始皇帝 天下統一 第68話 あらすじ/ネタバレ

風雲急を告げる六国

「滅国之言」は野火のように六国に広がり、各国はそれぞれ異なる反応を示した。趙は秦を非難し、楚は強がりながらも内心は不安を隠し切れず、斉は自国の保全に努めた。魏と燕は急いで秦に使いを送ったが、韓国はまるで眠れる巨人のように静まり返っていた。

韓非の進言

この混乱の中、韓非は再び秦の宮殿を訪れ、非凡な勇気と知恵で秦王政(しんおうせい)に諫言した。彼は滅韓の弊害を分析し、趙を先に滅ぼすべきだと主張した。李斯(りし)は韓非の真意を見抜き、嬴政(えいせい)に韓非を一時的に拘束することを懇願した。これは韓非を保護するための策略だった。

暗流渦巻く駆け引き

その夜、韓非は李斯(りし)邸を訪れた。酒を酌み交わしながら、韓非は白日の進言を謝罪し、良言を聞かなかったことを悔やんだ。酒が進むにつれ、韓非の従者は李斯(りし)邸の書斎に潜入し、嬴政(えいせい)の決断に関する李斯(りし)の息子の会話を盗み聞いた。暗流渦巻く駆け引きが始まった。

郭開(かくかい)の密告

一方、韓国の叛徒である郭開(かくかい)は、秦に密報を送った。その内容は、韓王安と張讓(ちょうじょう)が趙と手を組んで秦に抵抗する計画を暴露したものだった。趙王遷は迅速に対応し、名将李牧を新鄭に派遣した。姚賈は、この同盟を破壊するよう命じられた。彼はこの機会を利用して南陽の仮守の地位を得ようとした。

韓非の策略

韓非は姚賈の陰謀を見抜き、秦王政(しんおうせい)を利用してこの秦の朝臣の害虫を排除することを決意した。韓非は再び嬴政(えいせい)に謁見し、秦の拡張が阻害されている根本原因は人材登用の失敗にあると指摘し、姚賈の腐敗と奸計を訴え、この奸臣を罷免するよう求めた。嬴政(えいせい)は疑念を抱いたものの、すぐに決断を下すことはなかった。

姚賈の反撃

嬴政(えいせい)は姚賈を呼び戻し、韓非の告発について問い詰めた。姚賈は貪欲を認めながらも、韓非を間者として非難し、不軌を企てたと主張した。この予期せぬ告発に、嬴政は激怒することなく、新鄭を佯攻する一方で、南陽を攻略する作戦を立てた。

国士の礼と故郷への想い

翌日、嬴政は韓非を作戦室に招き、国士として迎え入れようとした。しかし、韓非は韓国を案じており、秦王の厚意に感謝しつつも、故郷を捨てることはできなかった。嬴政は失望を隠せなかった。

姚賈の陰謀

姚賈は韓非を憎み、彼の抹殺を企てた。李斯(りし)は韓非が間者であることが証明されたことを知り、複雑な心境に陥った。韓非の運命が尽きたことを悟りながらも、どうすることもできなかった。

韓非の最期

夜になると、姚賈は韓非邸を訪れ、寧騰(ねいてい)の反乱を餌に韓非を騙そうとした。韓非は罠であることを悟っていたが、韓国を守るために従者に手紙を送る決意をした。しかし、姚賈はすべてを把握しており、従者は全員殺害された。韓非は書斎で一人、夜通し『韓非子(かんぴし)』を書き続け、自分の思想を後世に残そうとした。

悲劇の結末

章台宮では、姚賈が韓非の通敵の証拠を提出した。李斯や嬴傒(えいけい)がいくら弁明しても、嬴政の決意を変えることはできなかった。最終的に、韓非は廷尉府に投獄され、車裂きの刑に処された。李斯はこれを目の当たりにし、権力闘争では誰も生き残れないことを悟った。韓非の死は、法家の巨匠の死だけでなく、六国紛争の中でまた一つ、輝く星が消えたことを意味した。

第68話の感想

第68話は、韓非の悲劇的な最期を描いた衝撃的なエピソードでした。彼の非凡な才能と洞察力は、秦王政(しんおうせい)に認められながらも、最終的には姚賈の陰謀によって命を落とすことになりました。

韓非が秦王政(しんおうせい)に滅韓の弊害を訴えるシーンは、彼の政治的見識の高さを示しています。しかし、彼の理想は現実の政治の厳しさの前に打ち砕かれてしまいました。

李斯は、韓非の才能を認めながらも、秦の利益を優先せざるを得ない立場にありました。彼の葛藤は、権力闘争の残酷さを浮き彫りにしています。

姚賈は、権力のために手段を選ばない冷酷な人物として描かれています。彼の陰謀によって、韓非は命を落とし、韓国は滅亡への道を歩むことになりました。

つづく