始皇帝 天下統一 第62話 あらすじ/ネタバレ
渭風古寓の稷下学宮では、秦の書体である秦籇を巡って激しい論戦が繰り広げられていた。李斯(りし)と祭酒(さいしゅ)の対峙は、まるで双峰がぶつかり合うかのようだった。
議論が深まるにつれ、最初は困惑していた士子たちも、李斯(りし)が茅焦ら書者を起用した先見の明に感銘を受け、秦籇の優位性を認めた。祭酒(さいしゅ)も反論できず、李斯(りし)は稷下学人が時代の流れに沿って革新し、天下の福祉のために尽くすべきだと主張する。
燕太子丹への刺客襲撃と赢杰(えいけつ)の策略
夜が訪れ、燕太子丹の車駕が住居へ戻る途中、覆面の刺客に襲撃された。丹は刺客を逃がすことを余儀なくされ、郊外で刺客が燕人であり、背後に赢杰(えいけつ)がいることを知る。赢杰(えいけつ)の狙いは燕国の機密を手に入れることであり、丹の純真さは権謀術数の渦の中で脆くも崩れ去ってしまう。
嬴政(えいせい)の策略と韓非子(かんぴし)の危機
この知らせを受けた嬴政(えいせい)は、丹を秦国の作戦室に招き入れる。巨大な沙盤を前にした丹は、驚きと困惑を隠せない。赢杰(えいけつ)は丹が秦に入国してからの挑発と密約を暴露し、丹と嬴政(えいせい)の友情は完全に断絶される。
一方、韓非子(かんぴし)は公子田冲(でんちゅう)の協力のもと、斉王建に秦の勢力浸透を阻止するよう働きかけていた。しかし、秦籇簡牘を破壊する士人たちの襲撃により、事態は急変する。李斯(りし)は嬴政(えいせい)からの密書を受け取り、韓非子(かんぴし)の次の行動を予測し、反撃に出る。
稷下学宮の祭酒(さいしゅ)と韓非子(かんぴし)の対立
稷下学宮の祭酒(さいしゅ)は、かつての戦友である韓非子(かんぴし)との確執を解消しようと、驛館を訪れる。かつては肩を並べて戦っていた二人は、今ではまるで他人同然になっており、祭酒(さいしゅ)は感慨に浸る。しかし、韓非子の立場は揺るぎない。彼は韓国の運命を背負っており、李スの統一大夢とは相容れない。
秦商の決意と斉王建の決断
嬴政(えいせい)は燕太子丹を訪ねて和解を図るが、丹は冷たく拒否する。かつての親友が今では疎遠になっていることに、嬴政は落胆する。李斯(りし)は秦使が追放されたという噂を流し、秦の商人を激怒させる。彼らは驛館に集まり、斉国との関係を断ち切ることを誓い、決意を示すために街中で穀物を燃やす。田冲(でんちゅう)は秦商の決意に満足するが、韓非子の心は重く、この戦いで敗北したことを悟る。
斉の宰相である后勝は、事態を重く見て斉王建に報告する。事態を打開するため、斉王建は自ら行動を起こす。まずは后勝に秦使を阻止させ、その後、李斯らを呼び戻す。王宮では、李斯と田冲(でんちゅう)が激しい議論を交わす。李斯は巧みな話術と策略で韓非子を追い込み、斉王建は最終的に秦との友好関係を継続し、秦篆の使用を認めることを決断する。
李斯と韓非子の別れと秦の統一への歩み
李斯が祭酒に別れを告げると、韓非子がすでに斉を去ったことを知る。韓非子の部屋は空っぽで、李スの心は複雑な思いに包まれる。稷下学宮の夜空は、六国の運命が再び転換しようとしていることを予感させる。そして、秦の統一大業は着実に進展していく。
第62話の感想
第62話は、秦と六国の対立が激化し、それぞれの思惑が交錯する緊迫感のある展開でした。
稷下学宮での秦籇論戦は、李斯と祭酒の対峙が圧巻でした。李斯の先見の明と秦籇の優位性が認められ、秦の勢力が着実に拡大していることを感じさせます。
一方、燕太子丹への刺客襲撃や赢杰(えいけつ)の策略は、六国の秦に対する警戒心を強め、今後の対立を激化させるでしょう。
韓非子の危機や秦商の決意は、秦と六国の力関係の変化を象徴しています。韓非子の立場は苦しくなり、秦の勢力拡大は止められそうにありません。
斉王建の決断は、秦との関係を継続することになり、六国の結束が揺らぎ始める可能性があります。
つづく