美人骨 前編:周生如故 第1話 ネタバレ
銀世界に包まれた冬の日、華やかな裘衣をまとった一人の女性が軽やかに庭の奥深くへと歩を進める。幼い頃から太子妃として約束されている漼時宜(シーイー)だ。今回内院を訪れたのは、東宮からの招待に応じ、皇室からの厚い礼遇を受け、四季の平安と学業の早期修瞭、そして既定の婚約の履行を祈願するためである。しかし、これらの外見上の栄誉は彼女の顔に咲顔をもたらすことはなかった。夜が更けて眠れない時、彼女はそっと屋根に上がり、遠くの万家灯火を眺め、心の中では遠くからの捷報を待つばかりであった。
ついに、彼女の祈りが葉い、周生辰(ジョウション・チェン)は勝利の知らせと共に無事に帰還した。彼女にとって、これは言葉では言い表せないほどの喜びであり、世界で最も貴重な贈り物であった。
漼氏一族は枝葉が繁茂し、漼時宜(シーイー)は、この大家族で唯一の女の子として、幼い頃から家族の期待と運命の重荷を背負っていた。家族の権勢が顕著だったため、彼女は生まれる前から太子妃に指名されていた。10歳の誕生日は、本来なら喜びに満ちたお祝いだったはずだが、彼女は父親の帰りを心待ちにしていたのに、父親は皇后の高 (コウ)氏一族を怒らせたため、皇帝から母親の漼文君(スイ・ブンくん)との離縁を命じられ、二度と会うことができないことを告げられた。この突然の出来事は、幼い時宜(シーイー)の心に深い悲しみと困惑をもたらした。
その夜、冷たい風が吹きすさぶ中、父親は時宜(シーイー)が眠る前に駆けつけ、互いに惜しみつつも無念さをにじませていた。彼はこれが父娘最後の別れになることを知っていた。そして、家族の安寧のために、妻とは二度と会わないという決意を固めて去っていった。翌日、時宜(シーイー)が目覚めると、父親の姿を探したが、すでに去ってしまったという知らせだけが届いた。この突然の打撃に彼女は悲しみに打ちひしがれ、言葉を失ってしまうほどだった。屋敷には名医が呼ばれたが、半年間の治療にもかかわらず、彼女は話す能力を取り戻すことはできなかった。
一方、宮廷内では闇雲が立ち込めていた。趙騰(チャオ・テン)は貴嬪戚真真(チ・ジェンジェン)の密書を携えてやって来ると、漼広(スイ・コウ)と漼寿(スイ・ジュ)は緊急に入宮し、皇帝の崩御の知らせを確認すると、すぐに劉徽(リウ・キ)を擁立して即位させた。新帝が即位したものの、戚嬪(セキヒン)は周生辰(ジョウション・チェン)を恐れ、劉徽(リウ・キ)の帝位が疑われるのではないかと心配していた。そんな中、前線から捷報が届き、小南辰王周生辰(ジョウション・チェン)が勝利を収めた。しかし、兄の死の知らせを受けると、中州に入らないという誓いを破って、自ら中州に赴き弔問することを決意した。彼は、この行動が宮中の疑念を招くかもしれないことを承知していたが、それでも決行し、三千の精鋭騎兵を率いて出発した。軍師の謝崇(シエ・チョン)も同行した。
周生辰(ジョウション・チェン)が城外に駐屯すると、漼広(スイ・コウ)は宮中の勢力を利用して周生辰(ジョウション・チェン)を入宮させ、その忠誠心を確かめようとした。周生辰(ジョウション・チェン)は彼の意図を察知していたが、兄と最後の別れをするために、誓いを破ることを承諾した。同時に、幼い甥が即位し、人心はまだ安定していないことを認識し、この行動には朝綱を安定させるという意図もあることを悟った。謀仮の疑いを払拭するため、彼は殿中で重誓を立て、生涯妻妾を持たず、子孫を残さないことを誓い、謀仮の可能性を完全に断ち切った。この時、漼広(スイ・コウ)は漼時宜(シーイー)のことを持ち出し、周生辰(ジョウション・チェン)に彼女を弟子として受け入れてほしいと願い出た。これによって、皇室、漼家、南辰王府の結びつきを強めたいと考えていたのだ。戚嬪(セキヒン)はこの提案を大いに喜び、周生辰(ジョウション・チェン)は難色を示したものの、断ることができず、最終的に承諾した。
第1話の感想
第1話は、美しく壮大な物語の幕開けでした。漼時宜(シーイー)と周生辰(ジョウション・チェン)の運命が交錯し、感動的な物語が展開される予感がします。
漼時宜(シーイー)は、幼い頃から太子妃として約束され、家族の期待を背負って生きてきました。しかし、父親の離縁、言葉を失うほどの悲しみなど、多くの困難を乗り越えてきました。そんな彼女が、周生辰(ジョウション・チェン)との出会いでどのように成長していくのか、楽しみです。
周生辰(ジョウション・チェン)は、戦場で勝利を収めた英雄であり、忠誠心と責任感が強い人物です。兄の死を悼み、誓いを破って中州に赴く姿は、彼の決意の強さと優しさを示しています。漼時宜(シーイー)との師弟関係がどのように発展していくのか、注目です。
また、宮廷内の権力争いも興味深い要素です。戚嬪(セキヒン)の周生辰(ジョウション・チェン)への猜疑心や、漼広(スイ・コウ)の策略など、今後の展開が気になります。
つづく
劉子行の結末
劉子行(リウ・ズーシン)は病死を迎えます。彼は金栄(ジン・エイ)を殺害するために、金栄の子供を誘い出し、楊邵(ヨウ・ショウ)に殺害させます。自身も余命わずかな劉子行(リウ・ズーシン)は、幸華公主に看取られながら息を引き取ります。南蕭との友好を図るため、幸華公主は南蕭への嫁入りを志願します。その後、各地で反乱が起き、孤立無援の中州は劉子行の死とともに滅亡します。劉子行には後継者がおらず、彼の死をもって劉氏の血筋は途絶えます。