斛珠夫人~真珠の涙~ 第31話 あらすじ/ネタバレ

張承謙から瀚州からの手紙が届いた。手紙には無事を伝えるのみで、他のことは一切書かれていなかった。黄泉関は平穏な様子だ。湯乾自にまだ異常がないため、方鑑明(ほうかんめい)は周幼度の話を受け入れ、海市(かいし)を都に残すことにした。そして、あの玉の指輪を彼女に返した。

师父の突然の心変わりを喜んだ海市(かいし)は、思わず彼を抱きしめた。指輪は、彼らがお互いへの約束を表現するものであり、一生涯寄り添うことを意味していた。海市(かいし)は、暗衛営の人間として、いつ命を落とすかわからない。毎回の別れは、いつ会えるかわからないものだった。だからこそ、海市(かいし)は师父の側にいたいと強く願った。

偽帝姬事件が解決した後、京畿周辺と銘泺山には再び兵力が配置され、警備が強化された。しかし、季昶は怪我をしてからというもの、毎日屋敷内で雑技芸人と歌を歌い、朝寝坊をするようになった。また、体調不良を理由に3日に2日は朝議を欠席し、臣下からの不満が高まっていた。

帝旭(ていそく)は、彼が駕籠を救出した功績を称えて、この件を不問に付した。しかし、城西の昶王府の水榭凌波庁では、暗流が渦巻いていた。鷹売りのふりをして現れた異民族の男が執事によって大広間に案内されると、季昶は合図を送った。すると、歌っていた女たちは息を合わせて立ち上がり、一斉に退場していった。

関係者が全員いなくなると、季昶は王府の衛兵に試練を命じた。すると、梁から人影が飛び出し、鷹売りの前に立ちはだかり、匕首を構えて彼の首を狙った。突然の出来事に、季昶は反応する暇もなかったが、鷹売りは瞬く間に致命傷を回避し、王府の衛兵の脈を封じてしまった。

季昶は喜びを隠せず、彼を称賛した。そして、帝旭(ていそく)を殺せば、左菩敦王との約束を果たすことができると約束した。鵠庫と迦満が交戦して併合された後、彼が帝位に就けば、大徵が干渉しないことを保証するというのだ。

一方、テイ蘭は帝旭(ていそく)が何者かに狙われるという悪夢に何度も悩まされていた。帝旭(ていそく)は知らせを聞いて、夜中に李御医を宮殿に呼び寄せ、医術が未熟だと叱責した。李御医は様々な方法を試したが、寒疾を治すことはできなかった。そこで、蝶泉谷の温泉には奇効があると聞き、テイ蘭に良いかもしれないと考えた。帝旭(ていそく)は熟考の末、翌日テイ蘭と一緒に蝶泉谷に療養に行くことに決めた。

周幼度は失われた刀譜を探すために殤州に行くことになり、わざわざ海市(かいし)に別れを告げた。二人は親友同士であり、互いに労をねぎらった。海市(かいし)が宮殿に戻る途中、穆德海が内官に荷物を準備させているのを見て、帝旭(ていそく)の決意を知った。そこで、师父に自分を守ってほしいと頼んだ。

ちょうどその時、哨子和方卓英(ほうたくえい)が門から入ってきて、蝶泉谷の地図を差し出し、方鑑明(ほうかんめい)と詳細な計画を立てた。暗衛はすでに蝶泉谷周辺に配置されており、谷の外にも人手を配置している。もし何か異変があれば、すぐに谷を包囲することができる。救援隊と捜索隊の2つのチームに分かれる予定だ。

一行は城から東へ出発し、数十里の道のりを経て蝶泉谷の行宮に到着した。侍女たちがテイ蘭の着替えと湯の準備をしていると、帝旭(ていそく)は海市(かいし)が何度もテイ蘭を見ていることに気づき、不快感をあらわにした。彼は、海市(かいし)の優れた弓術を嘲り、百歩先を射抜くことができるほどの目力があると皮肉を言った。

この言葉を聞いた方鑑明(ほうかんめい)は、慌てて場を和ませようと、海市(かいし)を蒲団に跪かせ、礼儀をわきまえなければならないと叱った。周りに人がいなくなった隙に、海市(かいし)はわざと师父に近づき、様々な方法で甘えたり、からかったりした。方鑑明(ほうかんめい)は少し戸惑っていたが、二人の関係は急速に発展していった。

帝旭(ていそく)は少し離れたところから湯の様子を伺っていたが、物音が聞こえるとすぐにテイ蘭の側に駆け寄った。湯の中から人影が飛び出し、帝旭(ていそく)に攻撃を仕掛けた。その殺気は凄まじく、一撃で帝旭(ていそく)を重傷を負わせて昏倒させた。方鑑明(ほうかんめい)は血を吐き、事態の悪さを悟った。方卓英(ほうたくえい)が現れて帝旭(ていそく)を守ろうとしたが、鷹売りに「奪罕(だつかん)尔萨」と呼ばれて姿を消してしまった。

一行は帝旭(ていそく)を城に連れ帰って治療を受けさせ、哨子和海市(かいし)は軍を率いて守備を強化した。方卓英(ほうたくえい)は記憶を頼りに刺客の素性を調べ、召風師(しょうふうし)という世にも珍しい人物であることを突き止めた。方鑑明(ほうかんめい)は以前から暗衛に昶王を監視させており、召風師(しょうふうし)と肖像画の刺客を比較した結果、この事件に関係していることが判明した。さらに大きな陰謀が隠されている可能性がある。

今日、方卓英(ほうたくえい)は召風師(しょうふうし)と顔を合わせたことで、変事が近づいていることを悟った。また、鵠庫人であることもバレてしまうだろう。方卓英(ほうたくえい)を引き取った当時、彼はまだ幼く、記憶が薄れていた。方鑑明(ほうかんめい)は鵠庫の祖先について語り、方卓英(ほうたくえい)のような烈馬は犬豕の群れに閉じ込めておくべきではなく、遅かれ早かれ瀚州に戻り、叔父である右菩敦王に協力して奪洛の残虐行為を阻止し、この血なまぐさい争いを鎮め、人々が互いに殺し合うのを防ぐべきだと語った。

金城宮は大混乱に陥り、テイ蘭は門の外で自責と不安に駆られながら、龍尾神を握りしめ、帝旭(ていそく)の無事を祈った。一方、海市(かいし)は师父に金城宮の警備が整ったことを報告したが、方卓英(ほうたくえい)のことは知らなかった。これは彼の生死に関わる問題なので、师父と二人だけの秘密だった。

召風師(しょうふうし)が失敗したことを考えると、必ず再挑戦してくるだろう。江湖の異士は毎月朔日に天地の気を借りて力を発揮することが多いので、今回もその機会を逃すことはないだろう。方鑑明(ほうかんめい)は、来月の朔日に方卓英(ほうたくえい)と交代で金城宮を守ることに決めた。

方卓英(ほうたくえい)は、海市(かいし)が师父に期待していることを知っており、もし彼女が後に真実を知ったら、どれほど悲しむか想像に難くなかった。しかし、方鑑明(ほうかんめい)は彼の言葉を遮り、大局を優先すべきだと告げた。方卓英(ほうたくえい)は少しの間言葉を失ったが、すぐに礼をして門の外に出ると、海市(かいし)を探しに行き、屋上で彼女と酒を酌み交わしながら、様々なことを託した。

第31話 感想

第31話は、ハラハラドキドキする展開が多く、とても楽しめました。特に、召風師(しょうふうし)が帝旭(ていそく)を襲撃するシーンは手に汗握るものでした。また、方鑑明(ほうかんめい)と海市(かいし)の関係の進展も気になるところです。

良かった点

  • 召風師(しょうふうし)の刺客としての能力が非常に高く、帝旭(ていそく)を一瞬で重傷を負わせたシーンは迫力がありました。
  • 方鑑明(ほうかんめい)と海市(かいし)の関係が少しずつ進展しているのが微笑ましかったです。
  • 方卓英(ほうたくえい)の過去が明らかになり、今後の展開がますます楽しみになりました。

気になった点

  • 召風師(しょうふうし)の正体がまだ明らかになっていません。今後、彼の目的が明らかになるのが楽しみです。
  • 方卓英(ほうたくえい)が鵠庫人であることがバレてしまいました。今後、彼がどのような行動を取るのか気になります。

今後の展開

  • 召風師(しょうふうし)が再び帝旭(ていそく)を襲撃する可能性があります。方鑑明(ほうかんめい)と方卓英(ほうたくえい)は帝旭(ていそく)を守ることができるのでしょうか?
  • 方卓英(ほうたくえい)は鵠庫人としてどのような行動を取るのでしょうか?右菩敦王と協力して奪洛の残虐行為を阻止することができるのでしょうか?
  • 方鑑明(ほうかんめい)と海市(かいし)の関係はどのような結末を迎えるのでしょうか?

つづく