始皇帝 天下統一 第59話 あらすじ/ネタバレ
趙国の朝堂では、桓齮(かんき)が橑楊を佯攻しているという驚きの知らせが飛び交っていた。趙偃(ちょうえん)は橑楊の三万の兵士が二十万の秦軍を相手に善戦していることに大喜びし、李牧の邯鄲への龐煖の援軍要請を無視した。さらに、李牧と趙佾(ちょういつ)を雲中と代地に左遷し、趙国の未来に暗雲が立ち込めた。
一方、燕の龐煖は士気の低い兵士たちを前に苦悩していた。趙偃(ちょうえん)の命令は一ヶ月以内に薊城を落とすというものだったが、龐煖は兵法に反する命令だと知りながらも従わざるを得なかった。
同じ頃、燕の太子丹は秦の宮殿を訪れ、趙姫(ちょうき)の宴席で嬴政(えいせい)と出会った。宴席で、姬丹(きだん)は嬴政(えいせい)が橑楊で攻勢を緩めた理由を尋ねたが、嬴政(えいせい)は笑って答えず、林光宮に案内した。そこで嬴政は天下の書文を改訂する野心を明かし、姬丹(きだん)は秦が六国を統一する意志が揺るがないことを悟った。
李斯(りし)からの急報で趙国内部の混乱を知った嬴政は、橑楊の秦軍に邯鄲への奇襲を命じた。桓齮(かんき)の巧妙な策略により、秦軍は趙軍に紛れて邯鄲城に侵入し、あっさり陥落させた。
邯鄲の危機を知った趙偃(ちょうえん)は激怒し、龐煖らに援軍を要請したが、龐煖の軍は燕で苦戦しており、王翦(おうせん)と桓齮(かんき)の待ち伏せによって半数以上が失われていた。龐煖は絶望し、戦場を去った。
知らせを聞いた趙偃は怒りで血を吐いて倒れ、昏睡状態に陥った。国主不在の中、倡女(しょうじょ)が立ち上がり、政務を代行した。李牧と趙佾(ちょういつ)は邯鄲に入らず城外に陣を構え、騎射の技術を駆使して秦軍を何度も撃退した。
王翦(おうせん)は李牧をおびき寄せるために邯鄲を佯攻したが、李牧の策略により秦軍は逆に大きな損害を被った。病床の趙偃は嬴政への復讐を誓ったが、倡女(しょうじょ)は李牧のおかげで邯鄲は安全だと説得した。
一方、秦では邯鄲の戦いの膠着状態に危機感を抱いていた。嬴政は群臣を集めて対策を協議し、渠務の解決と趙攻略の突破口を求めて鄭国(ていこく)を訪問することを決めた。
燕の太子丹は林光宮で、書記官に燕の文字で馬を書くように命じ、秦を皮肉った。嬴政は表面上は気にしない様子だったが、内心では不快感を抱いていた。二人は馬に乗りながら会話をしたが、過去の恨みと新しい確執が絡み合い、結局は不快なまま別れた。姬丹(きだん)は燕に帰ろうとしたが、嬴政は「烏頭白馬生角」という謎めいた言葉で拒否した。これは、両国の確執がまだ終わっていないことを暗示していた。
第59話感想
第59話は趙国の内乱と秦軍の邯鄲攻略が描かれた、緊迫感溢れる回でした。趙偃の愚かな判断により、趙国は窮地に陥り、秦国の勝利は目前に迫りました。
特に印象的なのは、李牧と龐煖の対照的な姿です。李牧は冷静沈着に秦軍を撃退し、趙国の希望の光となりました。一方、龐煖は燕での苦戦と趙偃の無能さに絶望し、戦場を去ってしまいました。
また、嬴政と燕の太子丹の対立も興味深いものでした。嬴政は天下統一の野心を隠さず、太子丹は秦への警戒心を露わにしました。両国の確執は今後も激化していくことが予想されます。
つづく