風起花抄~宮廷に咲く瑠璃(るり)色の恋~ 第30話 あらすじ/ネタバレ
荘厳な大殿の中で、尼僧は卓錦娘(たくきんじょう)と鄧七娘(とうしちじょう)を導き、3人揃って庫狄瑠璃(るり)の霊牌が祀られた聖地へと向かいます。卓錦娘(たくきんじょう)の心は既に伝説の金針に囚われており、彼女は待ちきれない様子で霊牌前の箱を開けます。そこには、彼女が夢にまで見た金針が静かに横たわっており、彼女の目は貪欲な光を放ちます。尼僧の問いかけに対し、卓錦娘(たくきんじょう)は尼僧と庫狄瑠璃(るり)の秘密の関係を暴こうと迫ります。
実は、裴行倹(はいこうけん)は以前、救命の恩で尼僧と縁を結んでおり、鄧七娘(とうしちじょう)を送り込み、尼僧に協力を要請し、報酬として京からの脱出を約束していました。尼僧は巧みに物語を紡ぎ、11年前に庵の門前で息絶えそうな庫狄瑠璃(るり)を救ったものの、瑠璃(るり)は病で亡くなり、この金針だけが残ったと主張します。卓錦娘(たくきんじょう)は製衣秘伝への渇望から、その言葉をほぼ信じてしまいますが、心の中ではまだ疑念を抱いています。
一方、裴行倹(はいこうけん)は庫狄瑠璃(るり)を無事に目覚めさせましたが、瑠璃(るり)の怒りは収まらず、彼の助けを拒否して独りで去ってしまいます。卓錦娘(たくきんじょう)は金針を手に入れたものの、心の不安は募るばかりで、庫狄瑠璃(るり)の正体には常に疑念を抱いています。孫徳成(そんとくせい)的突然の訪問は、卓錦娘(たくきんじょう)をさらに不安にさせ、彼女は腰牌を見ていないと嘘をついて慌てて逃げ出します。しかし、これはすべて裴行倹(はいこうけん)が卓錦娘(たくきんじょう)の疑念を払拭するために仕組んだ策略でした。
鄧七娘(とうしちじょう)は心から謝罪し、庫狄瑠璃(るり)にすべてを説明しようとしますが、瑠璃(るり)は冷たくあしらいます。夜が更けても、瑠璃(るり)は寝返りを打ちながら、週りの人々が隠していることに心を痛めています。裴行倹(はいこうけん)は笛の音で慰めようとしますが、瑠璃(るり)は意地を張って聞かず、複雑な思いに駆られます。
翌日、卓錦娘(たくきんじょう)は自分が安氏(あんし)の唯一の継承者であることを高らかに宣言し、金針を使って「天下第一針」の地位を確立しようとします。庫狄瑠璃は勇敢に立ち上がり、卓錦娘(たくきんじょう)の技術と資格に疑問を呈し、彼女に勝負を挑みます。林尚服(りんしょうふく)は争いを鎮めるため、3日間に分けて染、繍、做の3つのパートに分けて技術を競う大会を開催し、宮中の妃嬪を審査員に迎えることにしました。
競技が始まると、庫狄瑠璃は染色の環節で卓錦娘(たくきんじょう)の策略に遭い、受け取った紫鉚虫膠はすべて湿っていて使い物になりませんでした。その時、鄧七娘(とうしちじょう)が密かに助けに入り、瑠璃に拒否されても諦めません。瑠璃は機転を利かせて、葡萄ジュースを使って鮮やかな赤い布を染め上げ、第一回戦を勝利で飾ります。卓錦娘(たくきんじょう)の質問と罵声に、庫狄瑠璃は冷静に卓錦娘(たくきんじょう)と内侍の癒著を暴露し、林尚服(りんしょうふく)の賞賛と観客の喝採を浴びます。
一方、皇宮では李世民(りせいみん)が病に倒れ、李治(りち)は急いで見舞いに行きますが、庫狄瑠璃と卓錦娘(たくきんじょう)の競技も気にかけています。彼は裴行倹(はいこうけん)を通じて瑠璃に励ましと支持の言葉を伝え、瑠璃はさらに信念を強めます。競技が進むにつれて、技術、知恵、正義を巡る戦いが静かに始まろうとしています。
第30話の感想
第30話は、物語が大きく動き出す重要な回でした。卓錦娘(たくきんじょう)の野望と庫狄瑠璃の怒り、そして裴行倹(はいこうけん)の策略が交錯し、緊張感あふれる展開となりました。
特に印象的だったのは、庫狄瑠璃と卓錦娘(たくきんじょう)の対決です。卓錦娘(たくきんじょう)の卑怯な策略に苦しめられながらも、庫狄瑠璃は機転を利かせて勝利を収めました。彼女の才能と正義感が光るシーンでした。
また、裴行倹(はいこうけん)の策謀も巧妙でした。孫徳成(そんとくせい)を送り込むことで卓錦娘(たくきんじょう)の疑念を払拭し、庫狄瑠璃を勝利に導きました。彼の知略と冷静さが際立つ場面でした。
つづく