秦の天下統一 第75話 あらすじ/ネタバレ

楚の動乱と秦の策略

楚の国は内憂外患に苦しんでおり、民衆の不満と士大夫たちの帰郷願望が時代変革の序章を奏でています。この状況を察知した楚の謀士、羋啓は楚を覆す好機と捉えます。しかし、秦王政(しんおうせい)は非凡な戦略眼を持ち、楚を滅ぼす名目で魏を攻めることを決意します。羋啓は命を受け、楚の国境に巧妙に駒を配置し、楚王(そおう)との知略と忍耐の戦いを繰り広げ、秦軍の北上を支援します。

陳郢の論争と魏の陥落

陳郢では、分封をめぐる論争が激化しています。楚の人々は分封によって国威を回復することを望んでいますが、秦王政(しんおうせい)の沈黙は沸騰する民衆の不満に冷水を浴びせるようなものです。羋啓は板挟みになり、李斯(りし)と王绾(おうかん)の激しい議論に前例のないプレッシャーを感じます。項燕(こうえん)将軍の熱意は、楚王(そおう)景涵(けいかん)の冷静な分析の前では泡影となり、楚王(そおう)の視線は目の前の危機を突破し、より広大な戦場を見据えています。

魏の都、大梁は、王賁(おうほん)率いる秦軍の北上の最初の障害となりました。20万の秦軍が押し寄せましたが、大梁の城壁は堅牢で、守備も厳重であったため、秦軍は敗北を喫し、撤退を余儀なくされます。しかし、国尉の蒙恬は、黄河と鴻溝の水で魏の都を水攻めにするという大胆な策を提案します。この計画は実行され、大梁は水没し、魏王は降伏します。こうして、魏は秦に併合され、秦の版図に刻まれます。

楚への侵攻と分封の議論

魏を滅ぼした後、秦は楚への侵攻を開始します。朝議では、楚を滅ぼすための策が議論されます。李信は迅速な決戦を主張しますが、王翦(おうせん)は持久戦の重要性を強調します。分封についても再び議論されますが、李斯(りし)は強く反対し、秦王政(しんおうせい)も慎重な姿勢を示します。意見が合わず、王翦(おうせん)は失意のうちに官を辞し、隠遁します。

秦軍の苦戦と楚の運命

李信と蒙恬率いる秦軍は、楚への侵攻を開始します。鄢陵、父城など、次々と城が陥落していきます。しかし、羋啓が守る陳郢は、項燕(こうえん)にとって大きな壁となります。秦軍は食料不足に陥り、内部の混乱も深刻化します。真相が明らかになると、2万の軍粮が横領されていたことが判明し、楚の人々の信頼は完全に失墜します。

楚の公子、景涵(けいかん)は温厚な人物を装っていますが、実は腹黒い人物です。彼は羋啓と楚の士大夫との間の亀裂を利用して、この混乱に乗じて漁夫の利を得ようと企んでいます。しかし、歴史は前進し、個人の思惑は時代の流れを止めることはできません。秦軍の進撃により、楚の運命は風前の灯火となり、かつての智者であった羋啓も、歴史の波に飲み込まれていきます。

第75話の感想

第75話は、楚の動乱と秦の策略が交錯する、緊迫感あふれる展開でした。羋啓と楚王(そおう)の知略戦、李斯(りし)と王绾(おうかん)の激しい議論、そして項燕(こうえん)将軍の熱意など、各キャラクターの思惑が複雑に絡み合い、目が離せない内容となっています。

特に印象的だったのは、楚の公子、景涵(けいかん)の腹黒さです。温厚な人物を装っていますが、実は羋啓と楚の士大夫との間の亀裂を利用して、漁夫の利を得ようと企んでいます。この意外な展開には驚かされました。

また、秦軍の苦戦も注目すべき点です。食料不足や内部の混乱など、様々な問題が秦軍を苦しめています。果たして秦軍は楚を滅ぼすことができるのでしょうか?

つづく