斛珠夫人~真珠の涙~ 第19話 あらすじ/ネタバレ

綾錦司の後事処理を終えた帝旭(ていそく)は、鞠典衣を故郷の流觴へ送り届けさせた。方鑑明(ほうかんめい)と共に育った鞠典衣への情から、帝旭(ていそく)は罪を犯した彼女に名誉ある死を許したのだ。

一方、帝旭(ていそく)は地図を眺めながら過去の出来事を振り返る。かつて方鑑明(ほうかんめい)は苏氏の血筋を守るために蘇鳴(そめい)を逃がすよう帝旭(ていそく)に懇願し、帝旭(ていそく)はそれを受け入れた。しかし、蘇鳴(そめい)は虎視眈々と復讐の機会を窺っていた。

蘇鳴(そめい)の脅威を理解する方鑑明(ほうかんめい)は、帝旭(ていそく)の命を受け蘇鳴(そめい)の残党を徹底的に追跡することを誓う。哨子は綾錦司襲撃事件の夜、蘇鳴(そめい)の屋敷と宮殿に急行したものの、手がかりとなる証拠は見つからなかったと報告する。

蘇鳴(そめい)の周到な計画を察知した方鑑明(ほうかんめい)は、哨子にこれまで通り振る舞い、帝旭(ていそく)の安全を確保するよう命じる。

襲撃事件の影響で落ち込む方卓英(ほうたくえい)は、蘇鳴(そめい)を殺せなかったことを悔やむ。方鑑明(ほうかんめい)は弟子を慰め、今は天啓を守ることに集中するべきだと諭し、綾錦司へ鞠典衣を見送りに向かう。

綾錦司には柘榴(しゃりゅう)(しゃりゅう)だけが残り、方鑑明(ほうかんめい)は彼女に鞠典衣の遺志を継ぐよう説得する。柘榴(しゃりゅう)(しゃりゅう)は鞠家の家臣として方(ほう)家のために尽くすことを誓い、綾錦司を継ぐ決意を表明する。

方卓英(ほうたくえい)は医佐から柘榴(しゃりゅう)(しゃりゅう)の状態を聞く。柘榴(しゃりゅう)(しゃりゅう)は毒が深いため失明してしまったが、命に別状はないという。柘榴(しゃりゅう)(しゃりゅう)は綾錦司唯一の刺繍師であり、今後はその重責を担うことになるため、方鑑明(ほうかんめい)は医佐に彼女の治療を託す。

方卓英(ほうたくえい)は綾錦司の屋根に上がり、失意に暮れる。柘榴(しゃりゅう)(しゃりゅう)を守れなかったことを悔やむ彼は、暗闇の中で男の嗚咽を聞き、胸を痛める。

医佐は方鑑明(ほうかんめい)の傷を診るが、傷は悪化する一方だった。医佐は方鑑明(ほうかんめい)に休養するよう懇願するが、忠義心に駆り立てられた方鑑明(ほうかんめい)はそれを拒否する。

夜、テイ蘭は帝旭(ていそく)に奏章を読み聞かせながら眠りにつく。いたずら好きな帝旭(ていそく)は、テイ蘭の顔に落書きをして穆德慶に軟轎で愈安宮へ送り返す。何も知らないテイ蘭は、宮殿の門に到着して侍女たちの笑い声で落書きに気付き、恥ずかしさで顔を赤らめる。

兰兹城門では、海市(かいし)がサ莉アに別れを告げ、全軍を率いて黄泉営へ向けて出発する。湯乾自(とうかんじ)は休整期間であるため、当面の間は何も予定はないと告げ、海市(かいし)に休息を取るよう指示する。

天啓にいる方鑑明(ほうかんめい)は、遠征中の海市(かいし)を心配し、彼女が好物の甘いお菓子を届けるよう命じる。海市(かいし)は贈り物を受け取ると、師匠からの心遣いに感謝し、遠く離れた天啓から送られてきたお菓子を嬉しそうに食べる。

侍女の碧紅(へきこう)は、宮人たちの噂から、帝旭(ていそく)が湖への灯籠流しを禁止していたことを知る。しかし、この日は天気が回復し、湖の氷が溶けたにもかかわらず、なぜか水灯が浮かんでいた。テイ蘭は侍女たちの熱心な誘いに負け、庭園を訪れる。そこには、紅蓮の花を模した美しい水灯が浮かんでいた。

その場に帝旭(ていそく)が現れ、今日は大徵の恩月節であることを告げる。テイ蘭の故郷を想う気持ちを察した帝旭(ていそく)は、水灯を流すことを許可したのだ。帝旭(ていそく)は寒さでくしゃみをし、テイ蘭は彼が風邪をひかないように粥を作って寝殿に運ぶ。帝旭(ていそく)は珍しく機嫌が良く、テイ蘭に一緒に食事をすることを許し、紫簪(しさん)について語り、召し出すことなく自由に宮殿を訪れることを認める。

海市(かいし)の傷が癒えると、彼女は都に戻り、功績を認められることになる。方鑑明(ほうかんめい)はそれを知り、方卓英(ほうたくえい)に昭明宮の準備を命じ、海市(かいし)の帰還を待つ。

一方、管家は注輦使臣の到着を昶王に報告し、旧情を考慮して自ら歓待すべきかどうかを尋ねる。季昶は少し考えた後、自分はあくまでも大徵の皇子であり、使臣と交際するのは不適切であると答える。しかし、管家が去った後、彼は鷹が空を飛ぶためには翼と爪を磨く必要があると呟く。

翌朝の朝議で、注輦部使臣は帝旭(ていそく)に謁見し、天災に見舞われた注輦への支援を要請する。今年2回目の災害報告に帝旭(ていそく)は不快感を示し、使臣を驿館に案内するよう命じ、私的に注輦の貪欲さを非難する。

帝旭(ていそく)の考えを理解する方鑑明(ほうかんめい)とは対照的に、テイ蘭は偏殿で使臣と面会し、故郷の苦境を目の当たりにして支援を約束する。しかし、帝旭(ていそく)はテイ蘭と使臣の会話を盗み聞きしており、一人の女性を利用して金銭をせしめようとする使臣たちの卑劣さに激怒する。

第19話は、陰謀と策略が渦巻く展開の中で、登場人物たちの複雑な感情が描かれ、見応えのある内容でした。

特に印象的だったのは、柘榴(しゃりゅう)(しゃりゅう)の失明と綾錦司を継ぐ決意です。失明という大きな困難に直面しながらも、鞠典衣の遺志を継ぐという強い意志を示した彼女の姿は、感動的でした。

また、方鑑明(ほうかんめい)の傷の悪化も気になりました。彼の忠義心と責任感は、彼の身を蝕みつつあるようです。果たして、彼はこの危機を乗り越えることができるのでしょうか?

一方、帝旭(ていそく)とテイ蘭の間に芽生え始めた恋心も注目すべきポイントです。恩月節の水灯流しのシーンは、二人の距離が縮まったことを感じさせるロマンチックな演出でした。

そして、注輦使臣の登場は、新たな展開を予感させます。帝旭(ていそく)は彼らの要求を拒否しましたが、今後どのような事態に発展していくのでしょうか?

つづく