始皇帝 天下統一 第60話 あらすじ/ネタバレ
20万の秦軍が押し寄せ、邯鄲を包囲するも数ヶ月が経過しても陥落させることができない。趙の運命は、大秦帝国の政治的な駆け引きの駒となり、その盛衰は深く考えさせられるものとなっている。趙が強大な秦に囲まれながらも存続できたのは、李牧とその配下の辺境軍の勇猛さによるものだ。しかし、衰退の兆しも明らかになってきている。君主は功を焦り、朝廷では暗闘が繰り広げられ、権謀術数が横行している。
このような状況の中、秦の臣下たちは趙の内部の弱点を直撃する反間計を企てる。嬴傒(えいけい)は巧みに罠を仕掛け、燕の太子丹を屋敷に招き入れる。丹は、趙佾(ちょういつ)の門客と秦の使者が密会しているところや、渭陽君(いようくん)の屋敷に謎の手紙が届けられるところを目撃し、趙に危険が迫っていると信じてしまう。
一方、趙の国境は危機に瀕し、食料が不足しているにもかかわらず、丞相の郭開(かくかい)が約束した10万石の軍糧は一向に届かない。国庫が空であるため、倡女(しょうじょ)は宮殿の修復資金を軍費に充てて、李牧の窮地を救う。丹の門客が帛書を持って趙に到着すると、郭開(かくかい)は疑念を抱き、丹と嬴政(えいせい)の旧情を思い出し、躊躇する。頓弱(とんじゃく)は郭開(かくかい)を訪ねて讒言を吹き込み、郭開(かくかい)の疑念をさらに強め、丹の手紙を利用して政敵である趙佾(ちょういつ)を失脚させようと決意する。
郭開(かくかい)は丹の門客を連れて宮殿に入り、倡女(しょうじょ)に趙佾(ちょういつ)が反逆の疑いがあると告発する。倡女(しょうじょ)は趙佾(ちょういつ)の野心を理解しており、幼い息子である趙嘉の地位を固めるために、趙佾(ちょういつ)を宮殿に呼び出して対決し、排除しようとする。李牧は不吉な予感を抱き、軍を率いて邯鄲に入り、趙佾の安全を確保しようと決意する。しかし、趙葱(ちょうそう)が趙佾の潔白を主張しても、倡女(しょうじょ)は趙佾の宗室の領地を剥奪し、趙葱(ちょうそう)に李牧をなだめるよう命じる。
倡女(しょうじょ)はさらに美人計を用いて、趙佾を罠にはめ、宗室の争いを鎮め、李牧を安心させようとする。しかし、この様子を趙王偃(うえん)が目撃し、怒りのあまり血を吐いて急死する。趙は混乱に陥る。
紀元前236年、趙王偃(うえん)は急死し、悼襄王と諡される。倡女は国政を代行し、息子の趙遷が即位し、郭開が補佐する。荒唐無稽な君臣伝説の幕が開ける。趙の内外では、風雲が急変し、諸国が虎視眈々と狙っている。
秦の朝廷では、邯鄲の戦について群臣の意見が分かれる。嬴政(えいせい)は熟慮の末、誘敵深入の策を採用し、撤退を装って趙軍をおびき寄せ、主力部隊を殲滅することを決意する。趙の李牧は、趙王偃(うえん)の大喪に乗じて合従策で自衛しようとする。扈輒(こちょう)は奮戦して失地を奪還するも、寡兵のため戦死し、趙軍は大きな損害を被る。
趙葱(ちょうそう)は国勢が衰退していることを目の当たりにし、趙佾と李牧を再び起用して挽回を図るよう主張する。倡女は権力を手放そうとせず、再び美人計を使って趙佾を操ろうとする。秦軍は趙を滅ぼすことができないと判断し、嬴政(えいせい)は姚賈を弔問の名目で邯鄲に派遣し、六国の動向を探る。韓非子(かんぴし)は姚賈と偶然出会うが、趙葱(ちょうそう)の怠慢により口論となる。韓非子(かんぴし)の説得により、事なきを得る。
夜幕が邯鄲を覆い、権謀術数と欲望が絡み合い、趙の運命は風前の灯火となる。この乱世を生き抜くのは誰か、時局が明らかになるのを待つしかない。
第60話 感想
第60話は、趙の危機と秦の策謀が交錯する緊迫感のある回でした。趙は秦の圧倒的な軍事力に苦しめられ、内部からも権力闘争が勃発し、まさに風前の灯火となっています。
特に印象的なのは、倡女の行動です。彼女は幼い息子である趙嘉の地位を固めるために、あらゆる手段を使って権力を掌握しようとします。趙佾の排除や美人計を用いた策謀などは、彼女の冷酷さと野心を垣間見ることができます。
また、李牧の活躍も見逃せません。彼は趙の最後の希望として、秦軍に立ち向かいます。しかし、趙国内の混乱が彼の足を引っ張り、苦しい戦いを強いられています。
つづく