馭鮫記(ぎょこうき)前編:月に君を想う 第1話 あらすじ/ネタバレ

広大な九天仙界には、高貴な天仙と自由奔放な地仙という2つの種族が存在する。天仙は六界の秩序を司り、地仙はしばしばその奔放さゆえに禁を犯す。規律に違仮する地仙を導くため、天仙の中から精鋭部隊が選ばれ、「御霊師」と名付けられ、四方御霊の地を守る。御霊師には、地仙との恋が禁じられていた。

美しい万花穀で、御霊師の紀雲禾(きうんか)は、その美貌と卓越した御霊術で知られていた。彼女は自由奔放で、禁を無視して鲛人(ぎょじん)の長意(ちょうい)を深く愛していた。長年の仮抗と修行の末、彼女はついに万花穀を脱出する機会を得る。しかし、運命のいたずらで、彼女は脱出中に長意(ちょうい)に捕らえられてしまう。かつての優しい恋人は、彼女の翼を容赦なく切り落とし、紀雲禾(きうんか)は絶望の淵に立たされる。

過去を振り返ると、万花穀ではかつて息を呑むような追跡劇が繰り広げられていた。ある日、鳥のさえずりと花の香りの中で、老婆が祝馀仙草を貪欲に摘もうとしていた。その老婆は、実は凶悪な姑獲鳥(こかくちょう)に変身していたのだ。紀雲禾(きうんか)は姑獲鳥(こかくちょう)を捕らえるように命じられ、激しい戦いの後、姑獲鳥(こかくちょう)の幼い息子である阿音(あおん)を人質にして、姑獲鳥(こかくちょう)を降伏させた。しかし、姑獲鳥(こかくちょう)は簡単に諦めることはなかった。彼女は怒りに満ち、息子を奪い返そうと誓った。

そのとき、万花穀の瞿暁星(くぎょうせい)(くぎょうせい)と張仙使(ちょうせんし)などの御霊師が駆けつけた。紀雲禾(きうんか)が不利な状況にあるのを見て、彼らは助けようとする。しかし、瞿暁星(くぎょうせい)(くぎょうせい)は御部の指示を待つことにこだわり、最終的に全員で協力して姑獲鳥(こかくちょう)を包囲する。張仙使(ちょうせんし)は、姑獲鳥(こかくちょう)の貴重な羽を傷つけると順徳仙姫に説明できなくなると心配し、瞿暁星(くぎょうせい)(くぎょうせい)は任務を遂行するために非情に徹する。激闘の中で、姑獲鳥(こかくちょう)は自らの羽を犠牲にして包囲を突破し、紀雲禾(きうんか)は阿音(あおん)の居場所を餌にして、姑獲鳥(こかくちょう)が幼子をすり替え、偽の思念を作り出した事実を暴く。

真実を知った姑獲鳥(こかくちょう)は、阿音(あおん)が転生して幸せに暮らす姿を見て、ようやく執念を捨て、霊丹を渡す。紀雲禾(きうんか)はこれを機に姑獲鳥(こかくちょう)を捕らえ、万花穀に送って裁きを受けさせる。その過程で、紀雲禾(きうんか)は灌灌の幼鳥を順徳仙姫に献上しようとする張仙使(ちょうせんし)の提案を拒否し、禁言白符を使うなど、独立した大胆な一面を見せる。

万花穀の鍾が鳴り響く中、少穀主の林昊青(りんこうせい)が任務を完瞭して帰還し、紀雲禾(きうんか)も急いで厲風堂に戻る。林昊青(りんこうせい)は犀兕の霊丹を取り戻しただけでなく、長老たちに霊芝を贈って孝心を示したため、護法の座は彼以外にはないと誰もが考えるようになる。しかし、穀主の林滄瀾(りんそうらん)は、突然紀雲禾(きうんか)を護法に昇進させ、自ら御霊術を伝授すると発表する。この予想外の昇進は、紀雲禾(きうんか)に不安を抱かせる。彼女は自分が林昊青(りんこうせい)への道を作るための砥石に過ぎないと悟る。

林滄瀾(りんそうらん)は、御霊術を伝授する際に、紀雲禾(きうんか)に重圧をかけ、寒霜の毒で彼女を苦しめる。紀雲禾(きうんか)は痛みを堪えながら、自分の苦心を林滄瀾(りんそうらん)に説明し、最終的に解毒剤を手に入れるが、万花穀からの脱出を決意を固める。住居に戻った紀雲禾(きうんか)は、侍女の洛錦桑(らくきんそう)と対策を練る。彼女たちは、過ちを犯した地仙を教化して霊石を集め、いざという時に備える計画を立てる。

第1話の感想

第1話は、紀雲禾(きうんか)と長意(ちょうい)の切ない恋物語の始まりであり、紀雲禾(きうんか)の自由への強い意誌が描かれた、とても印象的なエピソードでした。特に、紀雲禾(きうんか)が長意(ちょうい)に羽を切断され、絶望の淵に立たされるシーンは、見ていて胸が痛くなるほどでした。

一方、姑獲鳥(こかくちょう)と阿音(あおん)の親子の絆も感動的でした。姑獲鳥は、たとえ自分の羽を犠牲にしても、息子を救い出そうとする強い母性愛に溢れていました。また、阿音(あおん)が転生して幸せに暮らす姿を見て、姑獲鳥がようやく執念を捨て、安らかに眠りにつくことができたのは、とても良かったと思います。

第1話で特に印象に残ったのは、紀雲禾(きうんか)の独立した大胆な一面です。彼女は、天仙と地仙の恋が禁じられているにもかかわらず、長意(ちょうい)を愛し続ける強い意誌を持っています。また、灌灌の幼鳥を順徳仙姫に献上しようとする張仙使(ちょうせんし)の提案を拒否し、禁言白符を使うなど、自分の信念を貫く姿は、とても格好良かったです。

林滄瀾(りんそうらん)が紀雲禾(きうんか)を護法に昇進させたのは、意外な展開でした。しかし、林滄瀾(りんそうらん)が紀雲禾(きうんか)を林昊青(りんこうせい)への道を作るための砥石に過ぎないと考えていることは、とても悲しいことです。紀雲禾(きうんか)が、林滄瀾(りんそうらん)の期待に応えることなく、自分の道を切り開いていくことを願っています。

つづく