鶴唳華亭<かくれいかてい>〜Legend of Love〜第1話 あらすじ/ネタバレ
建元四年、南斉の朝廷は風雲急を告げていた。皇太子に冊立された蕭定権(しょうていけん)は、孤立無援の境遇に置かれていた。母方の叔父である武徳侯(ぶとくこう)顧思林(こしりん)の威光と、吏部尚書兼太傅の蘆世瑜(ろせいゆ)の清流派の支持を得ていたものの、父皇である蕭睿鑒(しょうえいかん)の深い忌憚と意図的な抑圧を受けていた。幼い頃から儒教の経典に親しみ、父の愛を渇望していた蕭定権(しょうていけん)は、君臣父子之道を慎んでいても、疎外される運命から逃れることはできなかった。
年の瀬、大雪が皇城を覆う中、蕭定権(しょうていけん)は寺院で束の間の静寂を得ていた。しかし、その静寂は突然の足音によって破られた。顧思林(こしりん)の次男、顧逢恩(こほうおん)が駆けつけてきて、恩師である蘆世瑜(ろせいゆ)が言官たちを率いて上奏し、皇太子が成人しても冠礼を行っていないことや、斉王蕭定棠(しょうていとう)が封国に赴かず京城に留まっていることを直言し、朝野に議論を巻き起こしていると報告した。しかし、蕭睿鑒(しょうえいかん)はそうした諫言を無視し、冷厳な表情で人々を遠ざけた。
この知らせを受けた蕭定権(しょうていけん)は、恩師が自分のために累を被ることを望まず、周囲の製止を振り切って言官たちの元へ向かい、寒さをしのぐための品々を届け、君臣の疑念が深まるのを避けるため、適時に退くよう説得した。その後、彼は自分の行動が礼儀に仮していることを自覚し、外衣を脱ぎ捨て、雪の中を長跪して父皇に罪を謝し、少しでも理解を得ようと願った。すると、蕭定棠(しょうていとう)がわざとらしく現れ、偽善的な気遣いを示しながら冷やかし、父皇から賜った大氅を蕭定権(しょうていけん)に強引に被せて立ち去り、骨まで凍るような寒さを残していった。
宮中では、趙(ちょう)貴妃貴妃がこのことを知って内心で喜び、蕭定権(しょうていけん)の窮状を気にするどころか、自分の息子である蕭定棠(しょうていとう)の寵愛と得意を誇示した。しかし、その得意は長くは続かなかった。武徳侯(ぶとくこう)顧思林(こしりん)が突然宮殿に現れ、北方の敵軍が迫っているという緊急の軍情を伝え、宮中の平穏を打ち破った。顧思林(こしりん)は自ら出徴して敵を迎え撃つことを願い出、蕭睿鑒(しょうえいかん)は彼の忠誠心に感じ入り、承諾すると同時に、顧氏の権勢のために太子を冷遇することはないと約束した。
一方、遠く離れた川蜀では、陸英(りくえい)一家にも運命の転機が訪れた。蕭定権(しょうていけん)の冠礼が決まったため、蘆世瑜(ろせいゆ)が陸英(りくえい)を京に呼び寄せて官職に就かせようとしたのだ。この知らせに、陸英(りくえい)は栄誉を感じると同時に不安も覚えた。京は複雑多様で、未来は予測不可能だった。
冠礼の前夜、蕭定権(しょうていけん)は落ち著かず、特に舅父である顧思林(こしりん)の出発を気にかけていた。顧逢恩(こほうおん)は楽観的な態度で、彼の心の重圧を和らげようと努めた。冠礼の服を用意している最中、闇流が渦巻く陰謀が水面下で進行していた。張尚服(ちょうしょうふく)は紛失した玉帯を探す過程で、蕭定棠(しょうていとう)と呉(ご)内人の密謀を偶然発見した。彼らは冠礼の日に蕭定権(しょうていけん)が3年前に犯した「不孝」を暴露し、彼の戴冠を阻止しようと企んでいた。張尚服(ちょうしょうふく)は驚きながらも巧みに隠し通したが、金牌の紛失は彼女の心に消えない影を落とした。
迫り来る冠礼に、蕭定権(しょうていけん)は不安を抱きながらも、茨の道を歩み続ける決意をした。彼は自分の行動が、個人的な名誉だけでなく、国家の安定と未来にも関わっていることを知っていた。権力と親族愛の戦いで、彼は数々の障害を乗り越え、自分の尊厳と地位を勝ち取ることができるのか。すべてはこれから明らかになる。
第1話の感想
第1話は、蕭定権(しょうていけん)という人物の苦悩と葛藤が描かれており、非常に興味深い内容でした。彼は皇太子でありながら、孤立無援の境遇に置かれており、父皇からの深い忌憚と意図的な抑圧に苦しんでいます。また、恩師や友人たちの忠誠心と陰謀渦巻く宮廷の闇闘が描かれており、今後の展開が非常に気になります。
特に印象に残ったのは、蕭定権(しょうていけん)が雪の中を長跪して父皇に罪を謝るシーンです。彼の切実な思いが伝わってくるようで、胸が締め付けられるような気持ちになりました。また、蕭定棠(しょうていとう)の冷酷さと趙(ちょう)貴妃貴妃の傲慢さにも驚かされました。
つづく