清越坊(せいえつぼう)の女たち~当家主母~ 第1話 あらすじ/ネタバレ

江南の絹織物で有名な任(じん)家の当主夫人、沈翠喜(しんすいき)は姑蘇では名の知れた人物です。彼女は自分の努力で商売の道を切り開き、成功を収めました。

ある日、任(じん)家の当主である任雪堂(じんせつどう)が、文会を口実に遊女の曽宝琴(そほうきん)と密会しているという噂を聞いた沈翠喜(しんすいき)は、怒りに駆られて任雪堂(じんせつどう)のもとへ駆けつけます。そこで彼女は曽宝琴(そほうきん)に平手打ちを食らわせます。

曽宝琴(そほうきん)は、任雪堂(じんせつどう)への愛を証明するために自殺を図ろうとしますが、沈翠喜(しんすいき)に阻止されます。曽宝琴(そほうきん)は死に値しない身分ですが、任(じん)家で死んだ場合、任雪堂(じんせつどう)は黒龍江に流刑となり、奴隷として働かされることになります。

沈翠喜(しんすいき)は任雪堂(じんせつどう)を連れ戻した後、曽宝琴(そほうきん)は沈翠喜(しんすいき)のことを任(じん)家に寄宿している乞食に過ぎないと語ります。しかし、彼女は幼い頃から任雪堂(じんせつどう)と仲良くしており、二人の絆は固いものでした。

任(じん)家の二当主である任如風(じんじょふう)は、賭博で借金を作り、こっそりと家に帰ります。彼は書斎で縛られている書硯(しょけん)を見て興味をそそられ、任雪堂(じんせつどう)と沈翠喜(しんすいき)の部屋の外で盗み聞きをします。

任雪堂(じんせつどう)は曽宝琴(そほうきん)を放っておくことはできないと言いますが、沈翠喜(しんすいき)は曽宝琴(そほうきん)は遊女であり、任雪堂(じんせつどう)は立派な挙人であるため、曽宝琴(そほうきん)は任雪堂(じんせつどう)に害をなすだけだと反論します。

しかし、任雪堂(じんせつどう)は沈翠喜(しんすいき)の意見を無視し、曽宝琴(そほうきん)のために身請けをした以上、これ以上「遊女」という言葉を使うなと命じます。沈翠喜(しんすいき)は怒り心頭に発し、2日間も寝込んでしまいます。

一方、前回任如風(じんじょふう)に金を貸した広州(こうしゅう)の張飆が任(じん)家にやってきます。彼は高値で生糸(きいと)を買い取りたいと申し出ます。任如風(じんじょふう)は心を動かされ、蘇州(そしゅう)で生糸(きいと)を売っている人がいないか調べてみることを約束します。

沈翠喜(しんすいき)は林舒芳(りんじょほう)に命じて任雪堂(じんせつどう)に帳簿を届けさせます。そこに居合わせた任如風(じんじょふう)は、帳簿を見て任雪堂(じんせつどう)が曽宝琴(そほうきん)に多額の金を使ったことを知ります。

母である陳暁紅は、任雪堂(じんせつどう)の心は完全に曽宝琴(そほうきん)にあるため、沈翠喜(しんすいき)はどんなに頑張っても曽宝琴(そほうきん)には勝てないと嘆きます。陳暁紅は、任如風(じんじょふう)が本当に商売のために金を使うと信じて、自分の全財産を任如風(じんじょふう)に託します。

蘇州(そしゅう)織造(しょくぞう)の李大人から大量の缂絲織錦の注文を受けた任(じん)家ですが、在庫が少なく、高値で買い付けなければならず、損失が出ることが予想されます。任雪堂(じんせつどう)は、商売に慣れていないにもかかわらず、李大人の要求する生糸(きいと)を買い付ける決断をします。

足りない在庫を魯掌櫃から買おうとしたところ、任如風(じんじょふう)が大量の生糸(きいと)を購入したことを知ります。任雪堂(じんせつどう)は任如風(じんじょふう)を問い詰めると、任如風(じんじょふう)は沈翠喜(しんすいき)の指示で買ったと嘘をつきます。沈翠喜(しんすいき)は任雪堂(じんせつどう)を家に縛り付けて、曽宝琴(そほうきん)に会わせないようにするためだと説明します。

任雪堂(じんせつどう)は任(じん)家に帰り、沈翠喜(しんすいき)と激しく言い争います。沈翠喜(しんすいき)は胸の痛みを堪えながら、林舒芳(りんじょほう)に命じて家出している任如風(じんじょふう)の後を付けさせます。林舒芳(りんじょほう)は任如風(じんじょふう)が水賊と取引をしている現場を目撃し、任如風(じんじょふう)を任(じん)家に連れ戻します。

罪を犯した任如風(じんじょふう)は任(じん)家の祠堂で跪きます。知らせを聞いて駆けつけた任雪堂(じんせつどう)に、任如風(じんじょふう)は素直に白状します。しかし、彼は自分の犯した罪は軽いものだと考えています。沈翠喜(しんすいき)は、取引相手である張飆が南洋と東洋を股にかける水賊であることを告げます。

第1話の感想

第1話は、沈翠喜(しんすいき)と任雪堂(じんせつどう)の夫婦関係を中心に描かれた、とても興味深い内容でした。沈翠喜(しんすいき)は、商売で成功を収めた強い女性ですが、夫の浮気に苦しんでいます。一方、任雪堂(じんせつどう)は優しい性格ですが、遊女である曽宝琴(そほうきん)に夢中です。

沈翠喜(しんすいき)と任雪堂(じんせつどう)の対立は、二人の価値観の違いから生じています。沈翠喜(しんすいき)は現実的で実利を重視しますが、任雪堂(じんせつどう)はロマンチストで理想を追求します。二人の衝突は、今後どのように展開していくのか、とても気になります。

また、任如風(じんじょふう)の存在も物語に緊張感を与えています。彼はギャンブル好きで借金を抱えており、常にトラブルを起こしています。彼の行動が、任(じん)家にもたらす影響は計り知れません。

つづく