始皇帝 天下統一 第74話 あらすじ/ネタバレ

北風が吹きすさび、戦雲が立ち込める中、燕の地に探馬が流星のように行き交う。隣国の滅亡の知らせが雷鳴のように次々と届き、商人は慌ただしく行き交う。人々は不安に駆られ、朝廷内外は不安に包まれている。かつて壮大な志を抱いていた燕太子丹は、今や焦燥と葛藤に陥っている。幾度も熟考を重ねた末、ついに隠居していた樊於期(はんおき)を招き、刺秦の計を共にすることを決意する。しかし、この決断が樊於期(はんおき)の運命を大きく変えることになる。長年の庇護の恩は、恩を仇で返すという結末となり、驚きと絶望の中で、一人の勇士の首が静かに地に落ちた。

一方、秦では、秦王政(しんおうせい)は先見の明を持ち、寧騰(ねいてい)が精心して治めた文書を昌平君(しょうへいくん)芈啓に託し、陳郢を固めることで楚を牽制することを期待する。しかし、秦王は分封の約束については一言も触れず、芈啓に投降した楚の士人たちは焦燥に駆られ、次々と催促する。芈啓は苦悩しながらも、天下平定を願うことで人々をなだめ、天下統一の暁には必ず望みを叶えると約束する。

冬が深まり、咸陽城は雪に覆われ、秦王宮はより一層厳粛な雰囲気に包まれる。荊軻(けいか)は命を懸けて刺秦の重責を担い、2ヶ月以内に嬴政(えいせい)の首を取ると誓う。高漸離(こうぜんり)は心配し、友人と共に同行しようとするが、姬丹(きだん)に阻止され、荊軻(けいか)が単身で危険に身を投じるのを見送るしかない。別れ際、高漸離(こうぜんり)は「易水歌」を歌い、壮絶な音が天に響き渡り、これから起こる嵐を予感させる。

秦の大殿では、荊軻(けいか)と秦舞陽(しんぶよう)が督亢の地図と樊於期(はんおき)の首を持って、権力と陰謀が渦巻くこの殿堂に足を踏み入れる。秦舞陽(しんぶよう)は恐怖に怯え、殿外で立ち止まってしまい、暗殺の重責はすべて荊軻(けいか)一人に託される。荊軻(けいか)は落ち着いて一歩一歩進み、弱者であるふりをして嬴政(えいせい)に近づき、匕首を突き立てる。驚心動魄の暗殺劇が幕を開ける。

嬴政(えいせい)は突然の事態に驚きながらも、冷静さを失わず、優れた機敏さと勇気で何度も危機を回避する。荊軻は勇敢に戦うが、敵が多すぎて、全身に傷を負い、ついに命を落とす。この驚愕の暗殺は、歴史の流れを変えることはできず、逆に燕国をより深い危機に陥れることになった。

荊軻の刺秦失敗後、燕国は最後の防壁を失い、斉、楚、魏の三国は不本意ながらも軽挙妄動を避ける。紀元前227年、嬴政(えいせい)は燕を攻めることを決意し、王翦(おうせん)の軍勢は破竹の勢いで薊城を陥落させ、燕国の主力精鋭は全滅し、民衆は流離失所する。20万人の燕人の命を守るため、燕太子丹は燕王に罪を謝し、自らの命を絶つことを決意する。その壮絶な行為は見る者に深い悲しみを与える。姬丹(きだん)の死により、燕の姬姓貴族は遼東に逃れ、秦はついに燕を征服する。

嬴政(えいせい)は咸陽城の城壁に立ち、遠くを見つめ、心中複雑な思いを抱く。幼い頃の友情、今日の敵対関係、すべてが過ぎ去ってしまったかのようだ。彼は、六国統一への道のりは依然として長く、困難に満ちていることを悟り、芈啓らを呼び戻して滅楚の計を共謀し、この乱世を自分の手で終結させ、前例のない統一王朝を築くことを誓う。

第74話の感想

始皇帝 天下統一 第74話は、まさに激動の展開でした。荊軻の壮絶な刺秦、燕の滅亡、そして嬴政の天下統一への決意。歴史の大きな流れが、この一話に凝縮されているように感じました。

特に印象的だったのは、荊軻の最期です。彼は命を懸けて嬴政に挑みましたが、惜しくも失敗に終わりました。しかし、その勇気と覚悟は、見る者に大きな感動を与えました。また、燕太子丹の自決も、胸を打つシーンでした。彼は最後まで自分の国と民衆を守ろうとしました。その姿は、まさに悲壮美という言葉がぴったりです。

一方、嬴政は着実に天下統一への道を歩みを進めています。彼は優れたリーダーシップと戦略で、次々と敵を倒していきます。しかし、彼の心中は複雑な思いでいっぱいなのではないでしょうか。幼い頃の友人である荊軻との別れ、そして多くの命が失われていくことへの悲しみ。そんな彼の葛藤も、この話の見どころの一つです。

つづく