風起花抄~宮廷に咲く瑠璃(るり)色の恋~ 第28話 あらすじ/ネタバレ

宮廷内の闇闘は新たな局面を迎えた。李治(りち)は庫狄瑠璃(るり)への気遣いから、裴行倹(はいこうけん)に精緻な点心を届けさせた。二人は楽しく食事を共にし、温かなひと時を過ごした。しかし、その平穏は長くは続かなかった。小順子(しょう じゅんし)が運んできた桂圓紅棗湯は、実は孫徳成(そんとくせい)が仕掛けた罠だったのだ。彼は毒入りの椀を利用して、裴行倹(はいこうけん)を陥れようと企んでいた。裴行倹(はいこうけん)は何も知らずにそれを飲み、やがて身体に異変を感じ始める。そして、出宮の途中に落馬し、生死不明となった。

一方、李明(りめい)は松涛(しょうとう)が武媚娘(武則天(ぶそくてん))によって宮廷から追放されたことを知り、ある計画を思いつく。彼は武媚娘(ぶびじょう)と裴行倹(はいこうけん)の旧知の関係を利用して、誤解を生じさせ、一石二鳥を狙ったのだ。松涛(しょうとう)は李明(りめい)の脅迫に屈し、武媚娘(ぶびじょう)と裴家の私交を無理やり思い出させられる。李明(りめい)は、裴行倹(はいこうけん)と武媚娘(ぶびじょう)を同時に排除し、松涛(しょうとう)を偽証の鍵となる人物に仕立て上げる陰謀を企てた。

裴行倹(はいこうけん)が危篤状態に陥ったその時、謎の蒙面集団が現れ、彼を連れ去った。そして、巧妙な手口で武媚娘(ぶびじょう)の寝宮に彼を運び込んだのだ。彼らの目的は、武媚娘(ぶびじょう)に罪を著せることだった。孫徳成(そんとくせい)と小順子(しょう じゅんし)は彼らの後を追うが、蒙面集団の真の目的を知り、驚きを隠せない。

裴行倹(はいこうけん)が目を覚ますと、そこは武媚娘(ぶびじょう)の寝宮だった。彼は驚きながらも、武媚娘(ぶびじょう)に誤解を解こうとする。武媚娘(ぶびじょう)も事態の深刻さを理解し、二人で静観して真相を明らかにする機会を待つことにした。その頃、李明(りめい)と楊妃(ようひ)は猫を探すという名目で寝宮に侵入しようとするが、武媚娘(ぶびじょう)は体調不良を理由に巧みに拒否する。そこに庫狄瑠璃(るり)が現れ、衣を取りに来たと言って寝宮に入り、裴行倹(はいこうけん)と合流する。そして、彼女が女装をして裴行倹(はいこうけん)を救出する決意をする。

庫狄瑠璃(るり)は、李明(りめい)と楊妃(ようひ)の目を巧みに欺き、裴行倹(はいこうけん)を無事に寝宮から連れ出すことに成功した。しかし、武媚娘(ぶびじょう)は庫狄瑠璃(るり)の正体と行動の動機に疑念を抱く。彼女は庫狄瑠璃(るり)に裴行倹(はいこうけん)の居場所をどうやって知ったのかと問い詰めるが、庫狄瑠璃(るり)は巧みな言葉でその場をしのぎ、なんとか武媚娘(ぶびじょう)の一時的な信頼を得ることに成功する。庫狄瑠璃(るり)の言葉の中で、武媚娘(ぶびじょう)は彼女が11年前に自分の吉服を仕立て直した少女・庫狄瑠璃(るり)であることを知り、二人はより深い絆で結ばれることとなる。

事件の後、庫狄瑠璃(るり)は不禄(ふろく)院に直行し、孫徳成(そんとくせい)に自分の正体を明かし、裴行倹(はいこうけん)をこれ以上傷つけないように懇願する。孫徳成(そんとくせい)は当初ためらいを見せるものの、庫狄瑠璃(るり)の誠意に心を打たれ、これ以上事件に介入しないことを約束する。その後、庫狄瑠璃(るり)は卓錦娘(たくきんじょう)のもとを訪れ、仙姑が夢枕に立ったと嘘をついて、自分が錯針繡の技法を習得した事実を巧みに隠蔽し、宮中での地位をさらに固めることに成功する。

第28話の感想

第28話は、宮廷内の闇闘が激化し、ハラハラドキドキの展開が続きました。裴行倹(はいこうけん)が毒を盛られ、生死不明になるという衝撃的な場面から始まり、庫狄瑠璃の機転と武媚娘の協力によって窮地を脱する様子は手に汗握るものでした。

特に印象的だったのは、庫狄瑠璃の勇敢さと機転です。彼女は裴行倹(はいこうけん)を救うために危険を顧みず、武媚娘の寝宮に忍び込み、李明(りめい)と楊妃(ようひ)の目を巧みに欺いて彼を救出しました。また、孫徳成(そんとくせい)と卓錦娘(たくきんじょう)に対しては、それぞれに合わせた巧みな話術で自分の正体と行動の動機を隠し、窮地を脱しました。彼女の知性と勇気には感服させられました。

また、武媚娘もまた、裴行倹(はいこうけん)を救うために尽力しました。彼女は裴行倹(はいこうけん)が寝宮に運ばれたことを知り、李明(りめい)と楊妃(ようひ)の侵入を阻止し、庫狄瑠璃が裴行倹(はいこうけん)を救出する時間を稼ぎました。武媚娘の裴行倹(はいこうけん)に対する深い愛情と、困難に立ち向かう強さが伝わってくる場面でした。

つづく