双燕秘抄 乱世を舞う二羽の絆 第30話 あらすじ/ネタバレ
茉喜(まほろ)は陳文徳の朝食を届けに訪れたが、小武(しょうぶ)が念入りに毒見をしている様子を見て、彼の命を狙う者が多くいることを知る。茉喜(まほろ)は自ら朝食を陳文徳に渡し、疲れから態度が乱暴になってしまう。
その後、陳文徳は茉喜(まほろ)を連れて巡回に出かけようとするが、茉喜(まほろ)は乗り気ではない。陳文徳は小武(しょうぶ)に茉喜(まほろ)を縛って連れて行くように命じ、茉喜(まほろ)は仕方なくついていく。陳文徳の机の上にあった兵法書を見て感想を述べたが、萬嘉桂(ばんかげつ)の名前が出た途端、陳文徳は機嫌を損ねてしまう。
その頃、隗州特使が陳文徳に謁見する。朝廷の援軍5万が到着し、萬嘉桂(ばんかげつ)が磬州城攻略のために兵を集結しているという報告を受ける。鍾毓麒(钟毓麒)が萬嘉桂(ばんかげつ)に兵を送り、堯、岫、夏の三州も朝廷に寝返ったことで、朝廷軍は10万に膨れ上がった。陳文徳は迎え撃つ構えを見せるが、隗州特使は今の段階で朝廷と正面衝突するのは得策ではないと進言する。
隗州特使は、隗州刺史の曹大人による戦争の仲介を提案するが、その条件として陳文徳と曹大人の娘との結婚を要求する。しかし、陳文徳はそれを断固拒否し、今の地位は自身の努力で勝ち取ったものであり、縁故に頼るつもりはないと宣言する。隗州特使は後悔しないように忠告するが、陳文徳は茉喜(まほろ)の毒が特使たちによるものだと指摘し、さらに隗州特使を傷つけて警告する。もし茉喜(まほろ)に危害を加えれば、特使の首を隗州に送ると言い放つ。
一方、鳳瑶(ほうよう)は茉喜(まほろ)が萬嘉桂(ばんかげつ)の元に情報を探りに来るのではないかと心配していたが、萬嘉桂(ばんかげつ)も磬州城内の密偵との連絡が途絶えている。萬嘉桂(ばんかげつ)は陳文徳が茉喜(まほろ)に危害を加えることはないと信じているが、監視を強めるだろうと予想する。鳳瑶(ほうよう)は茉喜(まほろ)の手を離してしまったことを後悔するが、萬嘉桂(ばんかげつ)は今日中に兵を訓練し、すぐに磬州城に攻め込んで茉喜(まほろ)を救出すると約束する。鳳瑶(ほうよう)も茉喜(まほろ)を救出したら両親に真実を伝え、茉喜(まほろ)の身代わりになるつもりはないと告げる。萬嘉桂(ばんかげつ)もその覚悟を固め、茉喜(まほろ)を迎え入れる準備をすると誓う。
陳文徳は公務に追われ、日が暮れてからも兵器の鋳造場を確認に出かける。茉喜(まほろ)が空腹だろうと察し、小武(しょうぶ)に食事を届けるように指示する。茉喜(まほろ)は陳文徳と共に鋳造場を訪れ、そこで働く人々が皆身体に障害を持つ兵士であることを知る。茉喜(まほろ)は陳文徳に、本当に反乱を起こすために兵器を大量に造っているのかと尋ねる。陳文徳は鍾毓麒(钟毓麒)と吳朗(ごろう)、各州の刺史が結託した書簡を見せ、聖上が彼らの言葉に惑わされて自分を反逆者だと誤解していることを説明する。磬州の鉄鉱山を落日賊の手に渡さないためにも、守らなければならないと主張する。
茉喜(まほろ)はなぜ鋳造場に障害者が多いのかと質問する。陳文徳は彼らは戦場で共に戦った仲間であり、戦えなくなった今でも同じ軍の俸禄を受け取れるように働いていると答える。
夜、陳文徳は悪夢にうなされ、駆けつけた茉喜(まほろ)を斬りつけそうになる。茉喜(まほろ)は辛くも難を逃れるが、陳文徳は二度と近づくなと警告する。
翌日、茉喜(まほろ)は小武(しょうぶ)に陳文徳がなぜ悪夢で人を斬ろうとしたのか尋ねる。小武(しょうぶ)は以前辛い経験をしたことが原因だとだけ答える。夜、茉喜(まほろ)は陳文徳に心の病について問い詰める。陳文徳は族叔が殺された後、放浪生活を送っていた時に山賊に捕まり、共に略奪を繰り返していた過去を打ち明ける。何度も逃げ出そうとしたが捕まり、拷問を受けた末に北朔軍に救出された。その後、兵士として戦功を積み、正四品中郎将まで昇進した。ある年の冬至に匪賊討伐の任務で奇襲を受け、多くの仲間が命を落とした。陳文徳自身も辛くも命を救われたが、以来、ラクダの蹄のスープを飲み続けることで、兵を率いる者は油断してはならないと戒めている。その時から悪夢に悩まされるようになり、戦死した仲間や障害を持つ仲間たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだと語る。
茉喜(まほろ)は陳文徳の辛い経験に同情し、問い詰めたことを後悔する。陳文徳は茉喜(まほろ)を責め、屋上で酒を飲みながら亡くなった仲間たちを偲ぶ。茉喜(まほろ)は陳文徳が見た目とは裏腹に心優しい人物であることに気づく。
第30話 感想
第30話は、陳文徳の過去が明らかになり、彼の複雑な人物像がより深く描かれた回でした。
陳文徳は一見すると冷酷で頑固な人物に見えますが、実は部下や仲間を大切に思い、責任感の強い人物であることがわかりました。彼は過去に多くの辛い経験をしてきており、そのトラウマに苦しめられていることが伺えます。
茉喜(まほろ)はそんな陳文徳の心の闇に触れ、彼のことをより理解するようになりました。また、陳文徳は茉喜(まほろ)の優しさに触れ、少しずつ心を開いていく様子が描かれました。
この回は、陳文徳と茉喜(まほろ)の絆が深まる重要な回となりました。
つづく