始皇帝 天下統一 第64話 あらすじ/ネタバレ
公元前235年の晩秋、洛陽の落葉は歴史の塵のように、権勢を誇った丞相?呂不韋(りょふい)の生涯の終章を静かに覆った。彼の死は晴天の霹靂のように、大秦帝国の根幹を揺るがした。咸陽城内、秋風が吹きすさび、落葉が舞い散る中、丞相李斯(りし)は深い悲しみに包まれていた。大秦はかけがえのない賢者を失ったことを悟った李斯(りし)は、涙を堪えながら、より一層強い決意を胸に刻んだ。
嬴政(えいせい)は悲しみに暮れる一方で、趙国への怒りが頂点に達した。彼は緊急に朝臣を集め、3日後に趙国へ出兵することを宣言し、呂不韋(りょふい)の仇を討つことを誓った。しかし、李斯(りし)や王翦(おうせん)、尉繚(う りょう)などの重臣は、関東六国の合従の勢いが強まっていることを指摘し、趙国への無謀な攻撃は秦軍を不利な状況に陥れると進言した。しかし、嬴政(えいせい)の怒りは制御できず、桓齮(かんき)に軍を率いて出陣させた。
秦軍の陣営では、桓齮(かんき)と李信が戦略を練っていたところ、趙の名将?李牧が西南三舍の地に陣を張っているとの報告が入った。秦軍はすぐに偵察に向かったが、趙軍も秦軍の動きを察知し、秦軍の足元が固まる前に奇襲を仕掛けようと蠢動していた。しかし、李牧は慎重な性格で、桓齮(かんき)は敗将とはいえ侮れないと判断し、全軍に体力を温存するよう命じた。
両軍は肥の地で対峙し、秦軍は何度も挑発したが、趙軍は堅守し、矢を射かけるのみで微妙な均衡が保たれていた。秦軍は分兵して趙軍を挟撃しようと試みたが、分兵中に趙の騎兵の待ち伏せを受け、大きな損害を被った。桓齮(かんき)は急いで李信に戦車営を率いて増援を要請し、一時的に戦況を安定させたものの、秦軍の攻勢は衰え始めていた。
夜が訪れ、桓齮(かんき)は最後の手段として趙軍の陣営への夜襲を決意した。しかし、天は秦軍に味方せず、大雨が降り注ぎ、火を消し止めただけでなく、趙軍が秦軍の中軍陣営を奇襲する隙を与えてしまった。桓齮は大敗を喫し、残った兵士を率いて平陽に退却した。
平陽城では、秦軍は多くの兵士を失い、士気は低下していた。桓齮は責任の重大さを痛感し、全軍を動員してあらゆる防御物資を城壁に運び上げ、死守することを誓った。
城外では、ボロボロの衣服を着た「秦兵」たちが助けを求めて泣き叫んでいたが、桓齮は趙軍の策略であると見抜き、矢を放つよう命じて最後の防衛線を維持した。翌日、李牧は趙軍を率いて総攻撃を仕掛け、平陽城は危機に陥った。しかし、王翦(おうせん)が率いる援軍が到着し、李牧は桓齮を討ち取ることを諦めて撤退した。
戦後、桓齮は深い自責の念に駆られ、遺書を残して自害した。李信と王翦(おうせん)は悲しみに暮れながらも、秦国の名誉を回復するために再起を誓った。一方、燕の太子丹は秦軍の敗北を知り、喜びを感じ、咸陽からの脱出を企て、秦国内部の混乱を利用して復国を図った。
咸陽宮では、嬴政(えいせい)は人目を避けて引きこもり、今回の敗戦の教訓を深く反省していた。隗状(かいじょう)や嬴傒(えいけい)などは仕方なく華陽太后(かようたいこう)に助けを求め、ようやく嬴政(えいせい)を宮殿から連れ出すことに成功した。群臣の期待と自責の念に直面した嬴政(えいせい)は、より一層強い決意を胸に刻んだ。真の戦いはこれからであり、大秦の未来は自分の手で切り開く必要があることを悟ったのだった。
第64話 感想
第64話は、秦軍が趙軍に敗北し、平陽城が危機に陥るという、非常に緊迫感のある回でした。桓齮の夜襲失敗や、平陽城での死守など、戦場の臨場感溢れる描写が見事でした。
また、この回では、嬴政の怒りや悲しみ、そして決意が描かれており、彼の成長を感じさせる内容でした。特に、李牧の撤退後、群臣の期待と自責の念に直面した嬴政の表情は印象的で、彼の覚悟が伝わってきました。
一方、李牧の冷静さと戦略的な戦い方も見どころでした。彼は秦軍の弱点を的確に分析し、巧みな戦術で秦軍を翻弄しました。
つづく