驭鮫記(ぎょこうき)後編:月に愛を誓う 第17話 あらすじ/ネタバレ

紀雲禾(きうんか)と寧清(ねいせい) の対決がクライマックスを迎える。寧清(ねいせい) は紀雲禾(きうんか)が語った寧悉語(ねいしつぎょ)の夢の話は嘘だと信じている。彼は寧悉語(ねいしつぎょ)を深く愛しているが、夢の中で彼女に会ったことは一度もなく、ましてや紀雲禾(きうんか)と関わりがあるとは考えられない。しかし、紀雲禾(きうんか)の描写は詳細かつ正確で、寧悉語(ねいしつぎょ)の服装や行動まで完璧に一緻している。彼女は寧悉語(ねいしつぎょ)が夢の中で寧清(ねいせい) に天下の人々を道連れにすることを厳しく禁じ、彼だけを連れて行きたいと願っていたと主張する。

寧清(ねいせい) の疑念に対して、紀雲禾(きうんか)は「独立天地間、清風洒蘭雪」という詩を口ずさみ、これが寧清(ねいせい) の名前の由来であると指摘する。この詩は、寧悉語(ねいしつぎょ)が彼に名前をつけたときの言葉であり、この確かな証拠に寧清(ねいせい) は紀雲禾(きうんか)の言葉を再考せざるを得なくなる。

紀雲禾(きうんか)は寧清(ねいせい) が朱厭(しゅえん)の残魂を指輪に隠していることを明かし、寧悉語(ねいしつぎょ)と協力して、奴心術を使って寧清(ねいせい) の魂を彼女の夢の中に連れて行き、寧悉語(ねいしつぎょ)が直接寧清(ねいせい) に指輪を捨てるように説得するという計画を立てる。計画を実行に移そうとしたとき、寧清(ねいせい) は思考に耽っていたが、突然寧悉語(ねいしつぎょ)の声に引き寄せられ、その隙に紀雲禾(きうんか)は彼を気絶させ、魂を夢の中に送り込む。長意(ちょうい)は自身の霊力を駆使して、この夢を支える。

夢の中で、寧清(ねいせい) は再び寧悉語(ねいしつぎょ)と対面する。彼は天下の人々を彼女のために道連れにしようと誓うが、寧悉語(ねいしつぎょ)は必死に彼を説得し、朱厭(しゅえん)の残魂と手を組むことをやめ、人々を傷つけるのをやめるように懇願する。千年の計画を簡単に諦められるはずがない寧清(ねいせい) は、自分はもうかつての物乞いではなく、寧悉語(ねいしつぎょ)に縛られるのは嫌だと主張し、青姫(せいき)と寧若初(ねいじゃくしょ)の恋が寧悉語(ねいしつぎょ)の死の原因だと考える。寧悉語は仕方なく、寧清(ねいせい)の記憶の扉を開き、彼に真実を確かめさせる。

記憶の中で、寧清(ねいせい)は林長老に密告し、青姫(せいき)と寧若初(ねいじゃくしょ)が追われることになった。寧悉語は2人を守るために穀主の座を降りることを決意するが、最終的にこの争いで命を落としてしまう。この事実を目の当たりにした寧清(ねいせい)は、自分が密告者だったことを受け入れられず、寧悉語を殺した真犯人であることを認めようとしない。寧悉語は彼の心の奥底にある痛みを指摘し、それは彼が自分を許せず、他人を責めることで内なる罪悪感と苦しみを隠しているからだと告げる。

一方、汝菱(じょりょう)は長意(ちょうい)と紀雲禾(きうんか)が寧清(ねいせい)を捕らえていることを知り、激怒して彼らを殺そうとするが、長意(ちょうい)が張った結界を破ることができない。寧悉語の説得を受けて、寧清(ねいせい)はついに殺戮を諦める決意をし、紀雲禾(きうんか)の夢から覚めた後、朱厭(しゅえん)の残魂との契約を破棄する。激怒した朱厭(しゅえん)は汝菱(じょりょう)に襲いかかる。汝菱(じょりょう)は仮面を外し、寧清(ねいせい)の容貌を回復させるために全力を尽くし、彼のそばにいることを誓うが、寧清(ねいせい)の決意は固く、指輪を外して朱厭(しゅえん)の残魂を解放し、紀雲禾(きうんか)の裁きに任せる。その瞬間、彼の髪は真っ白になる。

依り代を失った朱厭(しゅえん)の残魂は、長意(ちょうい)の攻撃を受けて抵抗する術もなく、すぐに製圧される。寧清(ねいせい)は長意(ちょうい)と紀雲禾(きうんか)の助けに感謝し、深くお辞儀をして去っていく。汝菱(じょりょう)は諦めきれず、寧清(ねいせい)の霊力を吸収しようと企むが、彼は命をかけてそれを阻止し、紀雲禾(きうんか)と長意(ちょうい)の逃亡を助ける。最終的に、寧清(ねいせい)は寧悉語の幻影の前で自害し、彼女を追ってこの世を去る。汝菱(じょりょう)は怒り狂い、世界を滅ぼすことを誓う。

その頃、離殊(りしゅ)たちは瑠璃心灯の修復に努めていた。修復作業中、離殊(りしゅ)は夢に入り、陸吾の子孫としての使命である心灯を点灯することを知る。彼は抵抗を感じながらも、大局を優先する。外界では、寧清(ねいせい)の消滅に伴い、朱厭(しゅえん)の残魂は消滅し、雪三月(せつさんげつ)の体内の寒霜は解けるが、彼女は体力が低下しており、療養が必要となる。紀雲禾(きうんか)が目を覚ますと、長意(ちょうい)が危篤状態にあることを知り、焦燥に駆られるが、何もできない。長意(ちょうい)は果たしてこの危機を乗り越えることができるのか、その結末は依然として不明である。

第17話 感想

第17話は、怒涛の展開と深い感情描写が印象的なエピソードでした。紀雲禾(きうんか)と寧清(ねいせい)の対峙は、寧清の心の葛藤を浮き彫りにし、彼が背負ってきた苦しみや罪悪感が明らかになりました。また、寧悉語の強い愛情と切ない願いが、視聴者に深い感動を与えました。

特に、寧清が記憶の中で真実を目の当たりにするシーンは、彼の苦悩がピークに達する場面でした。自分が告密者だったという事実を受け入れられず、他人を責めることで自分を正当化しようとする姿は、人間の弱さを痛切に感じさせます。しかし、寧悉語の言葉によって、彼はようやく自分の罪と向き合い、贖罪の道を選ぶ決意をします。

一方、汝菱(じょりょう)の狂気じみた執念も、物語に緊張感を与えていました。彼女は寧清への愛ゆえに、世界を滅ぼすことを厭わない姿は、人間の愛憎の激しさを象徴していると言えるでしょう。

また、離殊(りしゅ)の夢の中の体験も、物語の重要な要素でした。彼は陸吾の子孫としての使命を受け入れ、瑠璃心灯を点灯する決意をします。このシーンは、離殊(りしゅ)の成長と責任感の芽生えを感じさせるものでした。

つづく