斛珠夫人~真珠の涙~ 第38話 あらすじ/ネタバレ
西南地方で大旱に見舞われた
西南地方は年初から大旱に見舞われ、作物が収穫できず、飢えた難民が東へ逃げてきた。道中では餓死者が続出し、新任の西平港刺史である劉昌平(りゅうしょうへい)は朝廷に救援を求めた。当初は各州府が食料を放出して飢餓を凌ぎ、秋に稲が収穫できれば自然と問題は解決すると考えられていた。
しかし、二期作の稲も不作となり、穂が実らず、冬を迎える頃には多くの人々が住む家を失った。西南の諸部族は、この深刻な状況を見て、隙をついて攻め込もうと企んでいた。
西南地方では近年、堤防や埋め立て工事が行われており、民衆の間では龍尾神の怒りを買ったために大旱が起きているという噂が広まっていた。朝廷の臣下たちは、海市(かいし)が龍尾神の使者であることから、彼女を西平港に派遣して救済と祭祀を行い、民心を安定させるべきだと主張した。しかし、方鑑明(ほうかんめい)はこれに強く反対し、両者の間で激しい議論が交わされた。最終的に帝旭(ていそく)は、慎重に検討すると述べて議論を収めた。
早朝の後、司庫監の呉主事が帝旭(ていそく)に拝謁し、国庫の金が溢れかえっているため、倉庫の増築を願い出た。帝旭(ていそく)はすぐに勅令を出し、今後10年間は徴税額の3割のみを納めさせ、残りは労役で代替すること、さらに国庫の財貨の半分を各地の堤防や義倉の建設に充てることを決定した。
海市(かいし)、西平港への派遣を命じられる
一方、海市(かいし)は小六からの手紙を受け取った。食欲がないため、玉苒に柏の木か、柏の木で作った道具を探してくるように頼んだ。方鑑明(ほうかんめい)が帝旭(ていそく)に西平港への派遣を願い出たまさにその時、玉苒が慌てて駆けつけてきて、淳容妃(じゅんようひ)に異変があったと報告した。
方鑑明(ほうかんめい)は君臣の礼儀を顧みず、鳳梧宮へと急いだ。すると、海市(かいし)が柏の木の下で自傷しており、手が血まみれになっていた。方鑑明(ほうかんめい)は、海市(かいし)の意図を理解し、柏溪は上古の秘術であり、一度契約を結ぶと解除するのは非常に難しいと説得した。さらに、海市(かいし)は表面的には柏溪を知っているものの、その本質は理解しておらず、柏溪を解くための最も重要な要素は血であり、流觴方氏の血統を持つ者でなければ解くことができないと告げた。
もともと方鑑明(ほうかんめい)の体は弱っていたが、この一件でさらに衰弱し、昭明宮に戻ってから間もなく再び吐血して意識を失った。しかも、前回の昏睡よりも状態は深刻で、李御医は命が危ないと診断した。帝旭(ていそく)は方鑑明(ほうかんめい)の危篤状態を聞き、慌てて駆けつけ、府庫から應龍角を取り寄せて命を繋ごうとした。
薬は一碗飲み干さなかったものの、方鑑明(ほうかんめい)の脈は徐々に安定し、しばらくは命に別状はなくなった。しかし、未生花の毒はまだ完全に消えていないため、應龍角よりも希少な霊薬を見つけなければ命は助からない。李御医は方鑑明(ほうかんめい)の急所を封じ、3日以内に目覚める可能性があると推測した。
海市(かいし)、西平港への出発を決意
前回師匠に会った後、海市(かいし)は玉苒に蔵書閣で流觴方氏に関する書籍を探させ、典籍や記録を調べながら柏溪を解く方法を研究していた。そんな中、ある宮女が海市(かいし)に泣きながら拝謁を求めてきた。彼女は西平港に住んでおり、両親や兄の安否を心配しているため、龍尾神の使者である海市(かいし)に民意を汲んで救済を祈ってほしいと懇願した。
わずか一日で、海市(かいし)を西平港に派遣して救済を行うように求める奏折が山のように集まり、帝旭(ていそく)は激怒した。海市(かいし)は、現在多くの難民が苦しんでおり、このまま放置すれば反乱を起こす可能性があると判断し、自ら西平港に行って各州府の救済活動を調整することを申し出た。
当初、帝旭(ていそく)は海市(かいし)を危険に晒したくなかったが、彼女の強い意志に押され、穆德慶に巡天の印を持ってくるように命じた。授命が完了した後、帝旭(ていそく)は少し躊躇しながら、海市(かいし)が最近昭明宮を訪れたことがあるかどうか尋ねた。海市(かいし)は正直に答えたが、異変には気づいていなかった。出発前に哨子を見つけ、人手を増やして手伝ってくれるように頼んだ。
哨子は快く承諾したが、方鑑明(ほうかんめい)が昏睡していることを隠すために、彼は昭明宮にいないと嘘をついた。海市(かいし)は平静を装い、昭明宮を訪れたことは彼に告げなくても良いと述べた。
一方、季昶は方鑑明(ほうかんめい)がここ数日早朝に出席していないことに気づき、彼は傷を癒すために隠れていると推測した。そうなると、海市(かいし)は孤立無援となり、この芝居はさらに面白くなると考えた。
方鑑明(ほうかんめい)、一命を取り留める
5日が経過しても、方鑑明(ほうかんめい)は昏睡状態から目覚めることなく、意識不明のままだった。帝旭(ていそく)が李御医の無能さを責め立てていると、宮人が駆けつけてきて、テイ蘭が明典で発見したことを報告した。それによると、過去に毒に侵された人が龍尾神の加護を受けたことで治癒した例があったという。
雷州では数千年前から、龍尾神の髪の毛、血液、鱗などは薬として用いることができると伝えられてきた。帝旭(ていそく)は、海市(かいし)の持参金である鲛珠が龍尾神の涙であることを思い出し、同じ効果があるはずだと考え、すぐに李御医を呼び出して鲛珠を砕いて薬にするように命じ、自ら介抱した。すると、すぐに方鑑明(ほうかんめい)が血を吐き、鲛珠が体内の毒素を排出していることがわかった。
翌日、海市(かいし)は玉苒を伴って隊を率いて出城し、すぐに西南の辺境に到着した。道中、多くの難民が苦しんでいる姿を見た。玉苒は海市(かいし)に疑問を投げかけた。現在、多くの難民は周辺の府県から来ているが、西平港城内にはそれほど多くの犠牲者が出ていないどころか、人が集まっているのは奇妙なことだと感じた。
第38話の感想
- 西南地方の大旱と民衆の苦しみ: 作物が収穫できず、多くの難民が苦しんでいる様子は、胸を締め付けられる思いでした。海市(かいし)が民衆を救うために奔走する姿は、彼女の正義感と責任感が伝わってきました。
- 海市(かいし)と方鑑明(ほうかんめい)の葛藤: 柏溪の呪いを解くために、海市(かいし)が柏の木で自傷するシーンは、彼女の切実な思いが伝わってきました。方鑑明(ほうかんめい)が柏溪の呪いを解くために、自らの命を危険にさらす姿も感動的でした。
- 帝旭(ていそく)の決断と鲛珠の力: 帝旭(ていそく)が方鑑明(ほうかんめい)を救うために、鲛珠を薬として用いる決断は、彼の愛情と決意を感じさせました。鲛珠が龍尾神の涙であることが明らかになり、その力を実感させられました。
- 季昶の策略と今後の展開: 季昶が方鑑明(ほうかんめい)の昏睡を利用して、海市(かいし)を孤立させようとする策略は、今後の展開が気になります。海市(かいし)はどのようにしてこの危機を乗り越えるのでしょうか。
その他の感想
- 玉苒の成長: 玉苒が海市(かいし)を支え、共に困難を乗り越えようとする姿は、彼女の成長を感じさせました。
- 李御医の活躍: 李御医が方鑑明(ほうかんめい)の治療に尽力する姿は、彼の医師としての使命感と責任感が伝わってきました。
- 映像と音楽: 映像と音楽が美しく、ドラマの世界観を盛り上げていました。