驭鮫記後編:月に愛を誓う 第19話 あらすじ/ネタバレ
夜が深まり、空明(こうめい)の声は氷刃のように北淵(ほくえん)の静寂を破った。彼は重い口調で、長意(ちょうい)が真夜中に氷結に閉じ込められたと告げる。その知らせは洛錦桑(らくさんそう)の心を焦燥させ、紀雲禾(きうんか)の耐えうる限界を心配させた雪三月(せつさんげつ)は、彼女のもとを訪れようとする。しかし、空明(こうめい)はすでに紀雲禾(きうんか)に真相を明かしており、二人は共に立ち向かうことを決意。新婦である紀雲禾(きうんか)は、新房の敷居の外で、ただ一人悲しみに耐える。
一方、汝菱(じょりょう)は紀雲禾(きうんか)と長意(ちょうい)の結婚を利用し、林昊青(りんこうせい)の心を深く傷つける。怒りに駆られた彼は仮撃を試みるが、逆に汝菱(じょりょう)に重傷を負わされてしまう。再会を喜んだ後、再び死別の淵に立たされた紀雲禾(きうんか)は、悲しみを堪え、涙を拭い、北淵(ほくえん)の防衛に身を投じる。出発に際し、洛錦桑(らくさんそう)と雪三月(せつさんげつ)の心配に、彼女は毅然とした眼差しと優しい言葉で慰め、並外れた強さを示す。
製御を失った林昊青(りんこうせい)は、汝菱(じょりょう)の操り人形となり、万花穀の長老と御霊師を率いて敵に寝返る。しかし、汝菱(じょりょう)は感謝するどころか、彼を極限まで辱め、紀雲禾(きうんか)を排除するよう命じる。その頃、汝鈞(じょきん)と飛廉(ひれん)神君、雷澤(らいぜき)神君は心灯の修復に尽力するが、成功には至らず、深い友情と犠牲精神を示す。最終的に、二人は自身の仙骨を犠牲にして心灯を完成させ、汝鈞(じょきん)は汝菱(じょりょう)の暴虐に立ち向かい続ける。
防衛の準備をする紀雲禾(きうんか)は、雪三月(せつさんげつ)と離殊(りしゅ)の揺るぎない支持を得る。迫り来る大戦に備え、離殊(りしゅ)は驚愕の決断を下す。彼は誰にも告げず、九重雷海へと向かい、命を懸けて天火を手に入れ、瑠璃心灯を点火する。空は電光に照らされ、離殊(りしゅ)の帰還と共に心灯は熱を帯びる。しかし、彼が天火を心灯に投入した瞬間、雷に打たれて灰燼と化し、唯一残されたのは「三月愛妻」と刻まれた簪のみ。それは雪三月(せつさんげつ)への最後の愛の証だった。
その光景を目の当たりにした雪三月(せつさんげつ)は悲しみに暮れ、二度と嫁がず、永遠に離殊(りしゅ)の記憶を守ると誓う。汝鈞(じょきん)、洛錦桑(らくさんそう)、紀雲禾(きうんか)が見守る中、彼女は簪を身に著け、天君に懇願する。離殊(りしゅ)の命と引き換えに得た瑠璃心灯で北淵(ほくえん)を守り、汝菱(じょりょう)を滅ぼしてほしいと。
大戦は目前に迫り、紀雲禾(きうんか)は北淵(ほくえん)の仙たちを率いて立ち上がる。卿瑶(けいよう)は凌霜台で戦況を見守り、汝鈞(じょきん)は何度も改心を促すも無駄に終わり、ついに決戦を決意する。紀雲禾(きうんか)は汝鈞(じょきん)と共に戦い、この地を守り抜くことを誓う。空明(こうめい)と洛錦桑(らくさんそう)の惜別の場面は、悲壮感を増幅させる。両軍の激突と共に、北淵(ほくえん)の運命をかけた決戦の幕が上がる。
第19話の感想
第19話は、悲しみと決意が交錯する、非常に感情的なエピソードでした。長意(ちょうい)の氷結、林昊青(りんこうせい)の操り、離殊(りしゅ)の自己犠牲など、多くの衝撃的な展開がありました。
特に印象に残ったのは、離殊(りしゅ)の自己犠牲です。彼は雪三月(せつさんげつ)への愛と北淵(ほくえん)への忠誠心から、命を懸けて天火を手に入れ、瑠璃心灯を点火しました。彼の死は、雪三月(せつさんげつ)だけでなく視聴者にも大きな衝撃を与えたと思います。
また、紀雲禾(きうんか)の強さも印象的でした。彼女は悲しみを乗り越え、北淵の防衛に身を投じ、汝菱(じょりょう)との戦いに立ち向かいます。彼女の揺るぎない意誌と決意は、多くの視聴者に勇気を与えたことでしょう。
第19話は、悲劇的な結末を迎えるキャラクターもいましたが、希望の光も残しました。汝鈞(じょきん)と紀雲禾(きうんか)が力を合わせて戦う姿は、北淵の未来に希望を与えてくれます。今後の展開に期待が高まります。
つづく