始皇帝 天下統一 第70話 あらすじ/ネタバレ

秦王政(しんおうせい)は高台に立ち、利剣を手に、出征を誓う。鼓声は轟き、士気は高揚し、趙を滅ぼして天下を統一するという決意に満ちている。若いながらも果敢な秦王の姿に、兵士たちは畏敬の念を抱き、万歳の声が雲霄に響き渡る。

紀元前229年、秦王政(しんおうせい)18年。

李信、楊瑞和、王翦(おうせん)の三将は再び戦の装束に身を包み、虎符と斧鉞を受け取り、出征を誓う。三軍は浩々と趙国の中心部へと進軍する。趙国は秦の圧力にさらされ、危機に瀕している。

この緊迫した状況の中、倡女(しょうじょ)は立ち上がる。

彼女は反対を押し切り、趙王遷と重臣たちと共に、追放されていた李牧を呼び戻す。趙国の最後の柱石である李牧は、敵情を洞察し、秦軍の三方からの包囲を理解した上で、国門の外で敵を破ることを誓う。彼は楊瑞和を南に阻み、李信を北に挫き、最終的には井陘で王翦(おうせん)と決戦を行い、趙国の安寧を取り戻す計画を立てる。

趙佾(ちょういつ)は秦軍の強大さを懸念するものの、李牧に全幅の信頼を寄せている。

李牧は自信に満ち溢れているが、王翦(おうせん)の持久戦術が趙国の国力を、特に食料の供給を消耗させることを懸念している。倡女(しょうじょ)はこれを聞き、趙佾(ちょういつ)と郭開(かくかい)に食料の調達を命じるが、邯鄲の備蓄は1ヶ月分しかなく、連年の凶作で黍米も手に入らないことが判明する。列国からの支援も望めず、状況はますます深刻になる。

趙国が苦境に陥っている中、秦の使者である頓弱(とんじゃく)が倡女(しょうじょ)にとっての救いの綱となる。

彼女は頓弱(とんじゃく)を宮殿に呼び、秦王に撤退を要請するが、頓弱(とんじゃく)は趙国の降伏なしには秦軍は撤退しないと冷たく拒否する。殿内は緊張に包まれ、殿外では趙佾(ちょういつ)と郭開(かくかい)が激しく争っている。趙佾(ちょういつ)は郭開(かくかい)が秦と通じていると非難し、郭開(かくかい)は反論する。両者は互いに譲らず、意見が一致しない。

李牧は李信を破り、楊瑞和を半ばまで阻み、井陘へと急行し、王翦(おうせん)との決戦に備えているという知らせが届く。

秦の朝廷では、群臣が李牧の才能を白起に匹敵すると口々に述べ、速やかに勝利するためには長平の戦いの再来を望む。しかし、李斯(りし)は趙国内部に混乱を起こし、君臣間の疑念を生じさせることで、秦軍に戦機をもたらす離間の計を提案する。嬴政(えいせい)はこの計を採用し、頓弱(とんじゃく)に重宝を持たせて趙国に送り込み、挑発工作を行う。

時が経ち、秋から冬へと移り変わる。国境の戦いは膠着状態となり、双方の兵士が血を流し、勝敗が繰り返される。邯鄲城内では、食料危機が深刻化し、君臣の会議は趙佾(ちょういつ)と郭開(かくかい)の激しい議論に発展することが多くなる。

倡女(しょうじょ)は仕方なく、宗親に資金を集めて食料を購入し、差し迫った問題を解決するよう命じる。

郭開は不穏な企みを胸に秘め、夜に密かに人手を集め、趙佾が井陘に送る食料を横領する。そして、これを口実に李牧が軍資金を横領したと偽り、宗室の大臣たちと協力して、臨時に将軍を交代させようとする。

頓弱(とんじゃく)はこれに便乗し、郭開に李牧を完全に排除する計略を授ける。

その夜、陰謀は成功し、李牧は帰還途中に待ち伏せされ、命を落とす。

この知らせは邯鄲に衝撃を与え、趙王遷と宗室は疑念を抱くものの、郭開と倡女(しょうじょ)の主張を受け入れざるを得ず、趙葱(ちょうそう)を井陘の守備に任命する。

これにより、趙国の国運は急転直下し、内部紛争が絶えず、外部からの敵の圧力にさらされる。国家の存亡をかけた生死をかけた戦いが静かに幕を開ける。

そして、このすべての背後には、暗躍する陰謀家たちがいる。彼らの策略は、趙国を滅亡の淵へと一歩一歩近づけていく。

第70話感想

第70話は、趙国の運命を左右する重要なエピソードでした。李牧の登場、秦の離間の計、そして李牧の悲劇的な最期と、怒涛の展開に目が離せませんでした。

特に印象的だったのは、李牧の死です。彼は趙国の最後の希望であり、彼の死は趙国の滅亡を決定づけたと言っても過言ではありません。郭開の陰謀によって命を落としたことは、趙国にとって大きな損失です。

また、秦の離間の計も巧妙でした。趙国内部の混乱を招き、李牧を失墜させることで、趙国の戦力を大きく削ぎました。この計略は、秦の勝利に大きく貢献したと言えるでしょう。

つづく