双燕秘抄 乱世を舞う二羽の絆 第27話 あらすじ/ネタバレ

賑わう磬州の街と離別の予感

陳文徳は茉喜(まほろ)が退屈しないように街へ連れ出す。街では陳文徳が着任してから食料の支給や家屋の修復を行い、磬州から逃げていた多くの民衆が戻ってきたと、ある百姓が話す。皆が陳文徳を民を思いやる良い官だと称賛し、その百姓は皆の代わりに陳文徳に感謝の意を伝える。茉喜(まほろ)はその様子を見て、陳文徳が民衆を買収して自分に良いことを言わせているのではないかと疑う。

茉喜(まほろ)は最新の流行服を見ようと街の呉服店に入るが、陳文徳は興味を示さず、向かいの茶店で待つように言われる。陳文徳は小武(しょうぶ)に店の中で茉喜(まほろ)を待つように指示し、茉喜(まほろ)は呉服店の奥の部屋で服を見るが、そこで萬嘉桂(ばんかげつ)と遭遇する。萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜(まほろ)が鳳瑶(ほうよう)の代わりに陳文徳に嫁いだことを知り、陳文徳を憎んでいた。彼は今回磬州に潜入したのは軍情を探るだけでなく、茉喜(まほろ)と鳳瑶(ほうよう)を救出するためだった。

萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜(まほろ)を連れて磬州から脱出することを提案し、今は陳文徳にとって茉喜(まほろ)の方が重要な存在であるため、茉喜(まほろ)が逃げても鳳瑶(ほうよう)に危害を加えることはないだろうと話す。萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜(まほろ)が陳文徳に嫁いだことを気にしておらず、この無理矢理の結婚は成立しないと主張し、京州に戻れば盛大な結婚式を挙げて茉喜(まほろ)を娶ると約束する。萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜(まほろ)に近いうちに軽率な行動を取らないように伝え、何かあれば密かに連絡すると告げる。

萬嘉桂(ばんかげつ)に会ったことで気分が晴れない茉喜(まほろ)は、京州に戻りたいと陳文徳に伝える。陳文徳も京州で育ったことを話し、幼い頃に伯父が金部郎中だったため党争に巻き込まれ、濡れ衣を着せられて刑罰を受けたと明かす。近親者であるため家財は没収され、両親は悲しみのあまり病死した。事件後、陳家の親戚は皆陳家から遠ざかっていたが、陳文徳の両親が亡くなると、陳文徳を養子にしようと企んだのは陳家の屋敷が欲しかったためだった。その後、遠くの親戚に引き取られた陳文徳は故郷への帰路で強盗に襲われ、親戚は目の前で殺された。茉喜(まほろ)は白家(はくけ)が陥れられて家を失い、彼女と鳳瑶(ほうよう)が磬州まで来るまでに苦労したことを思い出す。

茉喜(まほろ)は鳳瑶(ほうよう)との出会いを振り返る。7歳の時に父親が亡くなり、病弱な母親は茉喜(まほろ)を白二叔に引き取ってもらうために先祖代々の土地を売却した。白家(はくけ)は母親の財産を条件に茉喜(まほろ)を引き取ったものの、茉喜(まほろ)の存在を公にすることはなく、常に酷い扱いを受けていた。鳳瑶(ほうよう)だけが茉喜(まほろ)に心から接してくれたため、茉喜(まほろ)は鳳瑶(ほうよう)を大切にしようと決意した。陳文徳は茉喜(まほろ)にもずっと良くし、守ってあげると言う。茉喜(まほろ)は自分のそばにずっといてくれるのかと尋ねるが、陳文徳は茉喜(まほろ)の苦悩を理解し、追及することを諦める。代わりに気分転換に奇術を見に行くことを提案し、茉喜(まほろ)は奇術に夢中になる。陳文徳が奇術に詳しいのは、養父が亡くなった後、茶店で給仕や雑用をして小銭を稼いでいたためだった。茉喜(まほろ)は陳文徳を不憫に思い、思わず手を伸ばして慰めようとするが、2人とも気まずくなってしまう。

隗州の特使は陳文徳と茉喜(まほろ)が仲睦まじい様子を見て、陳文徳との婚姻は望めないことを悟る。特使は他の3州の特使に、陳文徳と新婦が仲良くしていることを伝え、陳文徳と萬嘉桂(ばんかげつ)が対立するという彼らの策略は失敗したと話す。隗州の特使は他の3州の特使に、曹刺史と共に陳文徳に圧力をかけるように求める。

小武(しょうぶ)は磬州に刺客が潜入し、茉喜(まほろ)の命を狙っているという情報を得る。陳文徳は茉喜(まほろ)に屋敷の中で過ごすように指示し、侍女と侍衛を護衛に付ける。茉喜(まほろ)は気乗りしない様子だが、陳文徳は磬州は危険な場所であり、茉喜(まほろ)は萬嘉桂(ばんかげつ)と自分の弱みだと考えられているため、刺客の標的になっていると説明する。

茉喜(まほろ)は立春に裁縫を教わることを理由に屋敷から連れ出し、刺客が自分を襲撃する際に磬州から脱出する計画を萬嘉桂(ばんかげつ)に伝えるように指示する。茉喜(まほろ)は立春にすぐに萬嘉桂(ばんかげつ)に連絡を取り、行動を起こすように命じる。陳文徳が茉喜(まほろ)を訪ねてくると、茉喜(まほろ)は慌てて立春に裁縫を習っていると言い訳をし、陳文徳は茉喜(まほろ)に上達したら巾着や靴下を縫ってほしいと頼む。

外出を制限された茉喜(まほろ)は、小武(しょうぶ)を脅して塀をよじ登って外に出ようとするが、小武(しょうぶ)は茉喜(まほろ)の侍女である立春に人を呼びに行かせることに同意する。茉喜(まほろ)は立春に沈山長(さんちょう)を呼びにいかせるが、立春は無事に屋敷から出ることに成功する。立春は書院から沈書墨(しんしょぼく)を屋敷に連れてくると、茉喜(まほろ)は沈書墨(しんしょぼく)の服装から書院が困っていることを察する。沈書墨(しんしょぼく)も書院では食料や衣服が不足していることを認め、茉喜(まほろ)は陳文徳に女学への援助を要請することを決意する。茉喜(まほろ)は沈書墨(しんしょぼく)に逃亡を手伝ってほしいと頼み、沈書墨(しんしょぼく)は茉喜(まほろ)が陳文徳に女学への援助を申し出ることを条件に協力することを承諾する。

茉喜(まほろ)は立春に沈書墨(しんしょぼく)を女学に送り届け、ついでに読みたい本を持ってきてもらうように指示する。小武(しょうぶ)は茉喜(まほろ)が本を読むことに疑問を呈し、刺客が来るまでは茉喜(まほろ)のそばを離れないと宣言する。茉喜(まほろ)は小武(しょうぶ)の態度に苛立ちを募らせる。

第27話 感想

第27話では、陳文徳と茉喜(まほろ)の絆が深まる様子が描かれました。陳文徳は茉喜(まほろ)を気遣い、街に連れ出したり、奇術を見せたりと、茉喜(まほろ)を楽しませようとします。茉喜(まほろ)も陳文徳の優しさに心を動かされ、次第に彼に惹かれていく様子が伺えます。

一方、萬嘉桂(ばんかげつ)も茉喜(まほろ)への想いを諦めていません。彼は茉喜(まほろ)を磬州から連れ出そうとしますが、陳文徳に阻止されてしまいます。萬嘉桂(ばんかげつ)は陳文徳と茉喜(まほろ)の仲を裂こうとしますが、彼の策略は失敗に終わります。

また、第27話では陳文徳の過去が明らかになりました。彼は幼い頃に辛い経験をし、親戚からも裏切られた過去があります。しかし、彼はそんな過去を乗り越え、磬州の人々のために尽くそうとしています。

つづく