始皇帝 天下統一 第63話 あらすじ/ネタバレ

月明かりが差し込む夜、李斯(りし)はかつて韓非が住んでいた屋敷を訪れた。今は誰もいない静寂に、李斯(りし)は一抹の寂寥を感じざるを得なかった。再会は叶わず、もし再会できたとしても、かつての親密な関係は戻らないだろう。韓非は、趙国の打開策を求め、邯鄲へと旅立ったのだ。

邯鄲では、韓非が趙国の窮状を理解し、一人では解決できないと判断。趙佾(ちょういつ)に、呂不韋(りょふい)を趙に招き、共に抗秦策を練るよう進言した。呂不韋(りょふい)は、秦王政(しんおうせい)との政見の相違から秦の相邦を辞任しており、趙国の救世主となり得る人物だった。趙佾(ちょういつ)はこの策を採用し、自ら洛陽へ向かい、呂不韋(りょふい)を説得することを決意した。

しかし、郭開(かくかい)の密書が秦国の平穏を破った。李斯(りし)は急いで宮殿に入り、嬴傒(えいけい)と嬴政(えいせい)に報告した。朝議では、嬴傒(えいけい)は強硬策を主張し、使者を派遣して呂不韋を詰問し、追放すべきだと主張した。一方、李斯は呂不韋の功績を強調し、寛容な対応を望んだ。嬴政(えいせい)はしばらく考え込んだ後、自らの考えを述べた。

一方、趙佾(ちょういつ)は洛陽で何度も挫折を味わった。呂不韋は会おうとせず、門客たちは嘲笑した。しかし、趙佾の決意は揺るがなかった。ついに、田野で呂不韋を見つけ、誠意を込めて招いたが、呂不韋は趙を劣悪な商品に例えて婉拒した。趙佾は仕方なく、韓、魏、燕などの国と協力して呂不韋を招聘しようとしたが、失敗に終わった。しかし、天下に衝撃を与えた。

嬴政(えいせい)は熟慮の末、李斯を洛陽に派遣し、呂不韋を厳しく叱責し、蜀地への移住を命じた。この詔勅は呂府内外に衝撃を与えたが、呂不韋は平静を装い、李斯と酒を酌み交わしながら、時局に対する洞察と運命を受け入れる様子を見せた。

列国の使臣が撤退しようとしたその時、韓非の密書が趙佾に転機をもたらした。趙佾は夜通し檄文を書き、四国の名を利用して呂不韋と嬴政の関係を悪化させ、天下の仁人を秦討伐に呼びかけた。この行動は朝野を震撼させ、咸陽の嬴政も不安を募らせたが、さらに大きな嵐が近づいているとは知らなかった。

三朝元老である呂不韋は、六国の利用と秦国の猜疑に直面し、最も決然とした方法を選択した。毒入りの茶を飲み、命を代償に秦国の安寧と未来の平和を手に入れたのだ。「豈曰無衣」の壮絶な歌声の中で、彼は波乱万丈の人生を終えた。彼は死んだが、国家への忠誠と未来への予見は、永遠に歴史の記録に残るだろう。

第63話の感想

第63話は、策略と別れが交錯する、非常にドラマチックなエピソードでした。

まず、李斯と韓非の別れは非常に印象的でした。かつては同志だった二人が、それぞれの道を歩むことになり、李斯の心中の寂寥が伝わってきました。

また、趙佾の呂不韋への招聘も興味深い展開でした。趙国の窮状を救うために、かつての敵に手を差し伸べるという趙佾の決断には、彼の度量と危機感が感じられました。

しかし、呂不韋の決断は意外なものでした。彼は趙の招聘を断り、毒入りの茶を飲んで自害しました。彼の行動は、彼自身のプライドと秦国への忠誠を示しているように感じられました。

つづく