策略ロマンス第10話、緊迫の煉丹室から始まる。梁翊(りょうよく) 、秋嫣(しゅうえん)、そして国師(こくし)は霊正(れいせい)に閉じ込められ、脱出経路を探すも無駄に終わる。絶望感が漂う中、国師(こくし)は酒に溺れ、秋嫣(しゅうえん)は剪刀で壁を掘り始める。梁翊(りょうよく) は彼女の必死さを揶揄うが、秋嫣(しゅうえん)は自由への強い意誌を表明する。

彼女は幼い頃から探偵小説に憧れ、男女平等を願い、未来の平等な社会を夢見ている。梁翊(りょうよく) にも強い興味を抱き、6年前の正義感あふれる少年の姿を覚えている。梁翊(りょうよく) 自身もかつては科挙で世の不正を正そうとしていたが、父の死をきっかけに権力争いに巻き込まれ、冷徹な役人に変貌を遂げていた。

脱出のため、梁翊(りょうよく) は硫黄、硝石、炭粉で黒色火薬を作り、禁苑の聖湖に繋がる壁を見つけ出す。秋嫣(しゅうえん)は機転を利かせ、酒に浸した麻縄を導火線代わりに使い、爆破に成功。湖水が流れ込み、一同は湖畔へ脱出する。梁翊(りょうよく) は金糸の手錠で秋嫣(しゅうえん)と繋がり、水流に流されないようにする。秋嫣(しゅうえん)は体力を消耗し、梁翊は人工呼吸で彼女を救う。秋嫣は感謝しつつも、この出来事を秘密にするよう頼む。

しかし、霊正(れいせい)一味が迫り、鍵を失ってしまう。楼閣に逃げ込み、梁翊は橋を落とし追手を阻む。救援を待つ間、霊正(れいせい)は火攻めに出るが、宋錦(そうきん)と秦暄(しんけん) が到著し、梁翊たちを救出。霊正(れいせい)は命を落とし、残党も捕らえられる。

秋嫣は新しい刺客が左利きであることから、肖の事件の真犯人ではないと気付く。閆殿帥は国師(こくし)を伴い、宮廷へ報告に向かう。国師(こくし)は梁翊に感謝を述べ、宋錦(そうきん)は万艳楼で得た名簿を提出、新たな手がかりとなる。

萍児(へいあーる)が突如梁翊を襲うが、秋嫣がそれを防ぎ、結果的に萍児(へいあーる)は自分の父を殺してしまう。萍児(へいあーる)は恵州知府の娘で、梁翊に一家を滅ぼされたと思い込んでいた。しかし、実際は梁翊は萍児(へいあーる)を逃がしており、”父”と呼んでいたのは彼女を守るために刺客となった護衛だった。

事件は解決し、秋嫣と梁翊は帰路につく。梁翊は恵州知府の事件の真相を説明し、二人は馄饨屋で更生した姚蓋(ようがい)と再会する。夕日の中、秋嫣は6年前の梁翊との浜辺の思い出に浸る。

皇帝は仮乱が鎮圧されたことを知り、国師(こくし)には煉丹に専念するように命じる。梁翊と秋嫣は手錠を外すため、吐火羅に人を送ることに。また、銀票の取引記録を探すため、秦暄(しんけん) と共に証拠保管庫へ向かう。そこに元阆(げんろう)が現れ、万艳楼の事件の証拠を引き取りに来る。新たな捜査の始まりを予感させる。

第10話の感想

策略ロマンス~謎解きの鍵は運命の恋~第10話は、手に汗握る展開と、登場人物たちの心情の変化が巧みに描かれた、非常に満足度の高いエピソードでした。煉丹室での脱出劇は、梁翊の知略と秋嫣の機転が光る、スリル満点のシーン。特に、火薬を作り、聖湖に繋がる壁を爆破する場面は、まさに圧巻でした。梁翊が冷静沈著な判断を下す一方で、秋嫣が持ち前の明るさと行動力で彼を支える姿は、二人の絆をより一層強く感じさせました。

そして、水中で秋嫣が体力を消耗した際に、梁翊が人工呼吸で彼女を救うシーン。緊迫した状況の中でのこの行為は、二人の関係性に大きな変化をもたらす重要な場面と言えるでしょう。これまで互いに惹かれ合いながらも、距離を置いていた二人の心が、この瞬間、確かに近づいたことを感じました。秋嫣が照れながらも感謝の言葉を伝える様子も印象的でした。

つづく