馭鮫記(ぎょこうき)前編:月に君を想う 第4話 あらすじ/ネタバレ

夜に隠された恋と決意

静寂に包まれた夜、離殊(りしゅ)は雪三月(せつさんげつ)を密林の奥深くにある美しい花畑へと導きます。月光が降り注ぐ紫藤棚は、3年前に初めて出会った場所を彷彿とさせます。離殊(りしゅ)は深い愛情を込めてその時のことを振り返り、雪三月(せつさんげつ)に心を開きます。普段は冷たく近寄りがたい天仙である雪三月(せつさんげつ)も、離殊(りしゅ)への想いを秘めていました。しかし、天仙と地仙の恋は禁じられているため、2人は密会を続けるしかありません。紫藤棚の下で、2つの心は寄り添い、ついに熱いキスを交わし、永遠の絆を結びます。

しかし、この幸せな光景は、洛錦桑(らくきんそう)と紀雲禾(きうんか)に目撃されてしまいます。洛錦桑(らくきんそう)は紀雲禾(きうんか)に密告するようけしかけますが、紀雲禾(きうんか)は2人を苦しめたくないと考えます。彼女は雪三月(せつさんげつ)に近づき、万花穀からの脱出を提案しますが、拒否され攻撃を受けてしまいます。危機一髪のところで、紀雲禾(きうんか)は必死に抵抗し、思過窟へと逃げて長意(ちょうい)に助けを求めます。雪三月(せつさんげつ)は追いかけますが、長意(ちょうい)は紀雲禾(きうんか)をかばうために立ち上がり、その様子に週囲は驚愕します。

林昊青(りんこうせい)が駆けつけると、洛錦桑(らくきんそう)は機転を利かせて情報を伝えます。紀雲禾(きうんか)は再び雪三月(せつさんげつ)に説得を試み、自分自身も地仙との恋に背いていることを打ち明けます。そして、長意(ちょうい)に突然キスをして言葉の真実を証明し、雪三月(せつさんげつ)の信頼を得ます。林昊青(りんこうせい)は何も見つけられず、しぶしぶ立ち去ります。

雪三月(せつさんげつ)は紀雲禾(きうんか)の動機を疑い、紀雲禾(きうんか)は彼女を寒塚という秘密の場所に連れて行きます。そこで、紀雲禾(きうんか)は林滄瀾(りんそうらん)が御霊師を操っている真実を明かします。首の後ろにある霜の花は印ではなく、緻死性の寒霜毒なのです。雪三月(せつさんげつ)は林滄瀾(りんそうらん)に従っていたため難を逃れますが、紀雲禾(きうんか)は彼女と共に仮抗し、この束縛から逃れるよう促します。半信半疑の雪三月(せつさんげつ)は、紀雲禾(きうんか)に3日間の猶予を与えます。

思過窟に戻った紀雲禾(きうんか)は、長意(ちょうい)に先ほどの強引なキスを謝り、彼を喜ばせるためにあらゆる手段を尽くします。入浴を手伝ったり、貝殻をプレゼントしたりと、彼女の愛情が伝わってきます。長意(ちょうい)は紀雲禾(きうんか)の誠実さに心を動かされ、2人の関係は深まっていきます。雪三月(せつさんげつ)と離殊(りしゅ)はこの様子を見て、紀雲禾(きうんか)と長意(ちょうい)が本当に愛し合っていることを確信します。

その後、紀雲禾(きうんか)は長意(ちょうい)に尾を切って陸に上がるよう説得しようとしますが、長意(ちょうい)は断固として拒否します。尾は人魚の根源であり、切ることはすべてを捨てることを意味すると考えているからです。真相を知った紀雲禾(きうんか)は複雑な気持ちを抱えながら、長意(ちょうい)の選択を尊重することにします。諦めない洛錦桑(らくきんそう)は離殊(りしゅ)に助けを求め、長意(ちょうい)が自らの意思で紀雲禾(きうんか)のために犠牲になるように説得してほしいと頼みます。

離殊(りしゅ)は雪三月(せつさんげつ)との過去を振り返り、すべてを投げ打って愛し合った日々を思い出します。彼は自分の経験を長意(ちょうい)に伝え、愛のためにはどんな障害も乗り越えられることを語ります。長意(ちょうい)はまだ迷っていますが、この深い愛情と決意は、彼の心に考える種を蒔いたことは間違いありません。

第4話 感想

第4話は、離殊(りしゅ)と雪三月(せつさんげつ)の切ない恋、紀雲禾(きうんか)と長意(ちょうい)の芽生える恋、そして林滄瀾(りんそうらん)の陰謀が絡み合い、見応えのある展開となりました。

離殊(りしゅ)と雪三月(せつさんげつ)の恋は、天仙と地仙という禁断の恋でありながら、互いへの深い愛情が伝わってくるシーンが多く、胸を打たれました。特に、紫藤棚の下でのキスシーンは、美しくも儚い2人の関係を象徴しているように感じました。

一方、紀雲禾(きうんか)と長意(ちょうい)の恋は、最初はすれ違いもありましたが、徐々に互いの気持ちを理解し始めています。紀雲禾(きうんか)が長意(ちょうい)のために奔走する姿は健気で、長意(ちょうい)が紀雲禾(きうんか)の真心を受け入れるシーンは感動的でした。

つづく