馭鮫記(ぎょこうき)後編:月に愛を誓う 第10話 あらすじ/ネタバレ

北淵(ほくえん)の静かな湖畔で、汝鈞(じょきん)神君は飛廉(ひれん)と雷澤(らいぜき)の二神君と共に、長意(ちょうい)を探す旅に出ました。しかし、長意(ちょうい)は悲しみに囚われ、湖の中心にある小島に閉じこもり、誰にも会おうとしません。汝鈞(じょきん)は今の状況の難しさを理解し、静かに待ち、時間が解決してくれることを願うしかありませんでした。

長意(ちょうい)は心を冬の氷のように凍らせて、紀雲禾(きうんか)のそばにいて、生気を失った彼女の顔を眺め、心を痛めていました。偶然にも、紀雲禾(きうんか)が大切にしていた『広物集』が散らばったページの中から滑り落ち、古い手紙がそっと姿を現しました。それは、彼らが一緒に人間界を旅したときの美しい思い出が詰まった手紙でした。手紙に記された瞬間は、まるで昨日のことのように蘇り、長意(ちょうい)は紀雲禾(きうんか)と一緒に願った願いを思い出しました。その願いは葉わなくなってしまいましたが、人間界にはまだ無数の願いが葉えられるのを待っています。この深い愛情と後悔は、長意(ちょうい)の心に複雑な思いをもたらしました。

苦悩の末、長意(ちょうい)は現実に向き合うことを決意し、汝鈞(じょきん)との面会を承諾しました。湖の中心にある島で、汝鈞(じょきん)は最初に戦争を阻止できなかったことを謝罪し、その後、長意(ちょうい)と手を組んで仙師府と戦い、仙界の平和を取り戻すことを誠実に提案しました。長意(ちょうい)はすぐに返事をせず、この重大な決断をするために時間が必要でした。

湖の中心にある島を後にした長意(ちょうい)は、上林を散策しました。そこには、紀雲禾(きうんか)との甘い思い出が詰まっていました。彼は最終的に、紀雲禾(きうんか)を彼女が最も愛した雪と氷の地に埋葬することにしました。それは、彼女が何度も逃げ出したいと空想していた場所であり、彼女が最も自然な咲顔を見せた場所です。長意(ちょうい)は彼女がここで安らかに眠ることを願い、自分はこの世を守るという重責を負うことを決意しました。洛錦桑(らくさんそう)、離殊(りしゅ)、空明(こうめい)、瞿暁星(くぎょうせい)などの友人たち、そして北淵(ほくえん)と万花穀の人々は、この光景を目の当たりにして、心を動かされました。

紀雲禾(きうんか)の遺品を整理していると、旅行記が落ちてきました。その一ページの角が折られたところに、紀雲禾(きうんか)は「寧清(ねいせい) 」と書いていました。この発見は、長意(ちょうい)に紀雲禾(きうんか)の死が寧清(ねいせい) と何らかの関係があるかもしれないと気づかせました。彼はすぐに汝鈞(じょきん)を呼び出し、対策を話し合いました。空明(こうめい)がちょうど現れ、寧清(ねいせい) と寧悉語(ねいしつぎょ)、寧若初(ねいじゃくしょ)、青姫(せいき)との複雑な因縁、そして寧清(ねいせい) がどのようにして神秘的な力を手に入れ、修為を上げ、寒霜を使って万花穀を支配するようになったかを詳しく説明しました。

汝鈞(じょきん)は旅行記の手がかりを研究した結果、その山が仙令が指し示す場所であり、寧清(ねいせい) の秘密を解き明かす鍵を持っていることに驚きました。彼は長意(ちょうい)に旅行記を借り、できるだけ早く真相を明らかにすると約束しました。別れる際、汝鈞(じょきん)は長意(ちょうい)に強く生き、いつか故人と再会できると信じるように励ましました。

一方、林昊青(りんこうせい)は林氏の御霊師を解放した後、思語(しご)を連れて万花穀に戻り、寒霜を解く方法を探し続ける決意をしました。瞿暁星(くぎょうせい)と東濂(とうれん)長老たちは林昊青(りんこうせい)に従い、それぞれ薬草を探したり、御霊師の世話をしたりする役割を担いました。林昊青(りんこうせい)は、紀雲禾(きうんか)の九尾狐の姿を密かに万花穀に連れ戻し、畢生の霊力で化身させ、阿紀(あき)と名付け、紀雲禾(きうんか)への深い思いと希望を託しました。

雪三月(せつさんげつ)は親友を失った悲しみに暮れ、離殊(りしゅ)と一緒にその神秘の山を探すことにしました。洛錦桑(らくさんそう)は紀雲禾(きうんか)を失った悲しみに浸っていましたが、空明(こうめい)の気遣いと励ましはすぐに効果はありませんでした。しかし、彼女の心の中では、徐々に現実を受け入れ、強く生きていこうとしていました。

第10話の感想

第10話は、悲しみと希望が交錯する、とても印象的な回でした。長意(ちょうい)の悲しみは深く、彼の心が氷のように凍りつく様子は見ていて辛かったです。しかし、彼は紀雲禾(きうんか)との思い出を胸に、現実に向き合い、前に進むことを決意しました。

一方、林昊青(りんこうせい)は紀雲禾(きうんか)の九尾狐の姿を万花穀に連れ戻し、阿紀(あき)と名付けました。これは、彼が紀雲禾(きうんか)を忘れずに、彼女の記憶を大切にしていることを示しています。

雪三月(せつさんげつ)と洛錦桑(らくさんそう)は、紀雲禾(きうんか)の死を受け入れられずに苦しんでいます。しかし、彼女たちもまた、徐々に現実を受け入れ、前に進むことを決意しました。

つづく