ)の周りに密偵を配置しており、彼の陰謀をすべて把握していた。趙佾(ちょういつ)が勝利を確信して攻撃を開始しようとしたまさにその時、倡女(しょうじょ)が軍勢を率いて突如出現し、趙佾の陰謀を完全に粉砕した。趙佾は悲憤に暮れながらも、倡女(しょうじょ)に捕らえられてしまった。
趙偃は郭開(かくかい)に、秦の戦略を漏らした。それは、楚を攻撃するふりをして、実際には趙を弱体化させるというものであった。彼は龐煖に燕の薊城への攻撃を命じ、同時に李牧を邯鄲に呼び戻して不測の事態に備えた。一方、嬴政は綿密な計画を立て、表面上は楚を攻撃するふりをして、実際には兵力を秦趙国境に移動させた。また、姚賈を魏に派遣して趙魏の関係を悪化させ、李牧を南下させて邯鄲の防衛力を弱体化させた。
紀元前236年、龐煖率いる趙軍は燕軍を次々と破り、薊城は危機に瀕した。しかし、趙偃はこれがすべて嬴政の罠であることに気づいていなかった。燕王は止むを得ず使節を秦に派遣して援軍を求めた。姬丹(きだん)は恨みを抱きながらも、私怨を捨てて咸陽に赴き、嬴政に謁見した。大広間で二人は無言のまま対峙した。幼い頃の友情は、国家の利益によってすでに失われていた。嬴政は燕を助けたいと考えていたが、時機が熟していないことを悟っていた。
趙が燕を攻撃している間に、秦軍は王翦(おうせん)と桓漪(かんぎ)の指揮のもと、趙に侵攻した。小規模な勝利を収めた後、彼らは機を窺っていた。その後、李信と楊端和が趙の鄴城を攻撃した。秦軍の奇襲を受けた趙軍は奮戦したものの、兵力の差によって敗北した。鄴城が陥落した後、秦軍は趙軍の将兵を丁重に葬った。この行為は王翦(おうせん)の心を複雑にした。
この知らせが邯鄲に届くと、趙偃は激怒した。彼は嬴政に弄ばれていたことに気づいた。緊急に群臣を集めて対策を協議した。龐煖と李牧を呼び戻して邯鄲を防衛するべきだという意見が出たが、李牧と趙佾はより積極的な戦略を提案した。それは、橑楊に兵を集結させて秦軍を挟撃するというものだった。しかし、趙偃の猜疑心は、5万の兵士の配置を疑わせた。李牧は君主の怒りを鎮めるために、自らの罪を認めるしかなかった。
こうして、秦趙の駆け引きはますます激化していった。両国は暗躍を続け、一撃必殺の機会を伺っていた。その背後には、無数の兵士の血と犠牲、そして両国の運命がかかっていた。
第58話の感想
第58話は、秦趙の駆け引きがさらに激化し、物語が大きく動き出す重要な回でした。
嬴政の策略に翻弄される趙偃の姿は滑稽であり、彼の野心がいかに浅はかであったかが浮き彫りになりました。一方、燕太子丹の復讐への執念は凄まじく、彼の悲壮な決意に胸を打たれました。
また、李牧と趙佾の対立も興味深い展開でした。李牧の冷静さと趙佾の野心は対照的で、今後どのような形で衝突していくのか楽しみです。
王翦(おうせん)の複雑な心境も描かれており、戦争の悲惨さが改めて感じられました。
つづく