風起花抄~宮廷に咲く瑠璃(るり)色の恋~ 第25話 あらすじ/ネタバレ

夜が深まり、庫狄瑠璃(るり)は裴行倹(はいこうけん)が丹精込めて作った蓮の花灯を手に、ゆっくりと池のほとりへ歩み寄ります。そして、そっと灯を水に浮かべると、灯は水波に乗って揺れ、亡き母への深い哀悼の意を表します。裴行倹(はいこうけん)は傍らで、悠揚な笛の音色を遠くに響かせ、二人の想いは静かに溶け合います。

一方、松涛(しょうとう)は宮門の外で跪き、顔面蒼白になりながら、武媚娘(ぶびじょう)に何度も頭を下げ、悔恨の念を涙ながらに訴えます。実は彼女は、採月(さいげつ)の讒言を信じて武媚娘(ぶびじょう)を裏切り、武媚娘(ぶびじょう)がわざと漏らした牡丹の模様の秘密を楊妃(ようひ)に伝えてしまいました。武媚娘(ぶびじょう)は既に全てを察知していましたが、表には出さず、最終的に玉柳(ぎょくりゅう)に命じて潘(はん)内侍に松涛(しょうとう)を他の場所に追放させることにしました。松涛(しょうとう)は自分が武媚娘(ぶびじょう)の信頼を失ったことを悟り、絶望の中、玉柳(ぎょくりゅう)に情状酌量を求めますが、玉柳(ぎょくりゅう)もどうすることもできず、自業自得だと諭すしかありません。

別の方では、楊妃(ようひ)は李治(りち)の行動を逐一監視しており、李治(りち)が庫狄瑠璃(るり)を特別に気にかけていること、さらには宮中に招いて一緒に酒を飲むことが多いことを知り、不満を募らせています。そこで、楊妃(ようひ)は採月(さいげつ)に命じて、李治(りち)が男色を好むという噂を広めさせ、矛先を庫狄瑠璃(るり)に向けさせます。すると、宮中ではたちまち噂が飛び交い、人心は不安に陥ります。

刺繍を愛する鄧七娘(とうしちじょう)は、西市の風俗を作品に刺繍しようとしましたが、卓錦娘(たくきんじょう)に冷たく拒否され、落ち込んでしまいます。庫狄瑠璃(るり)はそれを知り、すぐに駆けつけて鄧七娘(とうしちじょう)を温かく慰め、二人の友情はさらに深まります。

夜が訪れ、弈心宮では、庫狄瑠璃(るり)と裴行倹(はいこうけん)が約束通りにやってきます。庫狄瑠璃(るり)は自分で縫った寝衣を裴行倹(はいこうけん)に贈り、冗談めかして彼が男らしくないとからかいます。裴行倹(はいこうけん)はそれを聞いて、口元に咲みを浮かべ、半ば本気で、半ば冗談で、自分の「真の男らしさ」を見せると言い、庫狄瑠璃(るり)は慌てて逃げ出し、部屋には咲い声が響き渡ります。

江内侍(こうないし)は李治(りち)に気に入られようと、容姿端麗な内侍を東宮に送り込もうとしますが、王内侍(おうないし)にきっぱりと拒否されてしまいます。武媚娘(ぶびじょう)は李治(りち)が男色を好むという噂を聞き、特に庫狄瑠璃(るり)が関係していると知ると、すぐに東宮に駆けつけ、李治(りち)に真相を確かめます。李治(りち)はそれを気にも留めず、むしろ庫狄瑠璃(るり)とは重要な相談があるから、外野の噂は気にしないと強調します。裴行倹(はいこうけん)も加わって説得し、李治(りち)が庫狄瑠璃(るり)と距離を置くことで噂を鎮めるべきだと主張しますが、李治(りち)は頑として聞き入れようとしません。

楊妃(ようひ)は李世民(りせいみん)の寵愛を取り戻すため、何ヶ月もスープや薬を送り続け、ついに李世民(りせいみん)の心を動かし、盂蘭盆会の過去の出来事を不問にすることに成功します。しかし、李治(りち)が男色を好むという噂はさらに広まり、楊妃(ようひ)は李明(りめい)らに口止めを厳命し、このことが李世民(りせいみん)の耳に入らないようにします。

李治(りち)は王内侍(おうないし)の忠告を無視し、相変わらず庫狄瑠璃(るり)を頻繁に呼び寄せています。ある日、裴行倹(はいこうけん)は噂が彼女を傷つけないように、庫狄瑠璃を裏門から出入りさせるように手配しますが、王内侍(おうないし)が突然現れ、彼女を無理やり東宮に連れ去ってしまいます。李明(りめい)はそれをチャンスと見て、元朗(げんろう)に香炉に毒を盛るように指示します。その後、李世民(りせいみん)に挨拶に行き、蓮の実を摘むために一緒に東宮の蓮池に行くように説得します。

東宮では、薬が効き始め、庫狄瑠璃は顔面蒼白になり、全身に力が入らず、冷や汗が止まりません。李治(りち)はそれを目の当たりにして、心を痛め、彼女を休ませようとしますが、庫狄瑠璃は必死に抵抗します。しかし、体力尽き果て、ついに倒れそうになります。李治はためらうことなく彼女を抱き上げ、東宮でしばらく休ませることにします。噂と陰謀が交錯する嵐が静かに近づいています。

第25話感想

第25話は、物語が大きく動き出す重要な回でした。庫狄瑠璃と裴行倹(はいこうけん)の恋は深まり、武媚娘(ぶびじょう)と松涛(しょうとう)の関係は決裂し、楊妃(ようひ)の陰謀はさらに激化しました。

特に印象的だったのは、庫狄瑠璃と裴行倹(はいこうけん)のシーンです。池のほとりで蓮の花灯を浮かべるシーンは、二人の静かな愛情表現が美しく描かれていました。また、弈心宮での寝衣の贈り合いは、二人の関係がさらに深まったことを感じさせる微咲ましいシーンでした。

一方、武媚娘(ぶびじょう)と松涛(しょうとう)の関係は、見るも無残な結末を迎えてしまいました。松涛(しょうとう)の悔恨の涙は、彼女の愚かさを物語っています。武媚娘(ぶびじょう)の冷酷な決断は、彼女が権力闘争の中でいかに冷徹にならざるを得なかったかを示しています。

楊妃(ようひ)の陰謀は、李治と庫狄瑠璃の関係を破壊することを目的としています。男色を好むという噂を広めることで、李治の評判を落とし、庫狄瑠璃を危険にさらそうとしています。楊妃(ようひ)の執念深さは、彼女が権力を手に入れるために手段を選ばないことを示しています。

つづく