双燕秘抄 乱世を舞う二羽の絆 第29話 あらすじ/ネタバレ

馬車の危機

御者が逃げ出したため、茉喜(まほろ)は自ら馬車を運転して鳳瑶(ほうよう)を西城門へと向かわせます。しかし、途中で馬が爆弾に驚いて暴走。茉喜(まほろ)は皆に馬車から飛び降りるよう叫びますが、鳳瑶(ほうよう)は間に合いません。萬嘉桂(ばんかげつ)が駆けつけて鳳瑶(ほうよう)を救い出し、怪我をすることなく西城門へと急ぎます。

脱出の試み

陳文徳は、攻城の目的が鋳造坊にあることを知り、物資を城外に運び出そうとします。城内では多くの民衆が出城許可証を持って脱出しようとしており、茉喜(まほろ)は陳文徳が侍女に与えた許可証を使って自分たちも出城できると考えます。

しかし、茉喜(まほろ)が将軍夫人の侍女として許可証を使って出城しようとしたところ、守城兵に阻まれてしまいます。混乱の中、民衆は押し合いへし合いしながら城外へと逃げ出します。萬嘉桂(ばんかげつ)も鳳瑶(ほうよう)と茉喜(まほろ)を連れて強行突破を試みますが、茉喜(まほろ)は人混みの中で萬嘉桂(ばんかげつ)たちとはぐれてしまいます。

萬嘉桂(ばんかげつ)は鳳瑶(ほうよう)の提醒で茉喜(まほろ)がまだ城内にいることに気づき、引き返して茉喜(まほろ)を連れ戻そうとしますが、そのとき陳文徳がやってきて茉喜(まほろ)を捕らえてしまいます。茉喜(まほろ)は萬嘉桂(ばんかげつ)に鳳瑶(ほうよう)を連れて早く逃げるよう叫び、萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜(まほろ)を磬州城に残したまま見送るしかありませんでした。

茉喜(まほろ)の毒

陳文徳は茉喜(まほろ)の脱走に激怒し、屋敷に戻ってから罰を与えようとしますが、茉喜(まほろ)は突然倒れてしまいます。慌てた陳文徳は茉喜(まほろ)を屋敷に連れ戻し、介抱します。

茉喜(まほろ)が目を覚ますと、すでに将軍府に戻っていることに気づきます。立春から、毒を盛られて倒れたことを聞かされます。幸いにも医者が間に合い、一命を取り留めました。陳文徳は茉喜(まほろ)が出城許可証に毒が盛られていたことを突き止め、立春が犯人ではないかと疑います。立春は当初、茉喜(まほろ)に接触した人物が毒を盛ったのではないかと推測していました。

茉喜(まほろ)は立春の視線が泳いでいることに気づき、問い詰めたところ、立春は陳文徳の部下になったことを告白します。鳳瑶(ほうよう)は茉喜(まほろ)を連れ出せなかったことに心を痛め、萬嘉桂(ばんかげつ)を責めます。二人は相思相愛なのに、なぜ公にしないのかと。鳳瑶(ほうよう)は、萬嘉桂(ばんかげつ)が両親に自分の結婚を断るのではなく、茉喜(まほろ)と結婚したいことを告げることができないだけだと指摘します。萬嘉桂(ばんかげつ)は両親の面子を気にしており、実際には茉喜(まほろ)の身分を嫌っているのではないかと。鳳瑶(ほうよう)は茉喜(まほろ)が磬州城から脱出できていないと確信し、二人とも責任を逃れることはできないと訴えます。鳳瑶(ほうよう)は萬嘉桂(ばんかげつ)に茉喜(まほろ)救出を懇願し、茉喜(まほろ)が本当に陳文徳の妻になることを恐れます。

裏切りの理由

茉喜(まほろ)は立春がなぜ萬嘉桂(ばんかげつ)を裏切ったのかを問い詰めます。立春は、数年前、両親と共に追われる身となり、両親は殺されてしまったことを明かします。陳文徳が現れて自分を救ってくれたと言います。茉喜(まほろ)は、陳文徳に情報を伝えたのが立春だったことを知り、驚きます。しかし、立春は陳文徳は茉喜(まほろ)の脱走を知っていながら見逃していたと告げます。陳文徳は茉喜(まほろ)が改心してくれることを期待していたのです。茉喜(まほろ)は裏切りを許すことができず、立春を部屋から追い出します。

陳文徳の怒り

陳文徳は茉喜(まほろ)を見舞いに訪れます。茉喜(まほろ)は陳文徳を臆病者だと罵り、自分の側に密偵を置いていたことを責めます。しかし、陳文徳は不誠実な妻をどう扱うべきかと茉喜(まほろ)に問い詰めます。茉喜(まほろ)は常に萬嘉桂(ばんかげつ)のことを考えており、密偵がいなければとっくに萬嘉桂(ばんかげつ)と駆け落ちしていたでしょう。陳文徳はさらに、神鴉火箭は自分と萬嘉桂(ばんかげつ)しか持っていないこと、城門への攻撃は萬嘉桂(ばんかげつ)が仕組んだものであり、北朔軍への攻撃が真の目的だったことを明かします。

茉喜(まほろ)は萬嘉桂(ばんかげつ)はそんな人間ではないと信じますが、陳文徳は失望し、茉喜(まほろ)を責めます。茉喜(まほろ)の目には、萬嘉桂(ばんかげつ)は朝廷の棟梁であり、腹黒い人間にしか見えないと言います。陳文徳は茉喜(まほろ)と分かり合えると信じていましたが、茉喜(まほろ)の心には萬嘉桂(ばんかげつ)しかいないことに気づき、絶望して部屋を出ていきます。

萬嘉桂(ばんかげつ)の決意

萬嘉桂(ばんかげつ)は調査の結果、磬州城門への攻撃は監軍の呉吟(くれ・ぎん)の命令だったことを突き止めます。萬嘉桂(ばんかげつ)は呉吟(くれ・ぎん)に問い詰めますが、呉吟(くれ・ぎん)は否定しません。しかし、これにより明德候が朝廷の御用である神鴉火箭を私的に使用していたことが明らかになります。萬嘉桂(ばんかげつ)はこれを上奏しようとしますが、呉吟(くれ・ぎん)は磬州城への私的な侵入を理由に脅迫します。

陳文徳は酒に酔って茉喜(まほろ)の部屋を訪れます。部屋を茉喜(まほろ)に譲ったのに感謝されていないと感じ、酔った勢いで部屋で寝てしまいます。茉喜(まほろ)は仕方なく、軟榻で寝ることにします。鳳瑶(ほうよう)は茉喜(まほろ)を心配して涙を流します。萬嘉桂(ばんかげつ)は必ず茉喜(まほろ)を救い出すと約束しますが、鳳瑶(ほうよう)はもはや萬嘉桂(ばんかげつ)の言葉を信じません。萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜(まほろ)との約束を果たせなかったことを認め、援軍が到着したため、磬州城を強攻するつもりだと告げます。

茉喜(まほろ)の約束

茉喜(まほろ)は朝起きると、自分がベッドにいることに気づき、叫び声をあげます。陳文徳は慌てて、昨夜茉喜(まほろ)が風邪をひかないようにとベッドに運んだことを説明します。陳文徳は茉喜(まほろ)が逃げないように、今後一歩も自分の元を離れないように命じます。茉喜(まほろ)は陳文徳が沈書墨(しんしょぼく)に危害を加えないようにするため、大人しく屋敷に残ることを約束します。

第29話の感想

第29話は、緊迫感と裏切りが交錯する、ドラマチックな展開でした。茉喜(まほろ)と萬嘉桂(ばんかげつ)の切ない別れ、鳳瑶(ほうよう)の悲しみ、そして立春の複雑な心情が描かれ、視聴者の心を揺さぶります。

特に印象に残ったのは、茉喜(まほろ)と萬嘉桂(ばんかげつ)の別れです。萬嘉桂(ばんかげつ)は鳳瑶(ほうよう)を救うために、茉喜(まほろ)を磬州城に残さざるを得ませんでした。茉喜(まほろ)は萬嘉桂(ばんかげつ)に早く逃げるように叫び、萬嘉桂(ばんかげつ)は茉喜(まほろ)を置いていくことに苦悩します。二人の切ない表情が、視聴者の胸に深く刻まれました。

また、鳳瑶(ほうよう)の悲しみも胸を打ちます。彼女は茉喜(まほろ)を救出できなかったことを悔やみ、萬嘉桂(ばんかげつ)を責めます。鳳瑶(ほうよう)の涙は、彼女の茉喜(まほろ)への愛情と、萬嘉桂(ばんかげつ)への失望を物語っています。

さらに、立春の複雑な心情も描かれています。彼女は陳文徳に恩義を感じており、茉喜(まほろ)を裏切ることを余儀なくされました。立春の苦悩は、視聴者に共感を呼び起こします。

つづく