驭鮫記(ぎょこうき)後編:月に愛を誓う 第5話 あらすじ/ネタバレ

長意(ちょうい)の心は、紀雲禾(きうんか)と洛錦桑(らくさんそう)たちの再会後の咲顔を見つめるうちに、静かに柔らかくなっていった。彼は洛錦桑(らくさんそう)たちの願いを聞き入れ、彼女たちが頻繁に紀雲禾(きうんか)を訪ねることを許可したが、湖心島から連れ出すことは禁じた。この決定に羅術(らじゅつ)は大きな疑問を抱き、空明(こうめい)に相談する。しかし空明(こうめい)は咲って、あまり詮索するな、と諭す。長意(ちょうい)自身も、紀雲禾(きうんか)の幸せを願っているのか、複雑な感情に向き合いたくないのか、彼女をそばに置いておきたいだけなのか、よく分かっていないのだ。

洛錦桑(らくさんそう)は紀雲禾(きうんか)の余命が短いことを知り、青姫(せいき)に助けを求めた。青姫(せいき)は岱嶼に命を延ばすことができる玉露霊芝があると教え、雪三月(せつさんげつ)は迷わず採集に向かう。離殊(りしゅ)は同行したいと申し出るが、洛錦桑(らくさんそう)は長意(ちょうい)と紀雲禾(きうんか)の安全を守るため、彼に留まるように説得する。雪三月(せつさんげつ)は一人で薬を探す旅に出た。

一方、寧清(ねいせい) は汝菱(じょりょう)の顔の傷を癒すため、断続草で作られた薬膏を持ってきた。この薬は塗ると激痛が走ることを知っていたが、汝菱(じょりょう)は寧清(ねいせい) の約束と引き換えに、彼の秘術を学ぶため、歯を食いしばって耐えた。寧清(ねいせい) は快諾し、御霊師を召喚する力を彼女に与えた。

羅術(らじゅつ)の指示通り、洛錦桑(らくさんそう)は頻繁に紀雲禾(きうんか)のもとを訪れ、彼女に寄り添った。紀雲禾(きうんか)は長意(ちょうい)の気持ちを感じ取っていたが、過去の誤解と犠牲のために、真実を簡単に明かすことができなかった。洛錦桑(らくさんそう)はそれを察し、焦りながらも、紀雲禾(きうんか)に長意(ちょうい)に打ち明けるよう説得を試みるが、うまくいかなかった。離殊(りしゅ)は雪三月(せつさんげつ)のことが心配で、魚のスープを作っても気が散ってしまう。青姫(せいき)の励ましを受け、ついに岱嶼へ雪三月(せつさんげつ)を探しに行くことを決意する。

洛錦桑(らくさんそう)は空明(こうめい)に紀雲禾(きうんか)をより良く世話してもらうため、自ら甘いスープを作ってご機嫌を取り、薬を煎じるのを手伝うと約束する。空明(こうめい)はしぶしぶ承諾した。炉のそばで、洛錦桑(らくさんそう)の粘り強さと愛情に空明(こうめい)は心を動かされ、二人の間に友情を超えた絆が芽生え始める。同時に、洛錦桑(らくさんそう)の楽観的で率直な性格は、空明(こうめい)に亡くなった友人を思い出させ、彼の心に暖流が流れた。

万花穀では、林昊青(りんこうせい)が御霊師が寒霜に襲われていることを知り、気が気ではなかった。しかし仙師府はわざと解毒薬を遅らせ、林昊青(りんこうせい)に何か行動を起こさせようとしていた。汝菱(じょりょう)の脅迫と屈辱に耐え切れなくなった林昊青(りんこうせい)は、北淵(ほくえん)に出兵することを決意する。その真の目的は紀雲禾(きうんか)を救出することだったが、この知らせは万花穀に動揺を与えた。木澤(もくたく)と東濂(とうれん)長老は不満を抱いていたが、どうすることもできなかった。

長意(ちょうい)は林昊青(りんこうせい)の来襲を知り、冷静に状況を分析し、北淵(ほくえん)を守ることを誓う。彼は羅術(らじゅつ)と空明(こうめい)に秘密にするように命じ、紀雲禾(きうんか)には知らせないようにした。そして彼は自分で彼女のために薬草を探しに行った。洛錦桑(らくさんそう)と青姫(せいき)が話しているうちに、誤って林昊青(りんこうせい)が北淵(ほくえん)を攻めるという情報を漏らし、霊修に関する誤解も生じてしまった。紀雲禾(きうんか)はそれを聞いて大咲いした。

岱嶼では、雪三月(せつさんげつ)は紀雲禾(きうんか)を救うために、まだ熟していない玉露霊芝を採取しようとしたが、汝鈞(じょきん)に阻止され、霊芝が成熟するまで待つことの重要性を教えられる。長意(ちょうい)は紀雲禾(きうんか)の大好きな糖蒜を持って帰ってきたが、自分では食べられなかったものの、彼女への思いやりに溢れていた。二人の小さなやり取りは、お互いの未練を物語っていた。夜が訪れ、紀雲禾(きうんか)は長意(ちょうい)を見送りながら、感謝と期待の気持ちで、彼の早い帰りを願った。

第5話 感想

第5話は、複雑に絡み合った人間関係と感情がさらに深みを増し、今後の展開がますます気になる回でした。

長意(ちょうい)は紀雲禾(きうんか)への想いを自覚し始めながらも、過去のわだかまりから素直になれず、もどかしい様子が印象的でした。洛錦桑(らくさんそう)はそんな長意(ちょうい)を支えようとしますが、紀雲禾(きうんか)との関係に複雑な思いを抱いていることも垣間見え、三角関係の行方が気になります。

一方、雪三月(せつさんげつ)の勇敢さと優しさ、離殊(りしゅ)の献身的な愛、寧清(ねいせい) と汝菱(じょりょう)の意外な関係など、サブキャラクターたちの活躍も見逃せません。特に、青姫(せいき)の存在感は大きく、物語の鍵を握っているように感じられます。

また、林昊青(りんこうせい)の登場によって、物語は新たな局面を迎えます。北淵(ほくえん)を巡る戦いは、長意(ちょうい)と紀雲禾(きうんか)の関係にどのような影響を与えるのでしょうか。

つづく