始皇帝 天下統一 第73話 あらすじ/ネタバレ

夜も深まり、子(ね)の刻の鐘が響き渡る中、公子景涵(けいかん)は精鋭の兵を率いて王宮を包囲した。その頃、項燕(こうえん)は幽霊のように令尹の邸宅に侵入し、李園を暗殺。楚の政局は一変する。紀元前228年、項燕(こうえん)と景涵(けいかん)は力を合わせ、楚王(そおう)熊猶と太后を廃位し、公子負芻を擁立。楚は新たな時代を迎えた。

新王即位とともに、合従の動きが再び活発になる。楚王(そおう)負芻は王権を固めるため、食料の徴発と軍備の強化を命じる。しかし、屈、景、昭の三大家族はそれぞれ思惑があり、王権の弱体化を画策し、楚王(そおう)の命令に抵抗する。

李斯(りし)はこれを楚を分裂させる好機と捉え、士族と王族の対立を煽り、楚を混乱に陥れようと企む。

楚が内憂外患に苦しむ中、旧韓の遺民が秦の圧政に反発し、新鄭を占拠して秦に宣戦布告する。項燕(こうえん)は20万の兵を率いて函谷関へと進軍し、秦は二正面作戦を強いられる。

窮地に立たされた嬴政(えいせい)は、王翦(おうせん)の軍を撤退させることなく、羋啓を陳郢に派遣し、楚国内部の結束を乱すことで、戦わずして楚を屈服させようと画策する。

羋啓は楚に到着すると、檄文を掲げ、楚王(そおう)負芻に不満を持つ士族の心を呼び起こす。彼らは楚王(そおう)のために立ち上がり、内乱を鎮圧しようと決意する。

項燕(こうえん)は秦の邑を攻め落とそうとするが、景涵(けいかん)からの急報を受け、楚軍を撤退させる。郢都では人心は荒廃し、巡邏中の兵士が暗殺されるなど、新王の地位は危うくなっていた。

一方、魏の使臣である魏霑(ぎせん)が秦に降伏を申し入れ、斉が合従に加担していることを密告する。嬴政(えいせい)は表面上は寛容な態度を示すが、李斯(りし)、王綰(おうがん)と共に陳郢へと向かい、事態に対処する。

燕では、王翦(おうせん)の軍が易水に駐屯し、燕の君臣は不安に陥る。燕王喜は戦と和のどちらを選ぶべきか迷い、秦を刺激しない限り、積極的に挑発しないという保守的な方針を決定する。

しかし、燕太子丹はこれに反対し、秦王暗殺を企てる。彼は秘密裏に荊軻(けいか)に協力を要請し、徐夫人が作った毒薬入りの匕首を見せる。荊軻(けいか)は丹の誠意に打たれ、燕の使者として秦に潜入し、暗殺を実行することを承諾する。

しかし、その前に、督亢輿図と反逆者の樊於期(はんおき)の人頭を要求する。丹は躊躇なく荊軻(けいか)の要求を承諾し、壮絶な暗殺計画が動き出す。

一方、斉では、項燕(こうえん)と斉の丞相である後勝(こうしょう)の同盟交渉が膠着状態に陥る。楚と斉が対立する中、羋啓と姚賈が斉を訪れ、斉王に直接交渉を行う。彼らの説得により、斉王は合従を一時的に棚上げし、時機を待つことを決意する。

こうして、七国の情勢はさらに複雑化していく。楚と秦の争い、燕と斉の暗闘など、政治と軍事の駆け引きが繰り広げられる中、歴史の車輪は英雄たちの活躍によって、力強く前進していく。

第73話の感想

第73話は、楚と秦の激突、燕の決断、斉の離脱など、七国の情勢が大きく動く重要な回でした。特に、項燕と景涵(けいかん)の連携による楚王の廃位、李斯(りし)による楚国内の混乱工作、そして荊軻(けいか)による秦王暗殺計画など、今後の展開を大きく左右する重要な事件が続々と起こりました。

楚国内では、新王負芻と士族の対立が激化し、秦の策略によって混乱が深まっています。楚は合従を成功させることができるのか、それとも秦に飲み込まれてしまうのか、今後の動向が気になります。

一方、燕では、王翦(おうせん)の軍が易水に駐屯し、燕は秦の圧力にさらされています。燕王喜は保守的な方針を選択しましたが、太子丹は秦王暗殺を企てており、燕の運命は大きく揺れ動いています。

斉は、楚との同盟交渉が膠着状態に陥っていましたが、羋啓と姚賈の説得により、合従を一時的に棚上げすることを決意しました。斉は今後、どのような動きを見せるのでしょうか。

つづく