始皇帝 天下統一 第72話 あらすじ/ネタバレ

王翦(おうせん)の号令により、郭開(かくかい)は龍台宮へ向かい趙の降伏を説得するが、宮内の空気は静まり返っており、暗雲が立ち込めていた。趙の朝廷では、春平君(しゅんぺいくん)?趙佾(ちょういつ)が立ち上がり、群臣がそれに呼応し、国土を守り、秦軍に降伏しないと誓う。郭開(かくかい)はこの死を覚悟した雰囲気の中、言葉を尽くしても趙人の意志を揺るがすことができず、逆に驚きと怒りで刀を抜き、趙佾(ちょういつ)をその場で殺害する。大殿内は静まり返った。

この事件は、秋風が落ち葉を掃き落とすように、趙の最後の抵抗を奪い去った。大臣たちは顔を見合わせ、手にした剣をゆっくりと鞘に収め、抵抗する意志も消えていった。中には死を以て志を示し、血で染まった龍袍と共に殉国した者もいた。壮絶な光景がそこにはあった。紀元前228年、邯鄲の城頭で、趙の旗は悲しげに降ろされ、王翦(おうせん)によって容赦なく地面に投げ捨てられ、人々に踏みつけられた。かつての強国であった趙は、ついに歴史の幕を閉じた。

天下統一を目前にした嬴政(えいせい)は、群臣の反対を押し切り、邯鄲へ向かうことを決意する。寒露の冷たい空気も、彼の胸に燃える壮志を抑えることはできなかった。沙壑嶺の頂上に立ち、これから大秦の版図となる土地を見下ろす嬴政(えいせい)の目は、前例のないほどの決意と輝きで輝いていた。彼は天下に宣言する: 大秦の統一は避けられない、これは天命であると。

邯鄲城内では、龍台宮が主人を変え、倡女(しょうじょ)や郭開(かくかい)などの降伏した臣下たちが両側に跪き、秦王の到着を待っていた。嬴政(えいせい)は雷のような勢いで、趙王遷を庶人に降格させ、趙氏の宗廟を咸陽に移転させた。趙遷は故郷を振り返りながら去っていくが、そこにはかつての栄光が失われた悲しみが漂っていた。趙の老臣たちは涙を流しながら別れを告げたが、どうすることもできなかった。

邯鄲の情勢を安定させるため、李斯(りし)は過去の帳簿を調査し、王翦(おうせん)は秩序回復には1、2年かかると見積もった。嬴政(えいせい)は仁政を示し、嬴傒(えいけい)と王绾(おうかん)に命じて倉を開けて食料を配り、民衆を救済し、同時に士大夫の封邑を削減して民心を安定させた。しかし、趙の士大夫たちは心の中で不満を抱いており、暗躍を続けていた。特に公子嘉(こうしか)が代で王を名乗ったと聞いてからは、表面上は降伏しているものの、裏では悪だくみをしていた。

3日後、邯鄲城外では、綿密に計画された暗殺計画が静かに実行された。趙の士大夫たちは、申越(しんえつ)の追悼式を利用して嬴政(えいせい)に近づき、暗殺を企てた。しかし、嬴政はすでに警戒しており、王翦(おうせん)らが天羅地網を張り巡らせていたため、反乱は瞬く間に鎮圧された。血に染まった黄土は、大秦の威厳と侵すべからざることを示していた。

嬴政は趙姫(ちょうき)の旧居に入ると、「趙姫(ちょうき)敗類」という中傷の言葉を発見し、激怒して邯鄲の士大夫を厳罰に処すよう命じた。600石以上の者は斬首され、豪商も咸陽に移住させられた。郭開(かくかい)は、かつての趙の奸臣であったが、秦の官職を得ようと企てたものの、李斯(りし)によって罪を暴かれ、烹殺されて罪深い生涯を終えた。

邯鄲の情勢が安定してきた矢先、秦の斥候から趙姫(ちょうき)が危篤状態であるとの知らせが届き、嬴政は急いで咸陽に戻り、生母に最後の別れを告げようとした。趙の滅亡は、一石を投じて千波を起こすような衝撃を与え、列国を震撼させた。楚の項燕(こうえん)と景涵(けいかん)は緊急に協議を行い、魏、燕、斉の三国と同盟を結んで強秦に対抗し、自国の存続を図ることを決意した。しかし、楚王(そおう)は昏庸で、酒色に溺れており、令尹が権力を握っていたため、楚の行く末は不透明だった。公子景涵(けいかん)と負芻は焦り、項燕(こうえん)に奸臣を一掃して楚を救うよう懇願した。

こうして、大秦の統一への道は険しいながらも、もはや止められなくなっていた。列国は暗躍を続け、より大きな歴史的変革が静かに進行していた。

第72話感想

第72話は、趙の滅亡を描いた重要な回でした。郭開(かくかい)の暗殺、趙王遷の降伏、そして邯鄲の混乱と鎮圧など、緊迫感のある展開が続きました。特に、郭開が趙佾(ちょういつ)を殺害するシーンは衝撃的で、趙の滅亡を決定づけた出来事だったと言えるでしょう。

また、嬴政の決意と覚悟も印象的でした。群臣の反対を押し切って邯鄲に向かい、天下統一への強い意志を示しました。そして、趙の士大夫の反乱を鎮圧し、趙姫(ちょうき)の病気を知って咸陽に急ぐなど、彼の行動にはリーダーとしての責任感と愛情が感じられました。

つづく