清越坊(せいえつぼう)の女たち~当家主母~ 第30話 あらすじ/ネタバレ

沈翠喜(しんすいき)は、清越坊(せいえつぼう)を曽宝琴(そほうきん)に託し、秀山(しゅうざん)に最後の抱擁をして、任(じん)家を後にしました。沈翠喜(しんすいき)が去ってしまい、任雪堂(じんせつどう)と曽宝琴(そほうきん)は心の中に大きな空虚を感じます。

任雪堂(じんせつどう)は、沈翠喜(しんすいき)が任(じん)家を離れても、永遠に家族であると言います。沈翠喜(しんすいき)は任小蘭(じんしょうらん)と一緒に任(じん)家を離れ、「錦溪坊」と呼ばれる小さな家に落ち着き、規律に縛られない自由な生活を送るようになりました。林舒芳(りんじょほう)や任小蘭(じんしょうらん)とも、以前のような格式ばった呼び方をしなくなりました。

沈翠喜(しんすいき)は錦溪坊で開校し、公開的に弟子を募集します。彼女と任小蘭(じんしょうらん)は、蘇州(そしゅう)中に告知の張り紙を貼りました。任(じん)家の宗族はそれを知り、非常に不満を表明します。数人の叔父が任雪堂(じんせつどう)を訪ねてきて、不満を訴えます。

任雪堂(じんせつどう)は叔父たちをなだめ、沈翠喜(しんすいき)を責めることはありませんでした。叔父たちは任雪堂(じんせつどう)と沈翠喜(しんすいき)の離縁についても不満を表明しますが、任雪堂(じんせつどう)は彼らの意見を気にしません。

その後、任雪堂(じんせつどう)は錦溪坊を訪ねて沈翠喜(しんすいき)に会いに行きます。道中、彼は沈翠喜(しんすいき)がかつて自分に言った言葉を思い出します。沈翠喜(しんすいき)は常に、先人の技法を踏襲するのではなく、独自の緙絲(こくし)技法を確立したいと考えていました。

今回の訪問で任雪堂(じんせつどう)は、名門の淑女を弟子に迎えることを検討するように説得しようとします。沈翠喜は彼の言葉をよく考えることを約束します。

弟子募集の日、ある少女が緙絲(こくし)を学びたいと希望しますが、母親はそれを頑なに拒否します。母親は沈翠喜が人前で仕事をすることを軽蔑し、ひどい言葉を浴びせます。

丁栄(ていえい)は自分の娘2人、招娣と引娣を連れてきて、沈翠喜に弟子入りさせます。沈翠喜は衆人環視の中で、2人を弟子として受け入れます。

この時、任如風(じんじょふう)は久しぶりに林舒芳(りんじょほう)と再会します。林舒芳(りんじょほう)が総帳房に戻ると、沈翠喜は任如風(じんじょふう)に林舒芳(りんじょほう)を追いかけるように言います。最近、算盤に触れるようになった任如風(じんじょふう)は、様々なことを理解し、逆に林舒芳(りんじょほう)に会いに行くことをためらっていました。

林舒芳(じょほう)は最近、清越坊(せいえつぼう)と錦溪坊で忙しくしており、ようやく総帳房で帳簿を計算する時間が取れました。彼女は夜遅くまで帳簿と格闘し、ついに机に突っ伏して眠ってしまいます。任如風(じんじょふう)はそっと彼女に衣服をかけてあげ、残りの帳簿を計算してあげます。

翌日、林舒芳(じょほう)が目覚めると、残りの帳簿が計算されていることに気づきます。彼女はようやく怒りが収まり、任如風(じんじょふう)と再び仲直りします。

ある母親は娘を錦溪坊に送り込み、自身は姿を現しません。沈翠喜は娘を受け入れ、沈元と名付けます。

任小蘭(じんしょうらん)の実父は、仲人に任小蘭(じんしょうらん)の縁談を持ちかけます。福婶(ふくえん)は任小蘭(じんしょうらん)が大户人家に妾として嫁ぐことを知ると、夫に説得しようとしますが、杖で打たれてしまいます。任小蘭(じんしょうらん)は沈翠喜に助けを求めます。彼女は結婚したくありませんし、自分の母親のように夫から暴力を受けるような結婚は絶対に嫌なのです。

翌日、福婶(ふくえん)は沈翠喜を訪ねてきます。用件を説明する前に、沈翠喜は任小蘭(じんしょうらん)の縁談について相談に来たことを察します。2人は過去の出来事を思い出します。当時、福婶(ふくえん)の家族は借金取りに追われていましたが、沈翠喜が助けてくれました。このことを利用して、沈翠喜は任小蘭(じんしょうらん)の縁談は自分が決めることを宣言します。

任福は怒り狂い、人々に自分を錦溪坊まで運ばせます。そして、錦溪坊の門前で跪いて哀願し、泣き叫びます。周囲の人々は噂話をしますが、彼は気にしません。沈翠喜が外に出ようとしたその時、福婶(ふくえん)が駆けつけてきて、迷惑をかけてしまったことを謝罪します。任小蘭(じんしょうらん)は自ら出て行って任福を追い払うと言い、福婶(ふくえん)は心配しますが、沈翠喜は任小蘭に経験を積ませる良い機会だと慰めます。

第30話の感想

第30話は、沈翠喜が任(じん)家を離れ、新たな人生を歩み始めるという大きな転換点となるエピソードでした。沈翠喜の決断は、周囲の人々にも大きな影響を与え、それぞれのキャラクターが新たな道を模索していく姿が描かれました。

特に印象的だったのは、沈翠喜が錦溪坊で開校し、公開的に弟子を募集するシーンです。これは、沈翠喜が伝統的な規範に縛られず、自分の信念に従って生きていく決意を表明したことを意味します。また、名門の淑女を弟子に迎えることを検討するなど、彼女の視野がさらに広がっていることも感じられました。

一方で、任雪堂(じんせつどう)や曽宝琴(そほうきん)は沈翠喜の不在に大きな喪失感を抱いている様子が描かれました。しかし、彼らは沈翠喜の決断を尊重し、それぞれの立場で新たな道を歩み始めています。

このエピソードは、女性が社会の中で生き抜くための強さと、伝統的な規範からの解放というテーマを浮き彫りにしています。沈翠喜の挑戦は、多くの女性たちに勇気を与えるものであり、今後の展開がますます楽しみになりました。

つづく