詹太医(たんたいい)の不可解な事件を捜査中、宋錦(そうきん)は梁翊(りょうよく) に緊急報告を入れた。詹太医(たんたいい)の事件直前、宮中で彼を訪ねたのは丁御厨ただ一人で、梁翊(りょうよく) の父の事件から四年も経ってからのこの行動はあまりにも不自然で、宋錦(そうきん)は事態の進展がスムーズ過ぎることに疑念を抱き、裏に何かあると考えた。
真相を探るべく、梁翊(りょうよく) と宋錦(そうきん)は丁御厨の屋敷を訪れたが、そこで思いがけず死体を発見する。死体の胸には薪割り場特有の折れた矢が突き刺さり、凄惨な光景が広がっていた。危険を察知し、その場を離れようとした梁翊(りょうよく) たちだったが、元阆(げんろう)たちに囲まれてしまう。元阆(げんろう)は梁翊(りょうよく) を御厨殺害の罪で捕らえようとした。宋錦(そうきん)は梁翊(りょうよく) を守るため、身を挺して盾となったが、敵の刃に倒れてしまう。深い悲しみに暮れながらも、梁翊(りょうよく) は真相を究明し、宋錦(そうきん)の仇を討つため、逃亡の道を選んだ。
元阆(げんろう)はすかさず皇帝に謁見し、梁翊(りょうよく) に濡れ衣を著せた。御厨を買収して皇帝を毒殺しようとしたこと、証拠隠滅のために口封じをしたこと、そして総章衙門の再建で自身の立場が危うくなったと思い込み、太子と衛遠侯、さらには賀家の北面軍と結託して謀仮を企てていることなど、ありもしない罪を次々と並べ立てた。激怒した皇帝は梁翊(りょうよく) の逮捕を命じ、総章衙門には梁府を封鎖して口裏合わせを防ぐよう指示を出した。
一方、北椋に赴いていた秦暄(しんけん) は、北涼王の落とし物を偶然見つけるが、北涼の人々の仮応に不審を抱く。そして、梁翊(りょうよく) が指名手配されたことを知り、元阆(げんろう)に先んじて梁翊(りょうよく) を見つけ出そうと奔走する。また、北涼の国境付近に辿り著いた秋嫣(しゅうえん)と青黛(せいたい)は、現地の結婚式に遭遇し、安霊花の花びらに秘められた毒と貞節の象徴という二つの意味を知る。そこで梁翊(りょうよく) の指名手配を知り、急いで都へ戻る。
元阆(げんろう)は梁翊の行方を追う中で師小小(ししょうしょう)にも圧力をかけるが、師小小(ししょうしょう)は口を割らなかった。秦暄(しんけん) は巧妙な計らいで梁翊と密会し、彼を兵部の隠れ家に匿う。宋錦(そうきん)の死を悼み、秦暄(しんけん) と梁翊は御厨の死の真相を追及することを誓う。姚蓋(ようがい)は調査を命じられ、何者かに尾行されていることに気づくが、それが秋嫣(しゅうえん)だと分かり安堵する。
梁翊の身を案じる秋嫣(しゅうえん)に対し、姚蓋(ようがい)は真相を隠しながらも、御厨の遺留品が元阆(げんろう)の屋敷にある可能性を示唆する。夜陰に紛れて元阆(げんろう)の屋敷に潜入した梁翊は、戻ってきた元阆(げんろう)と鉢合わせになる。緊迫したやり取りの後、梁翊は御厨の遺体から、父親の遺体と同じ鉄錆の臭いを感じ取る。秋嫣(しゅうえん)は北涼の安霊花の毒を思い出し、梁翊の父の死にも裏があるのではないかと推測する。二人は真相を明らかにするため、墓を暴いて遺体を調べることを決意する。
秋嫣(しゅうえん)を安全な場所に匿った梁翊は、思わず宋錦(そうきん)の名前を呼んでしまい、苦い思いに沈む。危険な道行きに秋嫣(しゅうえん)を巻き込みたくないと考え、彼女を気絶させて秦暄(しんけん) に託す。しかし、目を覚ました秋嫣(しゅうえん)は梁翊の元へ戻ることを決意する。梁翊への揺るぎない愛を胸に、どんな困難も共に乗り越えようと誓うのだった。
第30話の感想
策略ロマンス~謎解きの鍵は運命の恋~第30話は、息もつかせぬ展開で、怒涛のクライマックスに向けて物語が大きく動き出した印象です。特に宋錦(そうきん)の死はあまりにも突然で、衝撃的な出来事でした。梁翊を守るために自らの命を犠牲にする彼女の勇姿は涙を誘いますが、同時に残された梁翊の悲しみと復讐心は計り知れません。この悲劇が今後の物語にどのような影を落とすのか、非常に気になるところです。
元阆(げんろう)の奸計は巧妙で、皇帝を欺き、梁翊を窮地に追い込む様は見ていて腹立たしい限りです。権力欲に目がくらみ、無実の人間を陥れる彼の卑劣な行いは、必ずや報いを受けることになるでしょう。
一方、秦暄(しんけん) と秋嫣(しゅうえん)は、それぞれ異なる場所で梁翊の危機を知り、彼を助けるために奔走します。二人の梁翊への強い想いが伝わってきて、胸が熱くなります。特に秦暄(しんけん) は、危険を顧みず梁翊を匿うなど、男気溢れる行動を見せてくれます。
また、秋嫣(しゅうえん)が北涼の結婚式で安霊花の花びらの毒について知るという偶然も、今後の展開に大きく関わってくる伏線となっているように感じられます。梁父の死の真相、そして元阆(げんろう)の陰謀がどのように繋がっていくのか、今後の展開から目が離せません。
つづく